担当したソーシャルゲームが終わる。

自分が一部プランニングを担当していたソーシャルゲームの終了日と告知日が決まった。

一生懸命維持しようとしていたし、月に合計で1000万くらいはユーザー様に課金していただいてはいたが、プラットフォーム様にいくらかお渡しし、そこからサーバー維持費、人件費を捻出するとなるとどうしようもなかった。

課金施策を考える人間はここから地獄がはじまる。

終わるのがわかっている中でユーザー様にはお得とか確率アップの言葉を並べて課金してもらう。人を騙している気持ちでいっぱいになる。

終了告知が発覚しないようにしつつ、できればここで逃げてほしいと思いながら悲しい気持ちでアイテムパックの仕様書をコピペする。


憂鬱な気分の中、チームリーダーからこの月の施策が弱い。売り上げの為に最上位レア1枚以上確定ガチャをやろうと提案をされた。リリース日は終了告知日の2週間前である。

あなたには人間の心がないのか?とオブラートにたくさん包みつつ会社の看板に泥を塗ることになりますよ?と伝えたがリーダーの言い分はこうだった。


「別に終了告知日に終わるわけではないし、大丈夫。」


全然大丈夫ではない。

終了告知日はユーザーにとって終わる日であり、のこりの期間は四十九日みたいなものだ。

説得に説得に重ね、なんとか下げてもらった。


別の日、リーダーが素敵な笑みを浮かべてガチャの仕様書を作って見せてきた。

最上位レアでかなり人気のあるキャラがさらに強化されて登場するガチャだった。

「イラストは用意してもらってたんだけどリリースタイミングなくてさぁ、もったいないし最後に出そうと思うんだ!レアリティは一緒だけど他の最上位レアよりパラメータが大幅に上回ってる!これは売れる!前回は君の意見を通してやめたから今回はこっちの意見を通してよね。」


僕は仕様書を書く手を止めて辞表を書く準備をした。