今日は、

アメリカの大学に来られた学生さんが、そのままシリコンバレーで働き続けるにはどうすればいいか?

ということに関して、お話ししていきたいと思います。

まず大前提として、アメリカで働くためにはH-1Bという就労ビザの取得が必要ですが、このビザは専門職の方に発給されるものになります。
専門職というのはエンジニアや会計士などが該当するのですが、MBA取得のために来られている方は専門職としては扱われないケースが多いんですね。なので、そういった方は専門をコンピュータサイエンスに切り替えてエンジニアとして申請した方がはるかに取得しやすいと思います。

以前にも言ったように、H-1Bを取得する方の大体6~7割がコンピューターサイエンス系のエンジニアで、つまりアメリカが今求めてるのはエンジニアということなので、その辺はまず気をつけて欲しいところです。

H-1B取得には実務経験が必要



(上記を踏まえて)アメリカで4年制大学を出た上で、さらに必要と言われているのが実務経験です。(正確には情報系の大学1年が実務経験3年分で4年間大学にいって12年の実務経験と同等ぐらいといわれており、最低12年の実務経験必要。ただ現実的に大学卒でいきなりH1Bが取得できないケースが多々)
文系大学出身の方は、実務経験2年の後にさらにアメリカの大学院で2年学べば、H-1Bが取得できる(可能性がある)と言われています。
なので大学を出た時点でアメリカに滞在できるビザがなければ、いったん日本に戻って実務経験を積んでからでないとH-1Bのビザが取得できないケースが一般的ということですね。

ただ、これはあくまで一般的にそうであろうと言われている話なので、移民局が「必ずそうでなければいけない」と言っているわけではないんです。

なので、アメリカの大学を4年間で卒業した後に、例えばgoogleなどの有名企業に内定いただいた学生さんが(実務経験なしで)H-1Bの申請が通るというケースもあるんですよね。
移民局側の視点で見てみてもgoogleに認められるような学生さんであれば、アメリカでそのまま仕事をしてもらうことでアメリカ企業の発展に貢献してほしいという意思はあるわけです。

もちろん内定を得てH-1Bを申請しても実務経験不足で却下されるというケースもあります。
それでも、いきなりはアメリカで働けなくても、例えばgoogleであれば日本にも支店がありますので、いったん日本の支社で働いて実務経験を積むことでH-1Bの申請条件を揃え、その上でアメリカにまた来てくださいという話になるケースもありますからね。
つまり、大企業で内定を取れたら、いきなりではなくても将来的にアメリカで働ける可能性は非常に高いと思います。

私の知人も仮想化ソフトのVMWareという会社で上記のような手順でアメリカで働けるようになった方がいます。
こちらに学生として来て、VMWareで内定をいただいたもののH-1Bが取得できなかったので、いったん日本のVMWareで働いてからH-1Bを申請・取得して、VMware本社で働けるようになったということなんですね。


とは言え、誰もがそういった大企業で内定を取れるわけではないですよね。
大企業で内定を取れなかった方は、日本で実務経験を積むことになると思いますが、その際は日本にある外資系の企業で実務経験を積むのがいいと思います。
日本では有名企業であるソフトバンクにしろ楽天さんにしろ、こちらの人は全然知らないので、日本にある外資系企業に勤めた方が、その後アメリカでの転職活動は非常に楽になると思います。

外資系企業で2年働いた上でアメリカに戻って大学院で2年間学べばH-1Bの申請条件は揃うので、その後OPT(Optional Practical Training)を使って働き続けながらH-1Bの申請を出せば取得できる可能性が高いですね。


ビザから逆算してキャリアを考える



前回、YouTube【丑之日プロジェクト】チャンネルのアニーさんのインタビュー動画をアップしているのですが、アニーさんもキャリア構築においてあまりビザのこと考えてなかった(ために苦労した)と言うお話しをされていたんですよね。



アニーさんはこちらの大学で4年間学んだ後に、キャリアフォーラムというイベントで日本企業から内定をいただいたんですが、日本よりアメリカで働きたかったためにお声がけいただいたシリコンバレーのスタートアップの企業に就職されたんだそうです。

ですが、そのスタートアップ企業は資金繰りが苦しくなり、H-1Bの申請はほぼ通らないということに。
移民局も企業の資金繰りなど全部チェックできますから。
スタートアップ企業というのは確かに面白いんですが、H-1Bを取得できる可能性は少なくなってしまうので注意が必要かと思います。

結局アニーさんはレイオフされてしまったそうで、その辺りの失敗談も皆さんのためになればということでインタビューで話してくださっているので、ぜひ動画も見ていただければなと思います。

アニーさんもそうだったように、こちらでコンピュータサイエンスの学位が取れれば、日本企業から内定をいただける可能性は非常に高いので、シリコンバレーのスタートアップよりは日本の企業に2年間勤めた上でアメリカの大学院に来るというルートの方がH-1Bの取得には近道かもしれません。
(前述のとおりできればアメリカへの転職のためには外資系をおススメしますが、外資系も簡単に入れるわけではないですからね)

ただ、日本の企業でいったん実務経験を積むというコースを選んだ場合は、プロジェクトマネージャーという立場ではなくて、エンジニアとして開発をさせてもらえる企業に勤めた方がいいと思います。

日本の大企業って、システムの要件などの仕様書を書くレベルでほとんど開発はしないんですね。
楽天やクックパッドなんかは開発させてくれると聞いていますので、そういった開発のできる企業を探して実務経験を積んでから、こちらに戻ってくるということを考えてみてください。
(経営系の職種などに就いてしまうと、エンジニアとしての実務経験にはカウントされないのでご注意ください)

ということで、結論としては、H-1Bのビザが取得できる条件から逆算して自分のキャリアや企業を選ぶということが重要なポイントです。

若い方は「ビザのことなんかは考えなくても、自分が頑張ればシリコンバレーで働ける!」と思っている方もいるかもしれませんが、頑張りだけでなく移民局の厳しいビザ申請条件を踏まえて戦略的にキャリアプランを練らないとアメリカで働くことは難しいですよ。

というお話でした。

動画はコチラ↓



酒井潤

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