白昼夢の視聴覚室

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あの時『M-1グランプリ』審査員は何歳だったのか

どうも菅家です。

先日、発表された『M-1グランプリ2024』の審査員に対して、一部から「軽い」との声があがっているようです。この流れに拍車をかけるように、ネットメディアでも審査員の力量を懸念する記事が幾つか掲載されており、あんまり良くない空気が生まれ始めています。正直なところ、気持ちは分からなくもないです。特に本大会の審査員は、上沼恵美子やオール巨人、山田邦子などといったベテランが外れ、過去にM-1出場経験のある芸人たちによって大半が占められている状況に対して、不安を覚えることは理解できます。……とはいえ、大御所がいつまでも審査員を務めてくれるわけではありません。すべての人は平等に年老いていきます。ありとあらゆる業界で世代交代の波は迫っています。今回の審査員の若返りは、松本人志の不在という事情が背景に透けて見えるにせよ、いずれは起こり得る事態でした。いつまでもあると思うな、親と金と大御所審査員。少なくとも、実際の審査がどうなるのか分からない以上、今はただ甘んじて受け入れるというのが大人のあるべき態度ではないでしょうか。

また、そもそもの話として、今回の審査員に対して「軽い」と感じてしまうのは、旧M-1の審査員の記憶が根深いからではないか、という疑念が自分にはあります。ベテランたちによって厳しい審査が行われていた時代を覚えているからこそ、相対的に今回の審査員を軽く感じられてしまうのではないでしょうか。まして、先にも書いたように、当時のM-1を知っている人間にとって、今回の審査員はかつてM-1の決勝戦で戦いを繰り広げてきた経験者たちばかり。その当時のチャレンジャーとしての姿が記憶に残っているからこそ、「軽い」という認識を持ってしまっている可能性は否定できないんじゃないですかね。その意味では、過去のM-1についての記憶が薄い、若い人のフラットな意見が聞きたいところではあります。

というわけで、今回の記事ではM-1の審査員の年齢を調べてみました。必ずしも年齢イコール重厚感とは限りませんが、格や威厳というような曖昧な主観よりは客観的に考えるきっかけに成り得るでしょう。調べるのは、過去に『M-1グランプリ』決勝戦において、初めて審査員を務めた時点での年齢です。当初はいくつかの大会をピックアップして、その年の審査員の年齢を並べてみようと思っていたのですが、こちらの方が比較としては分かりやすいように思います。

それでは、サクッと見てみましょう。

・2001年
西川きよし(55歳)
青島幸男(69歳)
春風亭小朝(46歳)
ラサール石井(46歳)
鴻上尚史(43歳)
松本人志(38歳)
島田紳助(45歳)

・2002年
立川談志(66歳)
中田カウス(53歳)
島田洋七(52歳)
大竹まこと(53歳)

・2003年
南原清隆(38歳)

・2005年
渡辺正行(49歳)

・2007年
オール巨人(56歳)
上沼恵美子(52歳)

・2009年
東国原英夫(52歳)

・2010年
宮迫博之(40歳)
大竹一樹(43歳)

・2015年
哲夫(41歳)
佐藤哲夫(39歳)
石田明(35歳)
富澤たけし(41歳)
徳井義実(40歳)
吉田敬(42歳)
岩尾望(40歳)
増田英彦(45歳)
礼二(43歳)

・2016年
博多大吉(45歳)

・2018年
塙宣之(40歳)
立川志らく(55歳)

・2022年
山田邦子(62歳)

・2023年
海原ともこ(52歳)

・2024年
柴田英嗣(49歳)
山内健司(43歳)
若林正恭(46歳)

なんとも言い難い結果になりました。

初期のM-1は中堅~重鎮を中心に集められている印象を受けます。それでいて「青島幸男」「立川談志」「西川きよし」「オール巨人」などの大御所を当てはめることで、大会に重みを加えていますね。しかし、その一方でアラフォー世代の「南原清隆」「大竹一樹」「宮迫博之」などを起用しているところに、大会としての若返りに対する意識も感じ取れます。それらを踏まえると、いわゆる大御所不在の状態で開催される今大会は、確かにM-1としては軽いと感じられても仕方がないのかもしれませんね(事実、山田邦子の不在を嘆いている人も何人か見受けられました)。

ただ、これらのデータを踏まえて今大会の審査員を見てみると、

石田明(44歳)
海原ともこ(52歳)
柴田英嗣(49歳)
哲夫(49歳)
博多大吉(53歳)
塙宣之(46歳)
山内健司(43歳)
礼二(52歳)
若林正恭(46歳)

初期のM-1に貢献した中田カウス・島田洋七・大竹まことが初めて審査に参加した2002年大会を思わせるバランスにはなっているので、そこまで不安視する必要もないのではないか……という気がしないでもないです。まあ、長い目で見ていきましょう。ね。

ここから追記です。

本記事に対する反応で「これは初抜擢年齢の変遷であって、審査員全体の年齢層を見るべきでは?」という旨の指摘をされている方をお見受けしました。その通りです。本来ならば、そのようにするべきところではあったのですが、やりませんでした。面倒臭かったからです。各年の審査員の年齢を引っ張り出して平均値を叩き出す作業が、ただただ面倒臭かったからです。誰か代わりにやってくれればいいんじゃないですかね。

とはいえ、その反応をスルーするのもどうかしらんと思いましたので、追記として各大会における最高齢の審査員を抜き出すことで、茶を濁そうと思います。実際のところ、大御所の不在が「軽い」と感じさせられる印象に一役買っている可能性を感じてはいますので。というわけで、サクッと見てみましょう。

・2001年
青島幸男(69歳)

・2002年
立川談志(66歳)

・2003年
大竹まこと(54歳)
中田カウス(54歳)

・2004年
西川きよし(58歳)

・2005年~2008年
大竹まこと(56歳~59歳)
中田カウス(56歳~59歳)

・2009年~2010年
中田カウス(60歳~61歳)

・2015年
増田英彦(45歳)

・2016年~2021年
オール巨人(65歳~70歳)

・2022年~2023年
山田邦子(62歳~63歳)

・2024年
海原ともこ(52歳)
礼二(52歳)

こうして見ると、2003年ごろのM-1と今年のM-1の審査員の年齢が近いような感じがしますね。というわけで、このままの流れでちょっと2003年当時のM-1決勝の審査員の年齢を見てみましょうか。

中田カウス(54歳)
大竹まこと(54歳)
ラサール石井(48歳)
島田洋七(53歳)
南原清隆(38歳)
松本人志(40歳)
島田紳助(47歳)

ここから何を感じ取るからは各々にお任せしますです。はい。