涙の初戦敗退から1年 世代最強ストライカー高岡伶颯が「ぶっちぎる」に込めた思い

サッカー新聞 エルゴラッソ

世代最強ストライカー高岡伶颯が、最後の選手権に挑む 【Atsushi Tokumaru】

 遡ること23年12月29日。日章学園(宮崎)は全国高校サッカー選手権の初戦で名古屋(愛知)と対戦し、PK戦の末に敗退した。直前のU-17W杯で4ゴールを挙げ、注目を浴びたFW高岡伶颯(当時2年)も重圧の中でノーゴール。試合後は涙をこらえられなかった。

 だから、目標を立てた。「ぶっちぎる」と。

 あれから1年。サウサンプトン(プレミアリーグ/イングランド)加入内定を勝ち取った世代最強ストライカーは、どんな歩みを見せてきたのか。最後の選⼿権を前に、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』が高岡に迫った。

(取材日:2024年12月11日 聞き手:松尾 祐希)

※リンク先は外部サイトの場合があります

あの選手権で「俺は全然ダメだな」って

W杯直後の選手権では力を出し切れず、初戦敗退。高岡の目には涙があふれた 【Atsushi Tokumaru】

――最後の選手権が迫ってきました。高校生活の集大成です。この3年間はあっという間でしたか。それとも長く感じましたか

 いま考えれば、すごく短かったですね。確かに途中で悔しい思いをたくさんして、場面、場面で、キツい状態を過ごして、時間が長く感じることもありました。でも最終的に、“やり切れた自分”がいるので、いまはあっという間だったなと感じます。

――その意味では、昨年度の選手権本大会は悔しい思いをしました

 そうですね。自分は大会の直前にあった11月のU-17W杯でいい経験をさせてもらったので、それをチームに還元したいという思いが強くありました。W杯で4ゴールを奪えて、(周囲の)注目度も高まった中で、重圧を力に変えるつもりでいたんです。自分が(初戦の)PK戦で失敗してしまったことももちろん悔しかったのですが、それ以上に(80分間の試合の中で結果を出せずに)悔しさが残る大会でした。

――相当のプレッシャーがあったはずです。うまく消化できなかったところもあったのでしょうか

 W杯の直後で注目度は高まっていたので、“楽しんでプレーして、よりいろいろな人に見てもらいたい”と考えていました。重圧を楽しむくらいのプラス思考でいました。でも、結局はプレーで表現することができませんでした。積み上げきたものは間違いなくあったんですけど、それを全国舞台で発揮できなくて…。本当に悔しかったです。

――想像以上だったと

“こんなに注目されるんだ”という驚きがありました。(W杯後は)想像以上の反響や反応があったので、そこはうれしかったですし、力に変えたいと素直に思えたんですよね。ただ、結果を出さないと、すぐに反応は変わる。いい声ばかりが上がるわけじゃないということを自覚しながら、責任感をもたなきゃいけないと感じさせられました。ゴールを決められずに敗退したので、あの選手権で『俺は全然ダメだな』と痛感しました。

一番のストライカーになりたい。あれは本心から出た言葉

最上級生となった今季は主将としてもチームをけん引。出場した試合ではゴールを量産した 【Yuki Matsuo】

――迎えた今年はキャプテンにも就任し、今まで以上に責任感が増しました。特に印象に残っているのが、目標に掲げた『ぶっちぎる』という言葉です

 自分にプレッシャーをかける意味合いもあるんですけど、いろいろな経験をさせてもらってきた中で、“ただうまい選手では面白くない”という気持ちがありました。それこそ昨年の選手権で自分のプレーを出せず、面白くないとも感じました。だからこそ、“ぶっちぎって、自分の限界も作らずに戦いたい”という意味を込めて言ったんです。高みを目指しているという意味でも『ぶっちぎる』と誓って、“一番のストライカーになりたい”という本心から出た言葉でした。

――その目標にはどれくらい到達できていると感じていますか

 到達度はどうでしょうね。インターハイの前に左膝をケガした影響で、夏の全国舞台には立てませんでしたが、むしろ“絶対にやってやろう”という気持ちが強くなったので、今年の選手権ではケガしたことも忘れさせるようなプレーを見せたいですし、“自分の気持ちを表現するんだ”という思いがめちゃくちゃ強くあります。

――実際、得点力・決定力は“ぶっちぎった”ものがありました。今シーズンの公式戦でゴールを決められなかったのは、プリンスリーグ九州1部の第4節・ロアッソ熊本U-18戦だけだったと聞きました

 それでももっとチャンスはあったので、それを決めないといけないです。ロアッソ戦もチャンスはあったのに、仕留めることができなかった。“絶対に決める”という意味で、もっともっとこだわらないといけないんです。

1/2ページ

著者プロフィール

Jリーグを中心にお届けする日本唯一のサッカー専門新聞。J1J2全40クラブ番記者の現地取材をもとに迫力あるビジュアルで、全試合のプレビュー、マッチレポート、インタビューなどの特集を配信中。表紙コンビニプリントも好評販売中!

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント