左巻健男&理科の探検’s blog

左巻健男(さまきたけお)&理科の探検(RikaTan)誌

7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むEM菌イベント

 7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むイベントが行われる。今年は第9回になる。
 このイベントの主催のNPO法人 地球環境共生ネットワークは、EM技術を用いた環境浄化活動を推進することをうたうEM推進団体だ。

 

 「やや日刊カルト新聞」に2014年の神奈川県逗子市での様子が紹介されている。
 http://dailycult.blogspot.com/2014/07/emem.html … 
 この年調査費もふくめて逗子市は200万円を支出。
 イベントで投げ込むのはEM団子・EM活性液。

 

 EM活性液は、EMを糖蜜(サトウキビから 黒砂糖を作るときの搾りカス)で培養した液。EM団子は、EMで作った「ぼかし」(米ヌカ ・油カス・魚カスなどを発酵させたもの)と「EM活性液」を土に混ぜて丸めて団子状にしたもの。

 

 EM団子・EM活性液を大量に投入することは水を汚染する有機物を大量に投入することになり、逆に水質を悪化させる恐れがあることで批判が強い。
 逗子市は2016年からは10年続けて来た助成金支出をやめた。
 しかし、EM地元団体がEM団子・EM活性液投入を継続している。

 

 「海の日 EM団子・EM活性液投入」は昨年(2017 第8回)で、全国307団体、1万2502人が参加し、EM団子36万9149個、EM活性液64万6390リットルを投入した。
 参加団体数は2015年520、2016年409だったから減っているが、参加者数は2015年1万6921人、2016年1万993人だから昨年より増加。

 

 逗子市2014では終了後参加者にEM生活の「イーエムウォーター」(税別200円)が無料配布された。
 やや日刊カルト新聞によると、主催者「参加者の皆さんには、EM菌が入った水(イーエムウォーター)をお配りしています。これを飲むとおならが臭くなくなる!」

 

 なお、イーエムウォーターはEMXGOLDという清涼飲料水(500mL 4,650円)を薄めたもので、EM菌は殺菌されて入っていないので、やや日刊カルト新聞の記事通りなら主催者は嘘つき。公開成分はナトリウムだけでいわば薄い食塩水。

 

 海の日EM団子等投入は全国一斉のイベントだが、全国各地でも行われている。
 例えば東京なら日本橋川。地元の複数のロータリークラブが費用を出していたが、2014年に中止している。EMが水質をよくするという科学的な根拠が弱いという批判が強いからだ。地元団体は投入継続。

 

 EMは、元々世界救世教という新興宗教が関係した微生物資材(農業用)。
 世界救世教は、国内に百万を超える信者を持ち、浄霊という手かざしを各信者が行うこと、自然農法を推進することことが特徴で、EMは神からのプレゼント。
 今は開発者の比嘉照夫氏はEMは神様としている。
 農業用の微生物資材が水質改善に効能、あらゆる病気に効能、住宅に使えば夢の住宅に、さらには放射能をなくす、結界をつくるとまでされて神様扱いに。

 

 政界にはEMの議運まである。2013年12月3日に国会議員の超党派による「有用微生物利活用議員連盟」が発足している。
 会長は野田毅衆院議員(自民)、幹事長は平井たくや衆議院議員(自民)、事務局長は高橋比奈子衆院議員(自民)。
 比嘉氏によると、「スタートは50人内外でしたが、その後も新規に加入いただいていますので、近々100人を超える規模になりそうです。」(2014年1月18日 連載 新・夢に生きる)。

 

 比嘉氏らEM側が狙っているのは、様々なEM商品を全部使うEM生活をすることを国民の義務にすることだ。
 国民全体がEMXGOLD(500mL4650円)という清涼飲料水を飲み、様々なEM商品を使えば病気はなくなり、もし病気になったら自己責任なので社会保険制度は不要という主張だ。

 

 以上、7月16日(海の日)に全国的に海や川にEM団子・EM活性液を投げ込むイベントについて。
 お読みいただき有り難うございました。
 EM(通称EM菌)について、左巻健男『暮らしのなかのニセ科学』平凡社新書で章を立てて述べています。