差替文庫

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世界地図の創り方:目次

はじめに

 当記事は、ゲーム業界の片隅で「世界設定プランナー(World Lore Creator)」なる謎めいた肩書を与えられて働いている筆者が、「ファンタジー世界の創り方」について、あれやこれや考えたことを書き連ねていこうという趣旨の記事になります。
 偶然に偶然が重なった結果、ファンタジー世界を舞台にしたMMORPG*1の「世界観」を考案する仕事に就くことになり、今年(2020年)で10年目……。もちろん、このようなマイナーな職種に役立つ知識を専門的に教えてくれる学校などあるはずもなく、ただひたすらに試行錯誤を重ねながら、どうにか今日という日まで、生き延びてきました。
 と、いうことで、ここらで自分なりの知見なんぞを書き出してみることで、改めて「ファンタジー世界を創る」という作業について考えてみたいと思ったのが、この記事の執筆経緯となります。
 第一回目となる当記事のテーマは「世界地図」です。どのようにして現実世界の「地球」とは異なる作品世界の地理を創作していけばいいのか。そのあたりの手法について、考えていこうと思います。
 もちろん、こと創作活動においては、「絶対の法則」や「唯一無二の正しい手法」など存在しないでしょう。ネット上には、大陸規模から都市単位に至るまで、各世界の地図を自動作成してくれるジェネレーター*2などもありますので、細かなことを考えるのが億劫であれば、そうしたサービスを利用するという手すらあります。
 とはいえ、ジェネレーターでランダム生成したものでは、位置関係の整理などには使えても、「なぜ、そのような地理になっているのか」という理解が創作者自身にない状態となりますので、深みのある描写や世界観の掘り下げに繋がるかと言えば、微妙なところです。
 そこで本記事では、既存の優れたファンタジー作品の「世界地図」を見ながら、どのような意図や方法論で、それらが創られているのかを考察しつつ、筆者自身の考え方と併せて紹介していこうと思います。この駄文が、小説、漫画、映像作品、ゲームなどジャンルを問わず、ファンタジー作品の創作に挑戦しようとしている方の参考となれば幸いです。 

注意事項

 本記事の内容は、あくまで筆者「サシカエ(@sashikae)」の創作行為に対する考え方を記したものであり、職務上、開発に携わっている特定のゲーム作品、サービス、その他商品の制作過程について解説したものではありません。特にゲーム開発においては多数の開発者が制作に関与しており、いちプランナーに過ぎない筆者の見解や方法論が、すべてに対して反映されるわけではありません。そのあたり、混同のないよう予めご了承ください。

 また、本記事の内容に関する責任は、すべて筆者にあり、所属会社等は一切関係がありません。意見、感想、その他は筆者宛てでお願いいたします。 

目次 

*1:大規模多人数同時参加型オンライン・ロール・プレイング・ゲーム

*2:大陸規模の世界地図を生成する「Azgaar's Fantasy Map Generator」や、都市規模の地図を生成する「Medieval Fantasy City Generator」などが、これにあたる。