この記事は、セカンドライフ技術系アドベントカレンダー2020の、24日目の記事です。
魅力的なヘッドマウントディスプレイが去年から今年にかけてVRブームを起こしました。ハードウェアは及第点のものが出てきています。しかし、ソフトウェアはビートセイバー等がブームを起こしたものの、ハードを牽引できるほどのものが出ずVRブームは収束しつつあります。
ハードの充実が進む中、VRを盛り上げるためにどんなソフトを作っていけばいいのか考えていきます。
直近の課題はヘッドマウントディスプレイの普及
VRを盛り上げるための直近の課題は、ヘッドマウントディスプレイの普及です。ハードの性能が充実してきたという話と一見矛盾するようですが、ヘッドマウントディスプレイの普及率はまだまだ低いです。
ヘッドマウントディスプレイが普及すれば、投資家にVRをマーケットとして見てもらえるようになります。するとベンチャーや優秀なクリエイターにお金が流れ面白いソフトもたくさん作られます。それを遊びたいユーザがハードを購入し正のサイクルが回るようになります。
去年から今年にかけてのVRブームでは未来への期待も込みで多少なりともこのサイクルが回っていました。しかしハードの普及が頭打ちになり投資も減ったようにおもいます。実際にハードの出荷台数を増やすことで、期待のような一過性のものでなく長期的にサイクルをまわしていくことが重要です。
そのために現状ハードを物珍しくて買っている層をこえて、なにかおもしろいソフトがでたら欲しいかもと思ってる普通の人に買ってもらえるようにしなければなりません。
しかし、鶏と卵ですが今は投資がまわってないのでソフトがなかなか作られません。そこで自分のような半ば趣味で楽しんでるレベルの人がコツコツとなにか作っていく必要があるわけですね。
前提知識なしでふつうの人が遊べるものを
VRという概念が広まったのはセカンドライフを筆頭とするメタバースからと言っても過言ではないと思います。今もVRChat等のユーザが作る仮想世界というのはVRを牽引する重要なコンテンツになっています。
自分もメタバースで色々作りましたし思い入れがあります。しかし、メタバースは普通の人にはむずかしすぎるのです。
まずはモデリングやスクリプトみたいな知識がなくても十分に遊べるやさしいコンテンツが必要です。また始めてから人にあったりスキルがついたりするまでに時間がかかるのもメタバースのよくないところです。始めて2秒で楽しい!くらいでないといけません。
まずは、簡単!はやい!面白い!を目指しましょう。
ただ、メタバースはこのまま消えていくわけではありません。ハードが普及して裾野が広がり、制作が簡単にできるツール類が発展してきた際にその存在感はとてつもなく大きくなるでしょう。
メタバースは最後にやってきます。
じゃあゲームをつくればいいの?
だれでも遊べて即楽しいとなるとゲームをつくればいいんじゃないかと思うかもしれません。でもぼくの考えは少しちがいます。
VRならではというゲームもありますが、たとえテレビでプレイしたとしても人間の脳は足りない部分は補完して、ゲームの世界に入りこめるのです。実際多くのVRゲームはテレビでプレイしてもそれほど遜色なく遊べてしまうのではないでしょうか。
VRの世界にきてもらうには、VRでしかできないことを盛りこんだソフトを作る必要があります。ぼくがVRにしかできないと感じていることは2つです。
VRにしかできないこと
1. 人が操るアバターの息遣い、動き、そこに実際にいるという感覚
ヘッドマウントディスプレイでは、目の動きや首の角度など、さまざまな体の動きをトラッキングできます。それをアバターへ反映させればNPCとは違った本当に息遣いを感じさせるような存在感を出すことができるでしょう。
いくら脳が補完が得意だからといってもテレビに映っているアバターをここにいるようだと感じることはできません。テレビの世界はいくら補完しようが「あちらの世界」の出来事だからです。それがVRならまさに「いまこの世界」でアバターと一緒になれるのです。
2. 特殊なデバイスによる、体の動作がVR世界と同期する感覚
VRの世界ではハンドトラッキングや全身のトラッキングなども特殊なデバイスを使用することで可能になります。
同じことはテレビとKinectでもできそうな気がしますが、実はそうでもありません。体の動作で「あちらの世界」のキャラクターを操作することと、「いまこの世界」にいる自分を動かすことはぜんぜん違います。具体的にいうと前者は視覚、聴覚などを同期できていません。
今なにを作るべきか
上記の1を活かして成功しているのがVRChat、2を活かしているのがビートセイバーといったところでしょうか。
これらを活かしたゲームというのもつくれるとは思いますが、人が操るアバターの存在感を活かすのであれば、コミュニケーションツールのほうが向いているのではないかというのが、いまのぼくの感想です。
チャット、セックス、ネット有名人オンラインサロンなどなど、VRはそういうものであればテレビ画面ではできない体験を提供できるでしょう。自分もゆっくりとではありますが、一風変わったチャットツールを作っています。気長にお待ちいただければ幸いです。
明日は、より具体的にソフト製作時の注意点などを書いていきます( ̄∇  ̄ )