"Calm"- 2
タスマニアに魅せられた理由の一つは、この「丘のある風景」だと思っている。
青い空、ぽっかり浮かぶ白い雲、もこもこと突き出た緑の丘、そしてその上に白く点々と散らばる羊たち。
もし、あなたの心が「もうお願い!すこし休ませてちょーだい!」と悲鳴をあげたら、この丘と羊の群れを眺めることを、僕はお勧めする。
ここタスマニアは、あなたの心を躍らせる目立ったものはないかもしれないが、あなたの心を落ち着かせ、明日もとにかく頑張ろう、と思わせてくれる何かがあると思う。
僕がこの丘のある風景に憧れるのは、きっと、子どもの頃に観た「ライアンの娘」という映画の影響だろう、と自己分析している。
アイルランドの港町がその映画の舞台だったに違いない。
テレビで1度観たきりの映画だが、ストーリーもシネマトグラフィーも強烈な印象とともに僕の頭の中に定着している。
緑の丘を見るたび、僕はあの映画を思い出す。
タスマニアの、この牧歌的な緑の丘も、夏になると暑さと乾燥のせいで、全てが枯れ草色の世界に染まる。
モノトーンのその丘は、タスマニア独特の変化に富む光を受けて、いくつもの違った顔を見せる。
その光景は、まるで違う惑星を見ているようだ。
僕はその変化になぜか「もののあわれ」を感じてしまう。
そして、そこにはまた、絶対的な「静けさ」がある。
by somashiona | 2007-03-29 07:48