空色のパノラマ

空色のパノラマ

なにげない毎日の中にひっそり佇む、ささやかで見落とされがちな奇跡をX100Fとクラシッククロームで綴る日記。

57億の孤独(あかり)。通信は伝えることが全てで理解を求めない。そして、人間そのものが希望。

※撮影:2022年10月。自宅、近所、バー。

今年47歳にして初めて、ビールや日本酒、その他お酒を美味しいと感じるようになり、
とはいえ量はもうほんとに少ししか飲めないんですが、先日会社の同僚に連れられて
バーに行きまして。ウイスキーをちびちびやりながら話すのがこんなに楽しいとは!!
ようやく大人の階段をのぼりはじめました(笑)

さて、タイトルは言わずと知れたカイジです。
言わずと知れたじゃ不親切か。多額の借金を抱えた主人公が地下社会のギャンブルに
身を投じることになり、そこで課せられる無茶な課題に挑んでいく、という漫画でして。
(という漫画のはずだったのに今現在は・・・汗)

カイジの初期の頃、キレッキレに面白かったころ、建築中(だったかな?)のビルに
渡された鉄骨の上を命綱なしで渡り切れば大金が手に入り、落ちれば死、という
「ゲーム」に挑まされているときのセリフ。
真っ暗闇の中を二本の鉄骨を、たくさんいた仲間もほとんど落ちてしまい、それぞれを
一人ずつ渡る主人公ともう一人。
お互いに助けることもできず、極限状態の中で、孤独に歩いているとき。

「カ・・・カイジ・・・ 在(い)るか!?在るか!?そこに・・・」
「在る・・・!在るぞっ佐原っ・・・!在る・・・!在る・・・!」

お互いに助けることもできず、すぐそこに死がせまり、無力感にさいなまれる中、
かけられた言葉はお互いに自分がまだいるということを知らせる言葉。
相手がそこにいるということを確認する言葉。

それだけ。ただそれだけ。だけどそれだけで、胸に湧いてくるぬくもり。
感謝の気持ち。ただ相手がそこにいるということだけで救われる。
人間がそこにいるということが希望だったんだ。

この前後、孤独な暗闇の中を一人渡るということが、まさにこの地球上に生きる人
そのものじゃないか、と主人公は感じます。自分の心が分からないのに相手の心が
分かる訳がない。どんなに親しくても孤独に生きて孤独に死んでいく。
言葉は不確かでお互いのやり取りも理解しているのか理解されているのか・・・・

そして上記の場面にたどり着きます。
お互いがそこにいることそれ自体で救われる、それ自体が希望である。
通信(言葉、やりとり)は発信して相手に到達した時点で目的を達している。
理解を望んではいけない。それ自体が希望であると。

すごく好きな場面です。実感を持って理解できます。
こういう意味の孤独、ということは自分も常に感じていて、でも、そのありようが
普通であって、分かり合えっこないからこそ発信し続けるし、反応し続ける。
そして(仮に誤解であってもうわべだけであったとしても)、そういうやり取りが
できたそのこと自体に感謝を覚える。
昨夜眠れなかったとき、急にこの場面を思い出して、それだけで温かい気持ちが
湧いてきました。