私がサヨクになったわけ

id:F1977さんのエントリを受けて、つらつらとお返事をしたためてみます。
F1977さんがご自身のエントリにつけられたブクマを見ると、「読み直したらはずかしくなって消そうと思った」となっておりますが、エントリ自体は生きているようなので、まあ、答えても問題ないかな、と。

まずは自分語りから

自分が左傾化したのは、間違いなく小林よしのりの『戦争論』や一連の従軍慰安婦問題に対する発言を読んだからです。
それまでは、戦争責任やら暴力の話を熱くする人たちを、むしろ冷めた目で見ている人間でした。「言いたいことは分かるけど、そんなに青筋立てて話しても、ついていけないよ」みたいな感じで。
しかし、ゴーマニズム宣言ファンの友人に読まされた小林よしのりの書物に、私は頭を打ちのめされるような衝撃を受けました。

  

この異様な悪意は何だ?

  

従軍慰安婦問題の被害者や、日本軍による大陸での蛮行の被害者たちに対する、異常な憎悪。
彼らを支援しようとしている人たちに対する、攻撃。
もちろん、出版される書物ですから、あからさまな差別表現のようなものはなかったように記憶しています。しかし、マンガの画面全体から漂う異様なムードに、胃のあたりがキュッと縮まるような感覚を覚え、気持ち悪くなってしまいました。

翌日、近所の大きな本屋に行って、南京事件や従軍慰安婦関連の本を長い時間をかけて立ち読みし(当時は本当にお金がなかったのです、本屋さんすみません)、小林よしのりの主張よりも、被害者を支援しようとしている人たちの主張に分があることを確認して、ようやく安心したのでした。

そしてそれ以降、いわゆる左翼の人たちに親近感を抱くようになりました。

それからは、少しずつ変わっていきました。やがて、南京事件Q&Aの存在に気付き、Apemanさんやbluefoxさんの日記を読んで、そこからリンクをたどっていろいろな人の日記を読むようになりました。そして、はてなブックマークなるものの存在を知り、ブクマにも唖然とするようなものが多いということに気付きました。そこで、ブックマークで支援したり反論したりするためにはてなIDをとり、ついでに日記も書き始めたのです。

質問に対するお答え

以上のような私の自分語りから、F1977さんへのお答えが導き出されます。
1.日本のサヨクとは、なにか、サヨクである、あなたがたは何か
 小林よしのりの戦争論への違和感から始まったので、日本のサヨクとサヨクの人達を次のように考えています。ただしこれは、「左翼」という政治勢力の定義とは異なるものであり、あくまで私の中での片仮名の「サヨク」の定義です。
 日本のサヨクとは、過去の日本の問題を直視し、そこに生じている責任を引き受けることによってはじめて「日本人」となれると考えている人たちのこと。またそれは同時に、現在の日本の社会にある抑圧や暴力を可視化し、異議を唱えていくということを含んでいる。というのも、日本人であるということですでに抑圧に加担してもいるからである。

2.わたしたち(「在日」の人たち)に対する寛容の限度
 寛容の限度という問題設定がおかしいと思っています。日本人が、在日の人たちを「寛容にも許してやる」なんて言う権利がどこにもありませんので。日本で日本人が犯罪を犯しても、彼らは「日本から出て行け!」とか「基本的人権や諸々の権利をはく奪しろ!」とは言われません。それと同様に、在日の人たちに対しても、彼らがいかなる行いをしたとしても、寛容の限度などという線引きをせずに、同じ社会の成員として引き受けるべきだと思っています。また、同様に、社会の一員として政治的決定のプロセスに参加する権利を有しているとも思っています。

多分、サヨクの最大公約数にもなっていないような考えだとも思いますが、以上のような答えを考えました。