Google Cloud Partner Top Engineer 2024を頂いた者です.
仕事はエンジニア系のコンサルとSRE, 趣味(と前職以前の仕事)で機械学習や生成AI*1をやっとります.
この記事は当ブログの名物かつ人気シリーズである,
主に技術書を中心としたオススメ書籍(元々はPython本メイン)の紹介エントリーです.
※去年の記事はこちら.
本年のこのエントリーは,
- 2024年の推し本4冊
- CloudおよびSREな4冊
- いい感じな技術書2冊
この三本立て(+私の完全なる趣味チョイスで数冊)でご紹介できればと思います.
というわけで, 本年のラインナップは以下の通りです.
なお, 先に言っちゃうとPython本らしいPython本はありません🙏*2*3
この記事の著者
勧められた技術書はノールックでAmazonでポチるもしくは本屋でジャケ買いする程度に技術書大好き, 手を動かすエンジニアリングはもっと大好きな23年目エンジニアです.
2024年の推し技術書10冊
数えるのが面倒くさい程度に技術書はたくさん読んでいるのですが, その中でも特に推したい10冊を紹介します.
なお, 一部技術書じゃないモノも混ざっていますが「エンジニア人生のために読んでほしい」というお気持ちを込めて書いております🙏
特に推したい4冊
このブログのサムネイルが一発回答だったりします.
この4冊の共通点として,
- 分野問わず, 「IT」「DX」「クラウド」「リスキリング」とかの流行り言葉(笑)に効くと思う.
- 眼の前のスキルや仕事の状況に囚われない, 自分と世界の未来が見える気がする.
- かつ, 老若男女問わず読めそう(クラウドストラテジーはちょっと怪しいが*5)
があるなと思い, 特に強くおすすめします.
クラウドストラテジー
クラウドの仕事で困ったときに手元にあると最高に良い一冊でした.
「AWSとGoogle Cloudどっちがいいの?」「K8sとGKEとサーバレスってどれがいいの?」「Firebaseって何がいいの?」などといった疑問を解決したい方*6は概念理解という意味でも買って読むと良さそうです.
私はクラウドに強い方の紹介で買って読んだのですがテーマ設定から考え方, 対処法まで網羅されていて良い本でした.
タイトルに「ストラテジー(Strategy/戦略)」と入っているので一見すると「エンタープライズ向けの本」「でかい会社やSI, コンサルの人向けの本」に見えると思いますが, 読んでみると色んなところにハマる本でして.
- そもそも何故クラウドが必要なのか?
- 「マルチクラウド」「ハイブリッド」「サーバレス」などよく出てくるワードの概念説明
- 選択肢ごとのメリット・デメリットや考慮すべき観点
といった事が程よくまとまっていました.
個人的にはAWSやGoogle Cloud(GCP), Azureといった特定のPublic Cloudに沿った内容ではない所が尚の事ポイント高かったです.
ちなみにペーパーバックのみで電子書籍は無い模様です&何かしらのクラウドをちゃんと使っているレベル*7じゃないと読めない本(初学者向けではない)事に注意が必要です.
世界一流エンジニアの思考法
強いエンジニアの習慣がここまでいい感じに言語化されている!!!
と言って良い本です.
私の感想は過去にブログで書いているのでそちらを御覧ください.
著者の牛尾さん含め, 様々な方が感想ブログやnoteなどを書いているのでご覧になって気になったらぜひ読むと良いかと思います*8.
仕事に役立つ新・必修科目「情報Ⅰ」
5年後のITな若者と働く際に我々が知っておくべき未来と知識が詰まった良著です!
衝撃を覚えました, マジで.
私の感想は一言で言うと,
でした, 下手なIT系企業の社内研修*11より良く出来ています情報Ⅰ.
「高校生の上位層は『ITパスポート試験』と同程度の能力を持つ」
的な事が書籍内に書かれていましたが読んでいて本当にそう思いました.
統計やシステム開発, プログラミングといった情報Ⅰの範囲の話以外にも「情報Ⅰを超えて今学ぶこと」と称して,
- 機械学習
- 生成AI
- SDGsなどの政府系バズワード
の話もよくまとまっており, ビジネス書と言い切れない, 技術者としても読むべき内容にまとまっていて良かったです.
キャリアづくりの教科書
学生から新人, 中堅にベテラン. すべての老若男女のビジネスパーソンが読むべき一冊です.
転職という狭い話ではなく, 「ビジネスパーソンとしてのキャリアをどのようにいい感じにするか」という観点で良い本です.
「エンジニアな本」かと言われるとNoなのですが, エンジニアは特に悩みがちな話題が乗っているので読んで損はないです.
この本自体は地元の本屋で立ち読み→秒で気に入って購入してあっという間に読破しました.
- 自分自身を言語化する
- 市場価値を知る・高める
- キャリアを選択する
という3つのざっくりとしたテーマで書かれている本です.
私自身はこの本から新しい発見があったというより「自分が歩んできたキャリアとプロセス, 案外イケていたんだな」と気がつくキッカケになりました.
- 「自分自身の言語化」は過去を定期的に振り返り(職歴の更新, 目標達成の確認), 未来の目標を立てるようにしてる.
- 「市場価値を知る・高める」の観点では会社などのカテゴリーではなく「業界全体」という視野・視座で定性・定量両方で把握し, レベルを高めるorキープしている.
- 「キャリアを選択する」だと今けっこういい感じなので出来ているのだろう多分.
などと振り返るキッカケとなったと同時に転職相談に来る元同僚や友人にはとにかくこの本を勧めていました, これに書いてることの方が自分の説明以上に説得力があるので.
なお, 先日デブキャリ2023で話をした「自らを強いエンジニアにするための3つの習慣」のトークを作る際の参考にしていました*12.
CloudおよびSREな4冊
今年は年間通してSREおよびクラウド関係のエンジニアリングの支援をしていたのでSREやシステム運用の本を結構読みました.
その中でも特に良かったのが以下の4冊となります.
運用改善の教科書
システムの運用と改善, DevOpsを網羅的に学ぶのに良い本でした.
これは人の紹介で知った&タイトルだけで買って読んだのですが,
- SREとかSoR/SoE/SoIとか横文字を言っちゃいがちな「今どきなシステム運用」を構造的かつ横文字じゃない言葉も使って解説.
- 改善の目的から入りつつ, 「運用ルールの見直し」「分析」「自動化」「セキュリティ」と網羅的に触れて解説.
- スキルや組織づくりといった人にフォーカスするような話題もある.
という感じで非常に読みやすい本でした.
私は自分のエンジニアキャリアでまともに運用側に回った経験が少ないので尚の事助かりました&新人にもこれはオススメしたいです.
Kubernetesの知識地図
K8s(Kubernetes)に困ったときに手元にあると良い一冊.
今どきのK8sに必要な知識や考え方が網羅的かつ探しやすい目次で乗っていて良い一冊でした.
「知識地図」というタイトル通り良いガイドになっています.
他にもK8sの本は読んでいる気がするのですが, こちらが最も印象に残っています.
SLO サービスレベル目標
SREにとって大事なプロセスである「SLO」の大切さと理解を推し進める一冊
SRE本の日本語版が出てから6年, 個人的にはSLOやエラーバジェットに関して腹落ちするような解説・説明がある本が無かったのですが, 今年ついに出会えて良かった!!!と思った一冊です.
仕事とは関係なく面白かったのと, Google CloudなどのPublic Cloudの資格試験でSREやDevOps系の資格を受ける方は流し読みでも良いので読むとよいのでは*13と思いました.
ビジネス系の方やベンチャーでお勤めの方はOKRと同じノリで読める気がします(システムやクラウドの知識は必要ですが).
オブザーバビリティ・エンジニアリング
「計装」「可観測性」を意識するようになった一冊.
「システムが生きてるか死んでるかはクラウドのツールで監視できるやろ」「わざわざ計装してまでやる必要あるの?」と疑問に感じてる方こそ読んでほしい一冊でした.
私自身まだ完全に理解しきれていないのですが(正直に言うと).
SLOやエラーバジェットなどの考え方はそもそも「システムの状態を定量的に知ってるからこそできる」事で「しきい値超えたらアラート鳴らす」だけの話ではない事は理解しているので, その続きとして学ぼうというキッカケになった一冊でした.
これは仕事もそうですが, 個人で開発しているものもオープンテレメトリーを導入して遊びたいなと思っています.
いい感じな技術書2冊
最後に, 直接の業務や個人開発にはあまり関係していないのですが「本屋で一目惚れした」「興味本位で買って読んだら面白かった」という「いい感じな技術書」2冊となります.
システム設計の面接試験
「お題に合わせたシステムをいい感じなアーキテクチャで作る」ための教科書として面白い一冊.
仕事の提案や, 事業会社のエンジニア部門における「システムをどういう構成で作るか?」といった問は日常茶飯事的にあると思います.
これらのお題目に合わせたBlueprintを書くのに最適な一冊という感じで面白かったです&実際に面接でも使えると思います.
- ユーザー数が突然100万以上になったときのスケーラビリティ
- 通知システムのアーキテクチャ
- あなたはYouTubeをどうやって作りますか?
という問*14に答えるのに良い一冊でした.
大規模言語モデル入門
生成AIに関する言語モデルの知識を手に入れるのに最適な一冊.
「入門」とありますが, 結構前提知識は必要かもしれません.
が, 「とりあえずChat GPTに何かやらせてみた」的な大喜利ではなくてちゃんと大規模言語モデルを理解したいと思って買って読んだのですが私的には程よい難易度で読み応えがあって良かったです.
すでにあり物の言語モデルをファインチューニングするなら雰囲気でできちゃうと思うのですが, (システム屋さんという観点でも)何が必要か知りたかったのでその意味でもちょうど良かったです.
結び
というわけで「2024年に読んだほうがいいエンジニアな書籍10冊+α - CloudとSREそしてキャリア本」というテーマで本年は紹介させてもらいました.
私自身の仕事や興味の関係で例年以上にCloudやSREの本が多くなってしまいましたが, 「SREじゃないエンジニアでも読めそうな本(読んだほうが良さそうな本)」が見つかって紹介できたので良かったと思います.
来年はまた観点が変わりそうな気がしますが多分また書くと思うので2024年(2025年度版)もどうぞご期待ください.
最後までお読み頂きありがとうございました.
【番外編】私の推し本
これも毎年恒例ですが, 「私が今年読んで良かった技術書籍」をいくつか紹介します.
マネジメント系の書籍
現職でマネジメントをしているのと興味もあって何冊か読みました(読み直しました).
詳しくはこちらのエントリーにて.
Football Analytics with Python & R
これは完全に趣味の世界です&英語です.
アメフトのデータサイエンス・分析の本でタイトル通りPythonとRです.
こちらは読んでいる途中ですが気になるテーマの分析はいっちょ写経でもしようと思っています.
Software Design(雑誌)
このブログを読む人にとって説明は不要なのでは感あります笑.
今年はGo言語の連載読む目的で購読していました, 定期購読にすればよかったと若干後悔しています(Kindleで読んでいます).
最近は趣味開発の言語でGoを使うことが多くなったのでもっと学びたいなと思っています.
*1:来年は野球ネタで新作出せるように頑張ってます, Cloudとかエンジニアリング系ネタを含めて.
*2:仕事も趣味もさほどPythonを使っていないため, 今年は読んだ本が少なかったです.
*3:このシリーズ, 2017年から開始していて通算8本目の記事になるんですがついにタイトルからPythonが消えたかって思うと感慨深いしちょっと切ない感じもします.
*4:Findy記事もそうですが, 反響がえげつなくて驚いております笑
*5:この本だけ難易度高い気がします.
*6:(仕事であれば喜んでこの役割をやるのですが)プライベートだと, これ結構カジュアルに聞かれるんですが説明が難しいので概念は勉強しましょう, と私は思っています.
*7:私の感覚でいうと「何かのPublic Cloudでシステムを一通り作って運用」した事がある方であれば読めると思います, 認定資格で言えばエントリーじゃなくてプロフェッショナルレベルの資格を持っていれば読めるのではと.
*8:私のブログもその一つかもですが世間の反響の大きさに驚いていますこの本に関して言うと.
*9:学校の教師のこと. 読むとわかりますがこの内容ちゃんと教えられるのだろうか?と疑問になるくらいの難易度です.
*10:社会人として先輩にあたる皆様(私を含む).上位層がこのレベルを覚えてくる新人は結構手強いのではと思います.
*11:これは私見ですが公開されている各社の新人研修資料は本当によく出来ていて感動するのですが, どうしても「システム開発」「統計」といった「根っこ」の部分が弱いなと思うんですよね(というより根っこも教えてそうですがこれは公開してないのでしょう). 表面的な技術より大切な事だと思っているのですが.
*12:「職務経歴書を更新しろ」の件とかは実体験から来ているのは勿論なのですが(実際にやってることを書いたので). これを強めに書こうと思ったのは今年「キャリアづくりの教科書」を読んだから, という所もあったりします.
*13:この記事を書いている12/23現在, Google CloudのDevOps系資格の勉強をしているのですが, SLOやエラーバジェットの件は「本で読んだやつ!」ってなっています.
*14:面接試験もですが仕事でも割とありそうなシチュエーションだったので面白く読めました.