結果のでる勉強のために捨てるべき2つのこと

仕事をしながら勉強を続ける優秀なビジネスパーソン

世の中には、どんなに多忙でも、時間が無くても、勉強を継続して資格試験の合格を手にする人がいます。どうしたら、そんなふうになれるのでしょう?――それは、限られた時間やエネルギーを、ムダに消耗させるものを捨てているからです。

「仕事が忙しすぎて勉強する時間やエネルギーが残らない」
「勉強を継続したいけど、仕事の疲れが抜けず集中できない」

そんな悩みをお持ちの方に、働きながら結果を出している人が “捨てているもの” をご紹介。筆者が実践してみた結果と、感想もあわせてお伝えします。

【ライタープロフィール】
上川万葉
法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している

1. 悩む時間を捨てる

「何から勉強しようかな……?」
「いつ勉強しようかな……?」

あれこれ迷っているうちに、勉強できずに1日が終わってしまう。そんな方がまず捨てるべきなのは悩む時間です。

青山学院大学 地球社会共生学部 教授・学部長、ビジネスコンサルタントの松永エリック・匡史氏は、“悩んでいる時間=何もアクションがないムダな時間” だと指摘。そうした時間を有効に機能させるポイントとして習慣化を挙げ、次のように説明しています。

今できることを1個1個タスクにして、スケジュールを立てて習慣にしていくんです。すると、ルーティンになってくれる。悩む時間を、タスクをただ“こなす”時間に置き換えていくだけになるんですよ。

松永氏によれば、タスクの習慣化には「必ず成果」と「適度な成長」があり、その「成長が不安を減らしていく」メリットもあるとのこと。

(参考およびカギカッコ内含む引用元:ログミーBiz|青山学院大学教授 松永 エリック・匡史氏とリンクトイン村上が徹底議論「変わり続ける力」)

そこで筆者は、脳科学の研究者として知られる、東京大学薬学部教授・脳AI融合センター長兼教授の池谷裕二氏が提唱している方法を参考にしながら、勉強用マイルールづくりに挑戦してみようと考えました。

池谷氏によれば、それぞれの時間に以下の特徴があるそうです。

  • 【夕方】:「脳が活性化して記憶力が高まって」いる時間
    ↓
  • 【就寝前】:「暗記のゴールデンタイム」なので「覚えたら、忘れないうちに」寝てしまうといい。
    ↓
  • 【明け方~午前10時くらいまで】:朝食・昼食前など「空腹時は脳が活性化する時間」。ただし起き抜けは寝ぼけているので「一般的な復習に充てる」といい。

(参考およびカギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー)

とすれば、これらに沿ったかたちで勉強する内容・やり方を決めておくことで、悩んでいたムダな時間をスッパリ切り捨てられるはず。勉強したいのに、考えすぎて行動できない方にオススメです。筆者の実践はのちに紹介しましょう。

何をいつ勉強するか決め、ムダな時間が激減したビジネスパーソンの勉強風景

2. 行動につながらない読書を捨てる

本はたくさん読んでいるけど、収入は増えないし人生もさえないまま。何も変わらない―― そんな読書も捨てるべきもののひとつです。なぜならば、それは行動につながらない読書であるから。

『億を稼ぐ勉強法』(クロスメディア・パブリッシング,2019)の著者で教育コンサルタントの小林正弥氏は、本を読んでも “できるような気” になるだけで、行動に変化が起こらない読書を「逃避のための読書」と表現します。

行動なしにただ情報を詰め込んでいくだけなので、「読書に費やしたお金も時間も無駄」になってしまうとのこと。

それはたとえば、一流起業家の本をなんとなく読み漁ってはいるが、本で紹介されているノウハウをほとんど実践していないので、何も変わっていない、といったような状況です。そうした身にならない読書が、本当にやるべき勉強の妨げになっているかもしれません。読書に対する心構えを変えていく必要があるはずです。

小林氏によると読書には2種類あり、「逃避のための読書」のほか、「自己投資のための読書」があるとのこと。後者は自分を変えるために本を読み、そのなかで課題を解決する方法を見いだして実践し、自分を実際に変えていく読書なのだそうです。そのため同氏は、

心が疲れているときなどは、逃避のための読書で、心の英気を養うのもありかもしれません。ただ、収入アップなど具体的な成果につなげたいのであれば、主体的に自分を変える投資のための読書が必要でしょう

と伝えています。だとすれば、起業したいと考える人が「自己投資のための読書」をする場合は、次のような流れになるはずです。

  1. 起業家として成功しようと決意
  2. 自分が実行できそうな企業の立ち上げ方・運営方法・顧客戦略などに関する具体的なアドバイスと実践例が載った本を選んで勉強
  3. 本で勉強した具体的な方法を実践
  4. 起業に至る

(参考およびカギカッコ内含む引用元:Precious.jp|お金と時間をドブに捨てる!仕事のできる人は絶対やらない「NG勉強法」6選)

単純な流れですが、なんの決意もなく適当な本を選んで読んで、何も行動しないときよりは、格段に結果を出す確率は高いはずです。限りある時間とエネルギーは、あなたが本当にやりたいことを後押しする学びに注ぎ込んでください。

本を読む女性

ふたつのムダを捨ててみた

最後に、筆者が「悩む時間」と「行動につながらない読書」を捨ててみた結果をご報告しましょう。

「悩む時間」を捨ててみた

前出の池谷氏の言葉をふまえて、筆者は最近取り組んでいるお金の勉強のために、次のようなマイルールをつくってみました。

  • 【夕食前】:脳が活性化し、記憶力が高まる時間
    夕食前の1時間「フィナンシャルプランナー(FP)3級」の過去問を解く。
    ↓
  • 【就寝前】:暗記にピッタリな時間
    就寝前の10分間「フィナンシャルプランナー3級」の教科書を読む。
    ↓
  • 【朝】:復習にピッタリな時間
    朝、仕事前の30分間(空腹時)、前日の勉強を振り返る。

さらに、悩む時間を極力減らす工夫として、マイルールを紙に書き出し、勉強する直前のタイミングで視界に入るように枕元の壁と冷蔵庫の扉に貼りました。

池谷氏が紹介している方法をふまえて、筆者が勉強のために作ったマイルールを紙に書き出したもの。

筆者の勉強用マイルールを紙に書き出したもの
ツール:エイプリルA4コピー用紙(PaperOne)・三菱鉛筆の黒マジックペン(プロッキー)・パイロットの黄色の蛍光ペン(フリクションライト)

この実践で、特に気をつけたポイントは以下のふたつです。

  • できるだけ、いつ・どれだけ・何をするかを明確に記す
  • 勉強時間がきたら、すぐ取り組めるようマイルールを目立つ場所に貼る

仕事のある平日に、マイルールに書いたとおりキッチンタイマーで時間を計りながら勉強を実践してみると、疲れていても淡々と学習に取り組むことができました。手慣れた事務作業をこなしているような感覚です。

じつは平日のスキマ時間に勉強する習慣はあったものの、何を勉強するかはその都度考えていました。しかし、上記を実践してからは「いちいち考えるヒマがあるなら、勉強に使ったほうがいい」と思うようになりましたよ。

勉強で悩む時間はサッサと捨てて、勉強時間を増やすことが得策です。

「行動につながらない読書」を捨ててみた

もともと筆者には、いざ勉強しようとすると急に億劫になり、目についた本をペラペラとめくってしまうクセがあります。そうなると、気がつけば勉強をする時間がなくなり、本を読んだのに成長した実感はなく、残るのは罪悪感だけ……。

そんな負のスパイラルを断ち切るべく、次の流れで身になる読書を実践してみました。

  1. やる気のある・なし関係なく、楽な気持ちで仕事をスタートできるようにしたいと決意。
    ↓
  2. 千葉雅也氏の著書『現代思想入門』から自分の仕事に使えそうなライフハックを学ぶ 。※千葉氏の執筆作業における実践方法が、具体的に紹介されているため。
    ↓
  3. そこに示された「すべての仕事を“ついで”にやる」という考え方を実践してみた。

(カギカッコ内引用元:千葉雅也著(2022),『現代思想入門 (講談社現代新書 2653) 』,講談社.)

本書を読んで、これまで仕事を始めるのがつらいと感じたのは、ハードルの高い作業から始めようとしていたからだと気がつきました。

そこで、本に書かれたことを参考に、簡単な調べものをするなどハードルの低い作業をしつつ、自然な流れで仕事をスタートしてみたところ、「仕事に集中しなきゃ」という焦りや苦痛が和らいだように感じます。つまり、大いに効果を実感できました!

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仕事と勉強の両立で悩んでいるなら、まずはムダな消耗時間を手放してみてください。そうすれば、あなたが必要とする勉強時間とエネルギーが生まれてくるはずです。

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