BUMP OF CHICKEN Sphery Rendezvous @大阪 京セラドーム Day1

<セットリスト>

Sleep Walking Orchestra
Aurora
なないろ
車輪の唄
記念撮影
青の朔日
strawberry
飴玉の唄
メーデー
レム(Band ver.)
SOUVENIR
アカシア
クロノスタシス
木漏れ日と一緒に
天体観測
窓の中から

EN
虹を待つ人
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引用元

BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous 全公演セトリ | The Chickens

 

この前対談コラボをした一宮さんに「そういう(分析的な)見方をしていて泣けますか?」と聞かれたんですけれど、これはまさにその通りで、僕はと言えば、ライブを見ながらライブレポートの文章を考えたりしてしまい、そんな自分に気づくたびに悔しい気持ちになったりして生きている。

しかし、それでもライブに行き続けて僕は気づいた。そんなよこしまな気持ちを吹き飛ばしてくれるような素晴らしい体験がこの世界にはある、だからそんなことは気にしなくていいと。

例えば、この日の BUMP OF CHICKEN のライブのように。

Sleep Walking Orchestra からの始まりは予想通りだったし、僕はいつもの僕のように「ドームだと音は少しぼやけるな」とか「隣のお姉さんずっとすすり泣いてるな」とか、そんな事を考えていた。

しかし、車輪の唄あたりから少しずつ、それは変わっていった。藤原さんの歌声がすごいのだ。少ししゃがれていてまっすぐで豊かな音域をもつトップバンドにふさわしい歌声、それは前からそうなのだがーー今日は声量と感情の乗りかたがすごい。それはおおよそ、車輪の唄の物語的世界観には少し不似合いではと感じるぐらいの圧倒的な感情の乗せ方だった。

そして飴玉の唄でそれは最高潮に達した。信じるのことの意味を追求するという壮大なテーマを、小さな飴玉に封じ込めた、矛盾を美しく歌詞世界に織り込むことに長けた BUMP OF CHICKEN らしい曲。そのCメロのあまりの感情の塊のような歌に撃ち抜かれて、僕はすっかりライブレポートのことや音響のことは忘れてしまった。この飴玉の唄を超えることは今後もないんじゃないか、そう思わされた。こういう瞬間のために僕はライブに参加しているんだと思う。

同時に、最新アルバムのこともより深く理解できた気がした。絞られた音数は藤原基央の幼なじみのバンドメンバーの音を一つ一つしっかり聴きたいからで、サビで高音コーラスを多用してるのは一人で歌うと寂しいからなんじゃないか。これだけ大きいバンドになっても、そんな素直な藤原さんの寂しさ(それはコロナ禍を経たことも大きいと思う)から最新作はできていたんじゃないか。そんな風に思った。

「中学生時代に、全員帰り道の方向がバラバラなのに一緒に帰って、広場で夕日が沈むまでまってから解散するのがルールだった。
 それが、当たり前だと思ってた」
ベースのちゃまさんはそんなMCをした。BUMP OF CHICKENを象徴するようなエピソードだと思う。デビューから、ずっと孤独を見つめ続けて音楽を作ってきた藤原さんにずっと寄り添い続けられること。それこそが、楽器のうまさとかそういうのを超えた、BUMP OF CHICKENでいるための条件なんだと思う。

図らずもインターネットの登場で世の中はどんどん寂しくなっていっていて、BUMP OF CHICKEN の音楽は、天体観測の頃から今も居場所を失わないどころか、むしろどんどん需要が高まっているようにすら思う。

とんでもない強度の歌詞を書き続けて、感情をすべて使い果たすような歌い方をして、ライブの最後は長い長いMCでファンがいかにすごいかを熱弁して(こんなこと前回の参戦時にはなかった)ーーそんな藤原さんが立ちづづけられるように、ずっと BUMP OF CHICKEN でいて欲しい、そう思った。

そういえば。

あまりに感動しすぎると、うまくライブレポートが書けない。そういえば前にRADIOHEADの感想を書いたときは熱が入りすぎと 2ch にさらされたりもした。

多分今日もうまく書けていないし、そもそもすでに BUMP OF CHICKEN は仙台にたどり着き、バンプ界隈の人たちは Green Day のカバーと藤原くんが「残念、僕既婚者」とつぶやいたことに夢中になっている。
完全に時期を逃した。仕方ない。

それでも、僕は個人的にあの魂そのもののような歌声だった「飴玉の唄」の感動を振り返るために、文章を残しておこうと思ったのだった。

 

 

 

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<過去のライブレポート>

BUMP OF CHICKEN 2006 TOUR“run rabbit ran”at レインボーホール - 夕べの夕陽の眩しさの理由。

三回目。二回目は aurora ark の時で2019年(レポなし)。

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