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科学な本のご紹介: 怪奇『クワバカ クワガタを愛し過ぎちゃった男たち』

科学に佇む書斎



クワバカ 📖 
期せずしてクワガタ業界の奇人列伝になってしまってる、怖〜い本。

科学の本カブトムシ好きよりクワガタ好きが多いのは、国内にカブトムシはほぼ一種類しかいないのに対し、クワガタは何種類もいて、その大きさや形を楽しめるからだ。
 現在、研究者によって若干意見は異なるものの、カブトムシは2種類、クワガタは40種類以上いると言われている。それぞれ亜種(同一種だが少し形状等が違うもの)を加えるとカブトムシは3種類、クワガタは100種類以上にもなるそうだ。

科学の本どんな種類の昆虫図鑑であっても、それを手にし、関係者の前で決して吐いてはいけない言葉がある。それは「高いっ!」だ。
 十中八九、無知も甚だしいと心の底から軽蔑される(反対に「安いですね」と言えば、一瞬にして仲間意識が芽生える)。

科学の本ハブに咬まれたら毒が体内に回るのを防ぐため、動いてはいけない。すぐに救急車を呼び、できるだけ早く血清を打つ必要がある。血清治療は30分以内が理想と言われ、それを過ぎると、体の一部が壊死するなど重症化する恐れがある。

科学の本1996年、地元採集家の働きかけでウケジママルバネは町の天然記念物に指定され、以降、採集禁止になった。
 日本産クワガタとして、ウケジママルバネクワガタは日本で初めて規制の対象となった。それは日本全国、どこでも自由にクワガタが採れた時代の終焉でもあった。
 新世紀を迎え、クワガタ屋への逆風は一段と激しさを増していった。


科学の本全長至上主義という一つの方向への動きが強まり過ぎた。その反作用として、2000年代に入るとクワガタ界に「美形オオクワガタ」という価値観が誕生する。

科学の本飼育技術が継承されていけば、野生種が絶滅に瀕した場合、人工的に増殖させることもできる。だが、「種の保存法」指定種に入れられると、人が野生に手を貸すという最後の切り札が使えず、種を守るという本来の目的と矛盾する事態に陥るのだ。

科学の本行政サイドは、昆虫への圧力でいったらはるかに小さな虫屋だけを規制し、悪者に仕立て上げた。大がかりな開発事業は、さまざまな利権と思惑が絡んでいるだけに、不用意に反対すればどこから矢が飛んでくるかわからない。
 一方、少数で、社会的に何の力もない昆虫愛好家ならば、簡単に息の根を止めることができるし、格好のアピールになるからだ。





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『クワバカ クワガタを愛し過ぎちゃった男たち』
 中村計
 光文社


著者が企図したものとは異なる面から読まれてしまう、という点では、トンデモ本の一種かもしれない。

先鋭的な感性の人が集ううちに先鋭的な「あるべき常識」が醸成されて帰ってこなくなってるというか… 微妙に怪しい香りと論理が音高くムシムシと立ちこもる記述で、推薦していいのか警鐘に回すほうがいいのか、扱いが難しい作品になってしまってる。

似たトーンの本としては、
盛口満『僕らが死体を拾うわけ 僕と僕らの博物誌』
 ┗ 珍人間集団探訪記っぽさ
川村俊一『虫に追われて 昆虫標本商の打ち明け話』
 ┗ 熱意から犯罪に走った虫屋
ほか、化石業界や性転換業界、鉱石屋さんとかでも「一般常識とはパラレルな常識」が染みた記述の本があったことを思い出してしまう。

いやそれ以上に、たぶん、本書『クワバカ』では、記述内容に異常感を感じるか否かで、踏み絵みたいなこともできちゃうんじゃないかとまで思えてくる。
近年、石垣島などで昆虫採集トラップが大量に設置されて問題になっている件には、本書にも見て取れる「善意の常識」(もしくはむし社の人々)が後押しとして作用しているはず。

▶ 気をつけよう、認知の歪みと善意の常識 ◀

昆虫界隈は文化人類学のような異文化コミュニケーションの術を身に着けたほうがいいとは思うんだけど、形質的に無理めな人々が誘蛾されてる因果な世界だしなぁ…。

僕らが死体を拾うわけ 僕と僕らの博物誌 (ちくま文庫)


虫に追われて?昆虫標本商の打ち明け話




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→『ミニ特集:虫たちについての本 その9』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その8』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その7』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その6』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その5』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その4』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その3』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その2』
→『ミニ特集:虫たちについての本 その1』

→『ミニ特集:虫についてのハンドブック その2』
→『ミニ特集:虫についてのハンドブック その1』
→『ミニ特集:虫たちについての本 アリっ』

→『ミニ特集:カイコ』
→『ミニ特集:食べられる虫』
 




 No.2020,0913
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