2013.7.16 「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー 〜アジャイル開発の現実解〜」に参加しました。
http://devlove.doorkeeper.jp/events/4659
その名の通り、
「ディシプリンド・アジャイル・デリバリー 〜エンタープライズ・アジャイル実践ガイド」に関する勉強会です。
ディシプリンド・アジャイル・デリバリー エンタープライズ・アジャイル実践ガイド (Object Oriented SELECTION)
- 作者: Scott W. Ambler,Mark Lines,藤井智弘,熱海英樹,天野武彦,江木典之,岡大勝,大澤浩二,中佐藤麻記子,永田渉,西山泰男,三宅和之,和田洋
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2013/06/22
- メディア: 大型本
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講師は翻訳チームの一員である岡 大勝さん。監修の藤井 智弘さんもいました。
岡さんの話
DAD本(「ダッド」と読むことにさっき決まったらしい(笑))の構成や狙いなど、ご自身の解釈を交えたお話でした。
以下メモ。
エンタープライズにアジャイルを定着させる
DAD本はIT業界に蓄積された「知」をうまく使い、エンタープライズの開発をもっとよくするためのもの。
「エンタープライズ」はこんな感じだそうです。
- ある程度規模が大きく何かしらの"しがらみ"がある
- 例えば、連携するシステムが多かったり、既存の運用の制約があったり
- 例えば、ステークホルダーが多かったり、規約やルールがあるような
- スタートアップのように独立して作れるようなものじゃないイメージ
アジャイルの現実とエンタープライズとのギャップ
- アジャイルには負の側面もある。
- ウォーター・スクラム・フォール(ウォーター・スクラム:準備が遅くいつまでたっても始まらない、スクラム・フォール:いつまでもリリースしない)となってしまっていたり
- アジャイルだからと言ってガバナンス・組織から目を逸らしてしまったり
- 流儀の固執し古いものをハナから否定してしまったりしている。
- これはすべてベンダーの怠慢。プロセスの無理強いだったり、リスクからの逃避。
- それもあってか、アジャイルとエンタープライズは(特に日本では)ちょっと離れたモノとなっている。
- ギャップがあるとリスクやコストが掛かる。
- アジャイルをエンタープライズの中心に持っていくのがDADの思想。ギャップを無くしたい。
BxUP:Big xx Up Front にならない
「Big xx Up Front : 最初にしっかりxxをする」にならないように、というお話です。
これ今日一番印象に残りました。
最初にしっかり設計する、最初にしっかり要件定義する、など、xxには様々なものが入ります。
これがアジャイルではダメ。
DADの3つのフェーズ
- DADで核となっているのはScrumだが、開発の前に「方向付けフェーズ」があり、開発後に「移行フェーズ」がある。
- これはScrumでは定義されてないが、みんな実践している必要不可欠なもの。
確かにエンタープライズでは企画段階や移行のことは大事です。
ダイアログ
4人でグループを作ってのダイアログ(対話)です。
我々のグループでは、
という話などが出ました。
「BxUPになりがち」ってのは本当に共感してしまいます。僕のチームでは振り返りで「認識の齟齬があった→ドキュメントをもっと書こう」といった意見が頻繁に出ます。
認識齟齬→ドキュメント必要となるのは完全に脊髄反射です(笑)本当に必要なものかどうかを考えてみるのが大事ですよね。
質問タイム(受託でアジャイルはどうなのか?)
「顧客を巻き込むには何が大事ですか?」という質問がありました。
岡さん、藤井さんとも「受託でアジャイルは難しいんじゃないか」(7/17 訂正)「受託で顧客を巻き込む必要はないんじゃないか」*1との意見です。身も蓋もないですよ(笑)
- アジャイルは予算を上手に使う開発手法であり
- 顧客はそこまで考えていない。単純にキャッシュアウトが減ればいいと思っている。
- 顧客側が真剣に考えていない場合は、巻き込むとは土台無理な話であり、アジャイルと言っても響かない
- 顧客側からアクションがでるようにSIerは顧客を啓蒙すべき
非常に示唆に富んだお話…。ちょっと目の前が暗くなりました。あ、明日から頑張ります。
そういえば、チームがBxUPにならない工夫や取り組みはあるか?と質問したかったのですが、時間がなくて出来ませんでした。残念。
感想とか
DADは僕がなんとなくイメージしているエンタープライズ・アジャイルの姿と同じように思えました。
まずは書籍を読み込み、自分だったらどういうプラクティスやツールを組み合わせたプロセスにするか、をシミュレーションしてみると楽しそうです。自分の積み上げた知識や経験が整理できそう。
自分の引き出しが増えそうな良い勉強会でした。
最後に、DADと関連してるよ、と以下の本をお勧めして頂きました。(この本であってるかな…?)
実践アジャイルテスト テスターとアジャイルチームのための実践ガイド (IT Architects’Archive ソフトウェア開発の実践)
- 作者: Janet Gregory,Lisa Crispin,榊原彰,増田聡,山腰直樹,石橋正章
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/11/28
- メディア: 大型本
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