【バドミントン/全日本総合】令和6年度 第78回全日本総合バドミントン選手権大会 大会4日目(本戦)

チーム・協会
令和6年度 第78回全日本総合バドミントン選手権大会(12月25日(水)~30日(月))4日目となる28日には、各種目本戦3回戦(女子は4回戦)が行われた。
結果や組合せ等については、大会Webページから。大会の模様は、放送・配信される予定となっている(放送・配信予定のリンク参照)。

<準決勝の組み合わせ>
MS:奈良岡功大(NTT東日本) VS 田中湧士(NTT東日本)
MS:武井凛生(NTT東日本) VS 渡邉航貴(BIPROGY)
WS:明地陽菜(再春館製薬所) VS 仁平菜月(ヨネックス)
WS:宮崎友花(柳井商工高校3年) VS 郡司莉子(再春館製薬所)
MD:岡村洋輝/三橋健也(BIPROGY) VS 霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング)
MD:山下恭平/緑川大輝(NTT東日本) VS 熊谷翔/西大輝(BIPROGY/龍谷大学)
WD:志田千陽/松山奈未(再春館製薬所) VS 大竹望月/髙橋美優(BIPROGY)
WD:福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原) VS 五十嵐有紗/櫻本絢子(BIPROGY/ヨネックス)
XD:緑川大輝/齋藤夏(NTT東日本/ACT SAIKYO) VS 柴田一樹/篠谷菜留(NTT東日本)
XD:西大輝/佐藤灯(龍谷大学/ACT SAIKYO) VS 古賀輝/福島由紀(NTT東日本/岐阜Bluvic)

<大会スケジュール>
12/29(日) 各種目準決勝 10:00開始
12/30(月) 各種目決勝 10:00開始

【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

男子シングルス

渡邉航貴(BIPROGY) 2(19-21,21-15,21-18)0 大林拓真(トナミ運輸)

ともにB代表として国際大会を転戦しており、埼玉栄高校の先輩後輩である渡邉航貴大林拓真が対戦した。12月24日時点の世界ランキングでは、先輩の渡邉が11位、後輩の大林が36位と、ワールドクラスの期待を裏切らない熱い試合となった。
第1ゲーム、スピードの渡邉、パワーの大林、それぞれが持ち味を出した1点を取り合う緊張感あるラリー展開となる渡邉の速いテンポのラリーに我慢して、強打を打ちこむ大林が連続得点でリードを奪えば、さらにスピードを上げた渡邉が速いタッチでラリーを切ってついていく。ゲーム展開として、余力を残してるように見えた渡邉に分があるように思われたが、大林の気迫のこもったスマッシュがネットにあたってインとなり、流れが大林に傾く。最後は渡邉のショットがサイドアウトとなり、19-21で大林に奪われてしまう。
第2ゲームに入ると、「シングルスがやりやすい風でシャトルが飛ばない側」のコートに入った渡邉は、テンポよく大林をコート内四隅に走らせ、強打というよりはスピードで上回ってノータッチで決めていく。一方の大林は、我慢してチャンスを作っては強打するも1ゲームのように決まらず、21-15で渡邉が奪い返す。
ファイナルゲーム序盤、積極的に仕掛けて強打を放つ大林が5連続ポイントを奪い、主導権を握る。一方の渡邉は「少し焦りはあったが、最後やりやすいコートになるので、逆転できる自信があった。少しでも点数を稼げれば」という気持ちだったと5-11で折り返す。コートが変わってからはスピーディーな球出し、特にバック奥へのロブを有効打にして7連続ポイントで同点に追いつく。大林はフィジカル・メンタルともにタフな終盤でも要所で強打を繰り出すが、なかなか決まらない。最後はサービスレシーブで大林の逆をつき、21-18で渡邉が2年連続準決勝進出を決めた。
試合後、「(明日の対戦相手となる武井凛生(NTT東日本)について)全日本社会人ではファイナルゲームで勝ったが、今大会勢いがあって、すごく向かってくると思うので、勝ちに行きたい。世界で見ても男子シングルスで小さい選手はいなくて自分で『小さな巨人』って言っているので、そのキャッチフレーズを皆さんの覚えていただき、自分のスピード感、ガッツあるプレーを楽しんでもらいたい」と話した。

左:渡邉航貴 右:大林拓真 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

女子シングルス

宮崎友花(柳井商工高校3年) 2(21-17,21-19)0 髙橋明日香(ヨネックス)

世界ジュニア選手権優勝やインターハイ連覇などのタイトルを獲得してきたA代表の宮崎友花とランキングサーキット優勝のB代表髙橋明日香が顔を合わせた。12月8日のS/Jリーグ金沢大会で対戦しており、そこでは髙橋がストレートを勝っているだけに、宮崎は雪辱を果たしたいところだ。
第1ゲーム、髙橋の連続得点で6-11となるも、「チャレンジしていく気持ち前回嫌だった球も対策できていた」という宮崎は引かずにショットコントロールを高め、ラリーに持ち込んで、髙橋のミスを誘い、点差を詰めていく。バック側からのストレートスマッシュエースを決め、宮崎は15-15と追いつく。1点を返されるもそこから髙橋のネット前で2本、スマッシュのミスで逆転に成功する。最後はサイドへの強打を髙橋はリターンできず、21-17で宮崎が奪う。
第2ゲームの序盤、宮崎のミスなどで5連続ポイントを失い8-6と追いかける展開となるも、決め急がずラリーしていくことを意識したという宮崎が前後左右に振りながら、早いタッチで決めるパターンで連続得点を奪い14-9で逆転する。一時は同点に追いつかれるも、気持ちを切らさずラリーをした宮崎が21-19で初の準決勝進出を果たした。
試合後、宮崎は「優勝したい気持ちはあるが、明日勝てないと決勝に行けないので、勝てるように頑張りたい。全日本総合の準決勝に出られることは初めてなので、自分しかできないチャレンジ、強い気持ちで戦っていきたい。」、対戦する郡司莉子(再春館製薬所)については、「球が強い選手なので、レシーブをしっかりしたい。球の使い方がうまいので、自分が崩れずにラリーに持って行きたい。」と話した。
なお、郡司と対戦する予定だった奥原希望(太陽ホールディングス)は、左ふくらはぎの違和感のため棄権となった。

左:宮崎友花 右:髙橋明日香 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

男子ダブルス

霜上雄一/野村拓海(日立情報通信エンジニアリング) 2(21-18,26-28,21-19)1 相澤桃李/佐野大輔(ジェイテクトStingers)

昨年度のS/Jリーグで破竹の勢いの活躍を見せ、トップ選手の仲間入りを果たした相澤桃李/佐野大輔と、今年度のS/Jリーグでチームのブロック1位通過の原動力となっている霜上雄一/野村拓海の顔合わせとなった3回戦の一戦。共に自身のため、チームのために4強入りを果たしたいペア同士の、意地と意地がぶつかる熱い戦いが予想された。
試合が始まると、互いにトップスピードで、持てる力を注ぎこむ激しいショットの応酬で点を奪い合っていく。決定的な抜け出しがないまま迎えた終盤に巧さを見せたのは霜上。スマッシュを相手ディフェンスが一瞬遅れるコースに正確に打ち込み、野村に前衛で決めさせる好プレーを重ねて21-18、霜上/野村がゲーム奪取に成功する。
第2ゲームも変わらぬスピード感で激しい打ち合いで進行する。引き続き霜上は有効打を多く放って相手を崩し、野村は献身的な強打でじりじりと押し込んでいき、霜上/野村が19-16と僅かにリードを奪って終盤を迎える。しかし簡単には追われない相澤/佐野は、「佐野のハーフでのショットが光っていた。僕が前に入ったとき、後ろ飛んで思い切り打ってくれたのがよかった」と相澤が振り返ったおり、佐野がリア・ミドルコートで飛びついて繰り出すスマッシュが冴えわたり、苦しい体勢からも攻める形を作れたことで追あげ、延長ゲームとなる。互いに譲らぬ攻防の中で繰り返される再延長。最後は低空ラリーから佐野が上手くシャトルの下に入って強打を沈め、28-26とした相澤/佐野が取り返した。
ファイナルゲームもどちらに転ぶ変わらない接戦が続く。「脚もつりそうできつい展開だったけど、相手の『楽しんでいこう』という声掛けが聞こえたことで、自分たちも楽しみながら精一杯のプレーができた(野村)」という霜上/野村は、思い切った判断でラリーの要所でスピードを上げるなどし、中盤からやや先行を見せ、前ゲーム同様に19-16として最終盤へ。ここから相澤が我慢の攻守で得点につなげて肉薄するも、最後は野村が相手サービスを鋭くプッシュして決め、21-19とした霜上/野村が83分の激闘を制し、初の準決勝進出を決めた。
「先に行われた混合ダブルスではファイナルゲームを接戦で負けてしまったので、この男子ダブルスは競った展開で負けたくなかった」と最後まで強い気持ちを貫いた霜上、初となる総合4強入りの喜びを野村とかみしめた。更なる高みへ、明日の準決勝でもトップスピードで臨むこのペアからは目が離せない。

左:霜上雄一(左)/野村拓海 右:相澤桃李(左)/佐野大輔 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

また、武井優太/遠藤彩斗(NTT東日本)をストレートで下した第1シードの岡村洋輝/三橋健也(BIPROGY)は、「(保木卓朗/小林優吾(トナミ運輸)が欠場しているので、)A代表のプライドを持って優勝したい。相手は向かってくると思うので、それを上回るぐらい気持ちを入れ、出してから気合を入れていきたい(岡村)」、「今日はたまたま勝てたようなものなので、より勝てるような戦術とか、気持ちの持ち方とか、準備の仕方を明日もやっていきたい(三橋)」と意気込みを話した。

左:岡村洋輝(右)/三橋健也 右:武井優太(奥)/遠藤彩斗 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

女子ダブルス

福島由紀/松本麻佑(岐阜Bulvic/ほねごり相模原) 2(21-11,21-8)0 篠谷菜留/山北奈緒(NTT東日本)

先月の熊本マスターズでお披露目となった、オリンピアン同士の新ペア福島由紀/松本麻佑が準々決勝に登場し、篠谷菜留/山北奈緒と対戦した。今大会を個人戦のラストトーナメントと表明している篠谷が、13年前に高校チャンピオンになったときのパートナーである福島との対戦。巡り合わせも含め、長年第一線で活躍してきた選手たちの戦いに注目が集まった。
第1ゲーム開始するやいなや、圧倒的なアタック、自在のレシーブを操る福島/松本が8連続得点と鮮烈な得点劇で大量リードを奪う。試合巧者の篠谷がラリーを組み立てて攻勢に出たい篠谷/山北だが、相手の配球がうまく、速いテンポで動かされて意図したショットを繰り出せない。相手の繋ぎ球やドロップショットを速いタッチで切り返すなど、終始優位に球を打ち分けて沈めた福島/松本が、21-11としてこのゲームを奪う。
第2ゲームに入り、篠谷/山北は攻め手を増やして仕掛けるものの相手ディフェンスを打ち破れない。
引き続き主導権を握る福島/松本が質の高いショットの数々で、6連続・8連続と2度の大型得点を積み上げて14-2と大量リードを奪う。この1年、1周り年下のホープである山北を鍛えるべく共に戦ってきた篠谷は、苦しい中でもたくさんの声掛けをし、最後まで鼓舞して戦う。その思いに応えたい山北は、うまくサイドのコースを使いながらの強打で相手レシーブを破る得点をあげるなど、通用するカードを必死に繰り出していく。それでも実力に勝る福島/松本が、要所で効果的な緩急・ドロップショットで相手の脚を止めるなど、数段上のプレーを見せつけて21-8、盤石の勝利を掴んだ。
試合後、「混合ダブルスの試合終了からあまり時間がなくきつかったけど、最初から集中してプレーできた。松本の強打が頼もしく、やれることをしっかりやれた」と冷静に話した福島。松本も「今大会、毎日いい試合の入り方ができていて、今日は後半も詰められることなくいいリードを保てたのがよかった」と好感触を示している。一方で共に「今日までと明日からの試合は違う。明日は簡単には決まらないラリーとなると思うので、より引き締めていきたい」と、更なる真剣勝負となる準決勝以降への意気込みを語った。
また、かつてのパートナー・篠谷のラストトーナメントでの対戦であったことについて、福島は「楽しんで試合をしたいと思っていた。試合が始まってからは一相手として真剣に戦ったし、試合が終わったらやはり寂しい気持ち」と話した。これで女子ダブルスを終えることとなる篠谷は、山北の今後を期待する言葉を多く発しつつ、「最後に福島と当たれたのは何かあるのかな、という感覚。(勝ち残っている)混合ダブルスでも(互いに決勝まで行って)対戦できたら」と話し、責任の強さとともに最後の最後までやり遂げる意思を示した。

左:福島由紀(左)/松本麻佑 右:篠谷菜留(右)/山北奈緒 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

五十嵐有紗/櫻本絢子(BIPROGY/ヨネックス)は、中原鈴/広瀬未來(筑波大学)を相手に、1ゲーム目自分たちのプレーができず、二人で話し合いながら修正してファイナルゲームを制した。準決勝では福島由紀/松本麻佑(岐阜Bluvic/ほねごり相模原)との対戦に向けて、「攻撃の面でも守備の面でもすごく強い二人、初めて対戦しますし、自分たちのプレーがどこまで通用するかすごく楽しみな一戦。(櫻本)」、「福島選手は一緒に組んだりしてもらったこともあって、すごく上手なプレーヤーですし、松本選手もすごい強打があったり、どこに来るかわからないっていう球出しすごく上手で楽しみ。楽しみなだけじゃなくて、勝ちにこだわってプレーしたい(五十嵐)」と語った。

左:五十嵐有紗(右)/櫻本絢子 右:中原鈴(右)/広瀬未來 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

混合ダブルス

古賀輝/福島由紀(NTT東日本/岐阜Bluvic) 2(23-21,24-22)0 渡辺勇太/田口真彩(BIPROGY/ACT SAIKYO)

日本の混合ダブルスの歴史を急速に進めた第一人者・渡辺勇大の新たな挑戦、高卒1年目の田口真彩とのペアで臨む初の全日本総合は、まさかの結末となった。準々決勝で対戦したのは、9月の全日本社会人に出場するなり、一気に初優勝を果たした古賀輝/福島由紀のスタープレーヤー同士のペア。
第1ゲームは、スピードを活かした連係プレー・連続攻撃で先行していく渡辺/田口に対し、古賀/福島は鉄壁のディフェンスから巧みに揺さぶって相手のミスを誘って追いつくという構図で進んでいく。19-16の場面、畳みかけて逃げ切りたい渡辺/田口だったが、正確無比なプレーを誇る渡辺には異変ともいえるショットのミスが続くなど、相手に4連続得点を許しゲームポイントを握られてしまう。このあと低空戦からのチャンス球でドロップショットを決めて渡辺らしさを取り戻して延長ゲームに持ち込むが、迷いなくラリーを展開する古賀/福島が上回って23-21と先取する。
第2ゲームも引き続き先行する渡辺/田口、追いつく古賀/福島の構図は変わらない。このゲームでは、「全日本社会人では前衛で何もできず悔しい思いをしたので、しっかり練習を積んできた」という田口が、フロントコートで揺さぶられながらも体勢を素早く立て直して沈めるなど、ネット前でのプレーが光る。後半には見事な抜け出しで20-16とゲームポイントを握る。しかしそれでも古賀/福島が堅実だった。「コーチからの助言で大きい展開にしてみたら後半にうまくはまった(古賀)」と振り返った通り、相手の強打は的確に押し返し、リスクを避けながらも粘り強く相手の予測を外す配球で着実に追い上げ、再びの延長ゲームへ。最後まで素晴らしいアタックを見せた渡辺/田口だったが、サービス回りの間やショットで田口が精彩を欠いてしまう。そこを逃さず球を集めた古賀/福島が、24-22として準決勝進出を勝ち取った。
試合後、「初めての(渡辺)勇大との対戦だったので嬉しかった」と意外な思いでコートに立っていたことを語った福島は、この種目での経験は少ないものの「開き直ってプレーできた。シャトルを返せばパートナーが何とかしてくれる」と話し、実力者の無欲のプレーの強さをあらためて示してくれた。残り2試合、古賀/福島は社会人に続いて虎視眈々と総合タイトルの獲得を狙う。

左:古賀輝(右)/福島由紀 右:渡辺勇太(左)/田口真彩 【ⒸNipponBA2024/PHOTO:T.KITAGAWA】

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著者プロフィール

公益財団法人日本バドミントン協会は競技の普及進行をになう競技団体として活動。世界最速のスポーツであるバドミントンの持つ魅力を多くの方に知っていただきファンになってもらえるよう、世界で活躍する日本代表『BIRDJAPAN』の情報を中心にナショナルジュニアの活動や国内競技会などの情報を皆さんにお届けしていきます。

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