ソウルでAlphaGo Movieを観てきた
AlphaGoのドキュメンタリ映画、AlphaGo Movieの予告動画がカッコよすぎたので、週末にわざわざ韓国に出向き、研究室時代の韓国人の友人と一緒にソウルで観てきました。アジア圏での上映はこれが台湾に次いで二カ国目だと思います。
少なくともこの予告動画(Trailer)は一見の価値があるカッコよさです。
ちなみに映画を見終えた数時間後に now available for download! とアナウンスがありました。控えめに言って死にたい。。。
So excited that the #AlphaGo documentary and the behind the scenes story of the dramatic match in Seoul is now available for download! Enjoy! https://t.co/C9icPt5mKQ
— Demis Hassabis (@demishassabis) 2017年12月3日
内容
個人的にはとても面白かったです。
予告を見ればわかりますが、内容としてはAlphaGoと、最強の囲碁棋士と目されるLee Sedolの人類の威信をかけた五番勝負が中心です。囲碁ヨーロッパチャンピオンで、最初にAlphaGoに敗北するプロ棋士Fan Huiが、物語のある種の語り手となって話が進んでいきます。人物としては、話の中で一番注目が当たっていたのは当然Lee Sedol、その次がDeepMind CEOのDemis Hassabisという構成で、AlphaGoプロジェクトのトップのDavid Silverはそこまでフィーチャーされているという印象は受けませんでした(もっとフィーチャーされてもいいのではないかと思いました)。また当たり前ですが、全体としてとくに事前知識がなくても楽しめる作品になっていて、技術的な内容に関しても特に踏み込んだ話はありません。ただ、論文を読むだけではわからない当時の雰囲気を感じられるという点で一見の価値ある作品だと思います。
ちなみに日曜ですがガラガラでした。
個人的に印象に残った点
以下は多少ネタバレになるかもしれません。
個人的に印象に残ったのは、やはり戦いが進むにつれ変わっていくLee Sedolの心境と、その表情でしょうか。試合前には静かながらも確固たる自信を覗かせていたLee Sedolですが、第一局目の終盤には少しあっけにとられ、投了時にはいささか認め難いといった表情を見せます。そして第二局目では、途中席を立ちタバコを吸って気持ちを整え戻ってきてところで、(一見人間には悪手にしか見えないながらも)芸術的とも言われたAlphaGoの妙手を突きつけられ、困惑を隠しきれません。
また第四局目、Lee Sedolが奇跡的な一手を放ち勝ち星をもぎ取るわけですが、その一手について聞かれたときの「自分にはそこしか考えられなかった」という趣旨の発言がとても印象深かったです。AlphaGoはそこに打たれる確率は0.007%程度と予測していたわけですが、Lee Sedolにはそこしか考えられなかったというのは少し面白い話です。
あと個人的にはもう少しAlphaGo製作の過程が観れると嬉しかったかなという印象ですが、冷静に考えるとある程度完成してからカメラを入れ始めたのでしょうから、しょうがないのかもしれません。それでも、AlphaGoチームがメンバー間で密に連携を取ってプロジェクトを進めていたんだろうという雰囲気がなんとなく伝わってきました。メンバー個々人ももちろん天才といって過言でない人々なのでしょうが、そうしたメンバーが個人技だけでなく、それなりの人数で一丸となってこうした大きな成果を出すというのは、やはり尋常ならざる偉業だと感じました。あとやたら筋肉質なメンバーが目立っていた印象で、僕も筋トレしようかなと少しだけ思いました(違
また改めて、作ったエンジニアにとってはただプログラム通りに動いて学習したモデルに過ぎないわけですが、囲碁棋士からみるとAlphaGoには知性があり、芸術的な一手を指すように見える(ときがあった)というのも面白いと感じました。正直僕はまだニューラルネットワークに知性を感じたり、あるいは例えば人格を持っているかのように感じたことはないですが、もしかすると、将来そういったニューラルネットワークが見られるかもしれないと妄想し、楽しみに感じました。
以上ポエムでした。ダウンロード版が観られるということで、皆さんも是非ご覧なってはいかがでしょうか。世間のAI・機械学習人材がNIPSで忙しい中、二年ぶり二回目に書くブログがポエム旅行記というのはなんとも情けない感じもしますが、やむを得ません。
ちなみにチーズダッカルビ美味しかったです!!