2016年LGBTニュースまとめ
2016年を振り返って、個人的に印象に残っているLGBT関連のニュースをまとめてみました。
1月
LGBT特集のイノッチ発言に賞賛「理解者になろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」
ネット上では、イノッチのこんな言葉が称賛を集めていました。
「人として付き合っていけたら一番いいと思うんですよ。ゲイだろうとレズビアンだろうと、いい奴も悪い奴もいると思うし」
「これを見てアライ(理解者)さんになろうとする前に、自分だったらどうか想像してみること」
「日本の社会のためには、みんなが気持ちよく仕事できるのが一番いいわけじゃないですか。制度とか難しいと思うけど、そういう方向に向かっていくしかないんじゃないかな」
2月
三重県伊賀市は16日、同性カップルを公的に「パートナー」と認める制度を4月1日から始めると発表した。「LGBT」と呼ばれる性的少数者の人権を尊重する姿勢を示すことで、市民の意識改革を促す狙いがあるという。
「性の多様性を尊重する都市・なは(通称・レインボーなは)」宣言した那覇市は、同性カップルを結婚と同等の関係と認める「パートナーシップ制度」を、「ピンクドット沖縄2016」が開催される7月17日をめどにスタートさせる。また同制度に加え、市独自の取り組みとして市職員で通称名の使用を希望する場合は、辞令交付などの行政処分にかかる場合を除き許可していく方針。
3月
「LGBT」高校の教科書に掲載
2017年度の高校教科書に「LGBT」という言葉が盛り込まれる。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを指すこの言葉が教科書に登場するのは、これが初めてとされる。
性的マイノリティや多様な家族についての記述は、地理歴史や公民、家庭の3教科の教科書計31点あり、うち家庭の4点がLGBTを取り上げたという。
生田斗真、桐谷健太と恋人役 初のトランスジェンダー女性役で新境地
俳優の生田斗真が、荻上直子監督が5年ぶりに手がけるオリジナル脚本の新作『彼らが本気で編むときは、』(2017年2月25日公開)で、初のトランスジェンダーの女性役で主演することが20日、わかった。
アメリカ全50州で、同性カップルが養子を迎えることが可能に
3月31日、アメリカの連邦裁判所は、ミシシッピ州の同性カップルが養子を迎えることを禁じた法律を違憲とする判決を下した。これにより、アメリカの全50州で同性カップルが養子を迎えることが合法となった。
4月
文科省が性的マイノリティの児童生徒に関する教職員向けパンフレットを公開
LGBTなど「性的マイノリティ」の児童生徒について、教育現場はどう対応すべきか。文部科学省は4月1日、教職員向けパンフレットを公表した。
5月
イタリア、結婚に準ずる権利認める 同性カップル権利法が成立
イタリアで5月11日、同性カップルに結婚に準じた権利を認める「シビル・ユニオン」の合法化法が下院で可決した。
レンツィ首相は公式Facebookページで、「多くの人にとって記念すべき日となった。ついに認められたと感じる人も、今夜は眠れなかった人も、どこで祝おうかと思っている人も、もう待てないと思っていた人も」などと書き込んだ。
これにより、G7の主要7カ国で同性カップルに関する国の法律がないのは日本のみとなった。
日本政府は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)の子どもを学校でのいじめから保護できていないと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書で指摘した。LGBTの人びとへの平等な権利保障に関する議論が社会全体で高まる中、国のいじめ防止対策は2016年の見直し時期を迎える。
東京レインボープライド2016開催
同性愛やトランスジェンダーといった性的少数者(LGBTなど)が自分らしく生きることができる社会を目指そう、と訴える「東京レインボープライド2016」のメインイベント「フェスタ」が7日、東京都渋谷区の代々木公園で始まった。
運営委員会によると、今年は過去最高の7万人の来場を見込んでいるという。
The Huffington Post
東京レインボープライド2016、大盛況のフェスタ初日に行ってみた(画像集)
BuzzFeed
東京レインボープライド 代々木公園で国内最大級のLGBTフェスタ
KABA.ちゃんが女性の声を初披露 性別適合手術後、初の番組生出演
6月
フロリダ ゲイクラブ銃乱射事件
12日午前2時ごろに同性愛者向けのナイトクラブ「パルス」内で乱射を始めたという。49人が死亡、53人が負傷して病院に運ばれた。13日朝までに、死者48人の身元が確認されたという。
イギリス ウィリアム王子がゲイ雑誌の表紙を飾る
英国の同性愛者向け雑誌「アティチュード」の表紙にイギリス王室のウィリアム王子が掲載され、LGBTへのいじめ問題について「どんな人でも性のあり方によっていじめを受けることがあってはならない」と語りました。
8月
一橋大学ロースクールに通っていた男性(当時25)が、校舎から転落して亡くなった。仮名をAくんとする。彼はゲイであることを同級生にばらされ、苦しんでいた。愛知県在住の遺族は、秘密をバラした同級生や大学を提訴。8月5日、東京地裁で、第1回の口頭弁論が開かれた。
リオ五輪、LGBT選手の参加者数が過去最高に
欧米メディアによると、リオデジャネイロ五輪は性的少数者(LGBT)の参加者数が過去最高となった。米CNNテレビは人権団体の調べとして、今回は少なくとも41人が出場し、23人だった2012年ロンドン五輪を超えたと報じた。
LGBT、働く人の8% 職場にいると「抵抗を感じる」が35% 連合が調査
職場の上司や同僚、部下などが、いわゆるLGB(同性愛者、バイセクシュアル)であった場合、どのように感じるか聞いたところ、「嫌だ」(どちらかといえばを含む)は35.0%、「嫌でない」(同)は65.0%。職場に同性愛者やバイセクシュアルがいることに抵抗を感じるという人は3人に1人の割合となった。
10月
work with Pride 2016開催
11月
渋谷区 同性パートナーシップ証明書発行から1年
2015年11月5日にスタートした同性カップルへの「パートナーシップ証明書」の発行開始から1年、渋谷区はダイバーシティ推進のための施策を積極的に進めている。今度はLGBTのためのコミュニティスペースの設置を打ち出し、そのキックオフイベントが11月3日、行われた。
ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に
12月
成宮寛貴さん報じたメディアの罪、ゲイ当事者が指摘「同性愛"疑惑"が娯楽として消費された」
同性愛の当事者は、一連の報道の渦をどのように受け止めたのか。ゲイを公表している南和行弁護士は、ハフィントンポストに寄稿し、「同性愛の噂話が娯楽として消費される」ことで同性愛者らへ与えた被害を以下のように指摘した。
札幌市 同性パートナーシップ制度を検討 政令指定都市では初
市の案では、希望するカップルに証明書を交付し、婚姻関係にある異性パートナーに準じた扱いが受けられるようにする。これまで同性同士では困難とされてきた生命保険の受け取りや住宅入居時の手続きがしやすくなると見込まれる。
台湾で同性婚認める法案の審議開始 アジア初
台湾で同性婚を認めることを盛り込んだ民法の改正案が議会に提出され、アジアで初めて同性婚が法的に認められるかどうか、審議の行方に関心が高まっています。
台湾では「LGBT」と呼ばれる性的マイノリティーへの理解が若者を中心に進んでいて、ことし10月には当事者や支援者による8万人規模のパレードが開かれ、蔡英文総統も同性婚への支持を表明しています。
ジョージ・マイケルさん死去
英国のシンガー・ソングライター、ジョージマイケルさんが死去した。53歳だった。マイケルさんの広報担当者が25日、「自宅で安らかに息を引き取った」と発表した。98年に自ら同性愛者であることを公表。
Beyond the Rainbow
5月に開催された東京レインボープライド2016のテーマが「Beyond the Rainbow 〜LGBTブームを超えて〜」でした。
今年もLGBTという言葉を多くの場所で見聞きしました。理解が広がっていくことは素晴らしいことですし、LGBTもLGBTではない人にとっても、より自分らしく生きられる社会へつながることだと思います。
2016年を振り返って、嬉しいニュースも多くありましたが、それと同時に悲しい事件も世界中で起きていて心が痛みます。
まだまだLGBTが抱える困難は山積しています。ブームとして終わらせるだけでなく、ひとつひとつ着実に解消していきたい。
「LGBTって言葉を前によく聞いたけど、あれ何だったんだろう」ではなく、「LGBTなんて言葉が昔はあったらしいね」と、LGBTかLGBTではないかというカテゴリーにもとらわれず、自分らしく生きている人たちがあたりまえに存在している世の中になると良いなと思います。
プロフィール
松岡宗嗣(Soshi Matsuoka)
1994年名古屋市生まれ。オープンリーゲイの大学生。NPO法人ReBitスタッフ。LGBT支援者であるALLY(アライ)を増やす日本初のキャンペーン「MEIJI ALLY WEEK」を主催。SmartNews ATLAS Program