世界の果てのはてな

漫画とアニメの話

発売から1週間で1,000部売れた電子書籍の作り方(の裏話)

今朝公開された記事で既にご紹介いただいてますが、id:topisyuさんが昨年末に発売した電子書籍『ぼーっとしている人が「自分の人生に向き合う」ためのQ&A30』の編集を担当しました。発売当初は特価期間だったとはいえもう1,000部以上売れててすごい!!!わーいわーい!!!既にご購入下さった方ありがとうございます!

で、今回はその裏話です。知られざるトピシュさんの生態が垣間見られますし、トピシュさんファンの方や、個人で電子書籍を出すのに興味がある方はご覧いただければ幸いです。5千字も書いちゃったけどね!

 

topisyu.hatenablog.com

 

企画会議

トピシュさんには、たまにTwitterのDMでトウモロコシご飯の作り方を聞いたりしてたんですが、なんかのきっかけで電子書籍に興味があるという話に。

私はどうにかしてトピシュさんに会ってみたかったので「リアルに紙で作るのも楽しいですよ!コミケで売りましょう!いや、文学フリマかな!そしたら一緒に売り子しましょう!なんなら私ヤマンバのコスプレもしますよ!いやむしろ同人ゲーム作ろう!テキストゲー!コマチックノベル!隠しパラメータに姑の体調が設定されてて選択肢次第で嫌な姑を病院送りにできる!*1」とかいつものノリと勢いで適当なことを叫び、なんとかコミケに来てもらえないものかと画策してたんですが、結局ほぼ当初の話どおりKindleで電子書籍を出すということになりました。

編集工程

詳細は上述のトピシュさんの記事を読んでいただければ良いのですが、主な流れとしては以下のとおりです。 

  1. 非公開のグループ設定はてなブログにトピシュさんが記事を書く
  2. 下書きのURLがTwitterのDM(たまにメール)で届く
  3. 読んだら感想と誤字とか気付いたことを伝える
  4. 3を受けてトピシュさんが修正、そしたら再チェック
  5. 1〜4の繰り返し

グループ設定はてなブログは私が直接文章を編集して誤字脱字等を修正することも可能なんですが、なんか気が引けるのでやりませんでした。最近も編集が勝手に文章改竄してとんでもないことになってるところありますしね……。

その他、表紙関連作業やKindle用データ作成や審査申請、宣伝、改訂版用修正などはトピシュさんが全部自分でやってるので私が書けることはありません(それ編集ってゆーのかよ!)

今回トピシュさんが私に依頼したことは「お時間あるときに読んで、読者目線での感想などを聞かせてください」主にこれだけでした。

編集方針

過去の経験から、私は「編集が一番やっちゃいけないことは、作家のやる気を無くすこと」だと考えています。

トピシュさんからは「お時間あるときに」と何度も念押しされていたものの「なるべく即レスで。遅れる時はその旨伝える」方針で動いていました。すぐ感想聞ける方が嬉しいじゃないっすか。

トピシュさんはさっきも書いたとおり大体自分で出来ちゃう人だし、初稿でも中身面白いに決まってるし、筆が乗ってきたトピシュさんの勢い、やる気を殺さないためにはそれが一番かなって思った。

編集風景

編集作業は主に子供が昼寝した時、または夜子供を寝かしつけた後に行ないました。添い寝落ちしてしまい夜中に起きておそ松さんを見ながら作業することもたまに。*2時期的には冬コミ新刊作るのと似たような感じでしたね。

トピシュさんは結構な頻度でこちらの反応に即レスしてきて、しかもブログも平常更新してて、そんでもって夜中の3時に「これからお弁当作ります」とか言ってる時があってほんといつ寝てるんだと思いました。

即レスが編集方針(行動指針と言うべき?)といっても即レスできないこともあります。むしろその場合の方が多い。とはいえ、こちらはいわば作家さんの玉稿を待っている立場なので、新作下書きのURLが送られてきたらすぐ読んで感想を伝えたい。こっちが待たされるのはいいけど待たすのは避けたい。でもできないこともある。

お互い結婚してて子供もいる身で自由にならない時間も多いし、ちょっとやそっと遅れたって怒るトピシュさんではないんですが、待たせてしまう時は出来るだけ理由も伝えるようにしてました。会社を私用で休む時と同じで別に詳細を説明しなくてもいいんだけど、説明した方が待たされる人の方も現状への理解度が高まって待ってる間の不安感や不満感が低くなる。

ちなみにこういう会話がなされた時がありました。

stein「息子を耳鼻科に連れてったら受付時間が何故かいつもより早まってて完全に出遅れてメチャメチャ待たされてメチャメチャイライラしたのでストレス解消のために冷蔵庫の中の生卵全部叩き割ってスタッフが美味しく頂いてから下書き読むので返信遅れます。ちょっと時間かかりそうです。すいません……」

topisyu「そこはネットで診察予約できないんですか?」

stein「できないんですよ〜〜」

topisyu「お年寄りが多い地域はネット予約できない病院多いですしね〜」

stein「そー、困ります……」

後から「平均年齢が高い地域に住んでることがバレてるやんけ!!!」と気付いて恐れおののきました。

そんで、下書き読んだら「育児不安!その視点は無かったなー!いやー素晴らしい!!!やーすば!!!」とか叫んだり「ここ『の』の重複です!直して!」*3って伝えたり、時には「この1週間執筆ペースが落ちてますよ!これじゃ性の6時間に間に合わない!!もっと頑張って!!」と急かすなどしていました。*4

たまにトピシュさんの筆が詰まる時があって「こうしたらどうっすか」って提案した結果「これは書いてて楽しい!」と言ってもらえた瞬間は、ファンの一人として、銀色のスプレーを口に吹き付けて死地に赴いてもいいような気持ちになりました。

編集担当の探し方

トピシュさんは「電子書籍は一人じゃなくて何人かで作ったほうがいいんじゃないか」って言ってて私も概ね同意なんですけど、じゃあ、どうやって一緒に作る人を探せばいいのか。多分ここ知りたい人多いと思うんで所感をお伝えします。主に電子書籍出したい個人ブロガーさん向けに。

一言で言うと「気が合いそうな読者さんを探そう」これだけです。

トピシュさんは、私がトピシュさんの記事の感想をTwitterに書いてるのをエゴサーチで見つけて、それが仲良くなるきっかけになりました。

ただ、「自分のブログの熱心な読者が必ずしも最良の編集になるとは限らない」ということは強調しておきたい。だから探すの結構難しいと思う。今回こうやってトピシュさんと共同作業できたのはマジいろんな偶然が重なった結果の幸福なマリアージュ。

さっきトピシュさんにDMでトウモロコシご飯の作り方聞いてたって書きましたけどそんなググレカスみたいなこと聞く仲になる前に、トピシュさんは私のブログの過去記事約180記事に加えて5年分の14万ツイート全てに目を通し、私の素性や政治的中立性や思想信条、精神的安定性とか諸々把握した上で今回こういうことになったので、「気が合って共同作業できそうな人」を探すのは結構時間かかると思います。*5

そんでもって私の「めんどくさがりだけど好きなことはとことんやる」という性格を見抜いた的確な依頼内容、その慧眼。流石管理職経験者は違うぜと思った。*6

オススメトピック

基本全部面白いんだけど個人的に特に好きなのは以下の7トピックです。

  • Q1.「嫌いな同僚の結婚披露宴に呼ばれましたがご祝儀を払いたくありません。どうすればいいでしょうか」→ A.「欠席しましょう」
  • Q5.「今妊娠中なのですが、義理の両親が子どもの名付けに口を出してきます。このままでは私たち夫婦の本意ではない名前で押し切られそうです。夫も頼りになりませんし……どうしたらいいでしょうか」 → A.「原則は夫に対処してもらいましょう」
  • Q7.「母子共に一番仲の良いママさんがいるのですが、最近、様子が以前と違ってきました。デモに誘ってきたり、予防接種は子どもに受けさせない方がいいと言ってきたりします。デモは最近流行っているようなので興味がなくは無いのですが、予防接種は受けた方がいいんじゃないかなと思います。でも反対意見を言って嫌われてしまうのが怖いです……。このママはどうしてこんなことを言うようになったのでしょうか」 → A.「育児不安によるものです」
  • Q10.「ちょっとヤンチャなところがある人だけど、結婚したら落ち着いてくれますよね?」→ A.「落ち着きません」
  • Q11.「付き合っている人が私の言いたいことを察してくれません。この前も、私が家事で忙しいのにゲームをしていました。この察しの悪さ、どうにかなりませんか?」→ A.「どうにもなりません」
  • Q26.「高校生の息子が卒業後は料理人になるべく調理の専門学校に通いたいと行っています。夢を応援したい気持ちもある反面、そういった専門職で生きて行くことの困難さも想像できるので、潰しが効くような学部で四大に進んで欲しいとも思います。私はどうするべきでしょうか?」→ A.「困難さを示し、本人に判断してもらいましょう」
  • Q30.「子どもも独立し夫と二人暮らしの60代女性です。流行りの終活をしようと思い立ち家の片付けを始めたのですが、自分たちの新婚旅行で買ってきた置物や子どもが昔作った工作など思い出の品が捨てられずちっとも片付きません。どうしたらいいでしょうか?」→ A.「写真に撮りましょう」

今回収益は表紙の人も一緒に山分けすることになっているので、私のフトコロにもいくばくかのマネーが入ってくることが確定しています。買ってくれた人ありがとー!息子に食わせる肉でも買おうかな!これが私のブログ飯!*7

トピシュさんは誰に対しても個人情報お漏らししたくない人だから、マネーゆうても頂けるのはAmazonギフト券ですけどね!!

topisyu.hatenablog.com

トピシュさんの正体

コミケ勧誘もまんまと大失敗したし結局会えてないので全然分かんないっす。期待した人すいません。

トピシュさんとのやり取りの中でも「昨日地震あったけど大丈夫でした〜?」とか聞いて何気ない風を装い居住地域を絞り込んでいこうとしたんですが全然ダメでした。*8ガードが固い。鉄壁のオルフェンズ。*9

トピシュさんのプロフィールに書いてあること全部嘘だろとか言う人もいるんですが、ほんと実際の人物像が全然見えなくて、もしかして培養液の中に浮かんでる脳髄なんじゃないかとさえ思います。そう、全ては脳髄の見ている夢の中の話……今これを読んでいるあなたも私も……。

 

まあ、トピシュさんの正体がなんであっても、書籍に収められた5万字の面白さや価値は毀損されません。

 

そんなこんなで、正月休み気分が抜けきらずぼーっとした頭をほっこりしゃっきりずっきりどっきりびっくりぽんさせるためにも是非いかがでしょうか。 

 みんな買ってねー♡

*1:これマジで誰かに作ってほしい。検索したらアクションゲームなら嫁姑のやつ既にあるみたいですね。

*2:トピシュさんの推し松はトッティだそうです

*3:初回ツッコミ特典に応募した方々はご存知のとおり、この手のツッコミどころは結局メチャ残ってましたが

*4:はてな村の月であるところのtopisyuさんにお尻ペンペンするみたいで、はてな貴族からお菓子もらった時みたいに存在級位が上がっちゃう心持ち〜俺SUGEEEEEEEEE!!!!!!

*5:なお、トピシュさんは私のブログやツイートを全て分析した結果かなりの精度で私の思考トレースを行なえるようになり、私の代わりにプリパラ実況ツイートをすることも容易です。

*6:「めんどくさがりだけど好きなことはとことんやる」例:ズボラ飯実食記事の写真は撮り直さないけど、TEXHNOLYZEの記事自力英訳とかは誰から頼まれなくても自分で勝手にやる。

*7:ブログ(がきっかけで知り合った人の電子書籍発行を手伝った収益で買う)飯。今回書籍発行してるのはトピシュさん側だけど、私自身もブログ書いてなかったら多分こういう展開になってない。

*8:余談ですが私は「幽遊白書」の後半で蔵馬が言う「馴れ合いより刺激を」という台詞が好きです。ゲスパー合戦で生活に刺激を!

*9:鉄血のオルフェンズ録画溜めててまだ見てないので紅白であんまり感動出来なくてしくじったと思った。