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【解説】米国、ロシア産原油の供給に関する制裁で日本を例外に
【解説】米国、ロシア産原油の供給に関する制裁で日本を例外に
Sputnik 日本
米国は、日本企業が参画する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で産出される原油の日本への海上輸送に対する許可を与えた。この措置には2023年9月30日までという期限が付けられている。この原油には価格の上限は設けられない。その上で、個別の許可を受けずに、制裁対象となっている個人と取引を行うことは禁止されている。 2022年11月28日, Sputnik 日本
2022-11-28T20:20+0900
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経済及び貿易上の制裁の計画と適用を管轄する米財務省外国資産管理局の許可第55号の内容は、以下のようになっている。「2022年11月21日付けの決定により禁止されている、『サハリン2』プロジェクトの枠内で採掘された原油の海上輸送に関するすべての取引は、日本への輸出用のものに限り、米東部時間2023年9月30日の午前0時01分の期限付きで許可する」。また船上での船員の健康や安全に関する危機的状況の打開、あるいは安全な係留や投錨、修理、救助活動を含む環境保護の必要に迫られた際のロシア産原油の荷下ろしに関わる手続きに対する制限も解除された。文書によれば、ロシア産原油の価格上限に関する政策は、これらの取引では例外とされる。G7加盟国は、9月、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦を理由に、ロシア産の原油価格に上限を設けることで合意に達した。制限には、合意された上限を超えた価格のロシア産原油を輸送するタンカーの保険や資金流入に対する禁止も含まれている。この措置の導入は、10月にEU(欧州連合)に承認されたもので、12月5日から発効し、2023年2月5日からは石油製品も対象となる。上限価格については、まだ合意に至っていない。これは、米国が、アジアにおけるもっとも近い同盟国である日本の利益を考慮したということなのだろうか?このような状況について、国家エネルギー安全保障基金の主任アナリスト、イーゴリ・ユシコフ氏は、次のようにコメントしている。これより前、サハリンプロジェクトに参画する企業の一つである伊藤忠商事の岡藤正広取締役会長は、日本はロシア産のエネルギー資源がなければ生き残れないとの考えを明らかにしている。岡藤氏は、欧州や米国と異なり、日本はエネルギー燃料の大半を海外に依存していることから、制裁によってロシアとの関係を断ち切ることは不可能だとし、実際問題として、ロシアからの輸入を停止、あるいは輸入量を削減したとしても、日本は生き残ることはできないとの見解を示した。つまり、日本は2つの椅子に同時に腰掛けようとしているということになる。それは、対ロシア制裁に賛同しつつ、同時に自国の安全保障に損害を出さぬよう、ロシアと協力するということである。これについて、イーゴリ・ユシコフ氏は次のように続けている。米国は、日本以外の国に対しても、許可第56号で、ブルガリア、クロアチアなど、海への出口を持たないEU諸国向けのロシア産原油の同様の取引を許可するとしている。
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【解説】米国、ロシア産原油の供給に関する制裁で日本を例外に
米国は、日本企業が参画する石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で産出される原油の日本への海上輸送に対する許可を与えた。この措置には2023年9月30日までという期限が付けられている。この原油には価格の上限は設けられない。その上で、個別の許可を受けずに、制裁対象となっている個人と取引を行うことは禁止されている。
経済及び貿易上の制裁の計画と適用を管轄する米財務省外国資産管理局の許可第55号の内容は、以下のようになっている。
「2022年11月21日付けの決定により禁止されている、『サハリン2』プロジェクトの枠内で採掘された原油の海上輸送に関するすべての取引は、日本への輸出用のものに限り、米東部時間2023年9月30日の午前0時01分の期限付きで許可する」。
また船上での船員の健康や安全に関する危機的状況の打開、あるいは安全な係留や投錨、修理、救助活動を含む環境保護の必要に迫られた際のロシア産原油の荷下ろしに関わる手続きに対する制限も解除された。
文書によれば、ロシア産原油の価格上限に関する政策は、これらの取引では例外とされる。
G7加盟国は、9月、ウクライナにおけるロシアの特別軍事作戦を理由に、ロシア産の原油価格に上限を設けることで合意に達した。制限には、合意された上限を超えた価格のロシア産原油を輸送するタンカーの保険や資金流入に対する禁止も含まれている。この措置の導入は、10月にEU(欧州連合)に承認されたもので、12月5日から発効し、2023年2月5日からは石油製品も対象となる。上限価格については、まだ合意に至っていない。
これは、米国が、アジアにおけるもっとも近い同盟国である日本の利益を考慮したということなのだろうか?
このような状況について、国家エネルギー安全保障基金の主任アナリスト、イーゴリ・ユシコフ氏は、次のようにコメントしている。
「米国は日本の利益を考慮しています。しかし一方で、自国の利益も追求しています。ここには、ある一定のニュアンスがあります。今回の例外はサハリンのプロジェクトだけに認められたものですが、日本はロシアでこのプロジェクト以外の原油はまったく輸入していないということです。日本は原油を長期契約で、つまりかなり有利な条件で購入していることから、これは日本にとって実に重要なことです。その価格は市場価格でもなく、スポット価格でもありません。そして、日本企業がサハリンプロジェクトから撤退せず、新たな運営会社の株式を維持したということだけを考えても、日本企業に対してはおそらく割引があるでしょう。ですから、日本にとっては、現在の市場におけるもっとも有利な提案として、サハリン産の原油を維持することが重要なのです。
しかし、その代わり、日本企業は、G7の加盟国として、ロシア産原油の価格上限設定に加わることに同意しました。これにより、日本企業はG7に便宜を計った形です。米国にとってこれは重要なことです。なぜなら、米国は、ロシアに対して制裁を発動しているだけでなく(米国自体は、4月1日までロシア産原油の輸入を禁止した)、幅広い国々の連合を作っているからです。日本に公式的にこの決定を支持させるために、日本にとって例外を作ったのです」。
これより前、サハリンプロジェクトに参画する企業の一つである伊藤忠商事の岡藤正広取締役会長は、日本はロシア産のエネルギー資源がなければ生き残れないとの考えを明らかにしている。
岡藤氏は、欧州や米国と異なり、日本はエネルギー燃料の大半を海外に依存していることから、制裁によってロシアとの関係を断ち切ることは
不可能だとし、実際問題として、ロシアからの輸入を停止、あるいは輸入量を削減したとしても、日本は生き残ることはできないとの見解を示した。
つまり、日本は2つの椅子に同時に腰掛けようとしているということになる。それは、対ロシア制裁に賛同しつつ、同時に自国の安全保障に損害を出さぬよう、ロシアと協力するということである。
これについて、イーゴリ・ユシコフ氏は次のように続けている。
「日本は自国の国益を守りつつ、米国の立場に矛盾しないよう努めています。制裁に対するこうしたアプローチには2つの行動モデルが見られます。たとえばハンガリーは制裁への参加に反対しています。理由は、それが国益に損失を与えるものだからです。ハンガリーは、自分たちの国に例外を作ってくれるまで、この決定を阻止すると言っています。
つまり、対立に出ているのです。それに引き換え、日本はこの問題に対し、より柔軟なアプローチを見せています。ロシアとの協力を継続するため、裏で合意を結ぼうとしています。それは単に有益だというよりも、本当に必要なものだからです。しかしその上で、公には、逆に制裁には全面的に支持しようとしています。」
米国は、日本以外の国に対しても、許可第56号で、ブルガリア、クロアチアなど、海への出口を持たないEU諸国向けのロシア産原油の同様の取引を許可するとしている。