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”創造”から“継承”へ。【転生したらスライムだった件22 感想】

#龍聖の感想『転生したらスライムだった件』22巻読了

 

今回も情報量モリモリで楽しかったです!!

bookwalker.jp

【あらすじ】

『転生したらスライムだった件』22巻では、リムル不在の中で世界はいよいよ混迷を極めていく。
かつて天使軍を率いたフェルドウェイは崩れつつも、その影響力は残り、物語を揺さぶる要因となる。
さらに、竜種ヴェルザードの目的や行動が謎を孕み、暴走状態のミリムを操る黒幕の存在も明らかになる。
そして最強の敵と目される「滅界竜イヴァラージェ」が動き出し、事態は臨界点を迎える。

一方、テンペスト(リムルたちの拠点・勢力)やその盟友たちは、“リムルの帰還”を信じながら各地で必死に防衛・準備を進めており、緊張感あふれる戦線が各所で交錯する。
その中で味方同士、敵側ともに思惑が交錯し、次巻へ向けての布石が多く打たれている巻、という印象だ。

『転スラ22巻』―信頼が絆へ、絆が奇跡を呼ぶ。「仲間を信じる物語」の真骨頂。

ここまで積み重ねてきたテンペストの物語は、22巻で“信頼”というテーマに帰結する。
リムルという象徴的な存在が不在の中、それでも国が動き、仲間たちが信念を貫く。
それこそが、この巻の最大の魅力だ。

これまでの『転スラ』は、リムルの知略やカリスマが導く「創造の物語」だった。
だが22巻では、それを受け継いだ仲間たちが、それぞれの場所で“理想”を守ろうとする。
ベニマル、シオン、ソウエイ――彼らの戦いは単なるバトルではなく、リムルへの“信頼の証”なのだ。

さらに、シリーズを通して描かれてきた“人と魔物の共存”というテーマも、
この巻で一気に深みを増す。
滅びゆく世界を前に、それでも共に歩もうとする姿は、
これまでの平和的理想を現実に試す“決意の瞬間”でもある。

そして、22巻は「嵐の前の静けさ」でもある。
天使軍の脅威、ミリムの暴走、竜たちの動向――。
世界規模の戦いが迫る中、リムル不在という“空白”が物語をよりドラマチックにしている。

テンペストを築いた“想い”が、
確かに仲間の中に生きている――。
この実感が、シリーズを追い続けてきた読者には何より胸を打つ。

『転スラ22巻』は、派手な戦闘よりも“想いの継承”に焦点を当てた、
静かで熱い一冊。
仲間を信じるという当たり前の言葉が、
ここまで重く、尊く響く物語はそう多くない。

 

 

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