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 「オール沖縄」誕生10年 辺野古埋め立て進み、求心力に陰り デニー知事「建白書変わらず」


 「オール沖縄」誕生10年 辺野古埋め立て進み、求心力に陰り デニー知事「建白書変わらず」 県知事選で初当選し、支持者と万歳する翁長雄志氏(中央)=2014年11月16日午後8時10分、那覇市壺川の選挙事務所
この記事を書いた人 アバター画像 沖田 有吾

 2014年11月16日、辺野古新基地建設阻止を掲げた翁長雄志氏が、知事選で勝利した。オスプレイの配備撤回、米軍普天間飛行場の閉鎖、撤去と県内移設の断念という「建白書」の実現を求め、保革を超えた政治勢力としての「オール沖縄」が誕生して10年になる。新基地建設に反対する民意を受けて知事選、国政選挙で強さを発揮してきた。しかし、ここ数年で辺野古の埋め立てが進められ、求心力には陰りも見える。

 14年、辺野古問題を最大の争点とした知事選で、翁長氏が現職の仲井真弘多氏に10万票近い大差で勝利した。その後も、全県を選挙区とする知事選と参院選では3連勝を果たした。一方で、票差は縮まっている。知事選では18年に約8万票差、22年は約6万5千票差となった。参院選では16年に10万6千票差がついていたが、22年には2888票差の僅差まで詰まった。

 衆院選では14年に県内4選挙区全てでオール沖縄が勝利したものの、17年は3勝、21年と今年10月の選挙では2勝2敗と互角になっている。地方選挙での劣勢は顕著で、今年6月の県議選では自民を中心とした県政野党・中立が大勝し、市長選でも自民などから推薦を受けた候補の勝利が相次いでいる。

 オール沖縄の柱だった翁長氏が18年に死去し、かりゆしグループや金秀グループといった経済界が離れたことで、革新色が強まっているという指摘もある。県議選や衆院選では、各政党や政治家間の利害関係の調整役がいないという「構造的な弱点」(県関係者)が表面化した。何よりも、10年間県政与党の立場にいながらも、最大の目標である辺野古阻止が見通せない状況にある。

 オール沖縄の「改革する力」への信頼が低下している面は否めないが、玉城知事は15日の会見で「建白書の実現を目指すという団体の目的は当初から変わっていない。衆院選の結果からも、支援する県民の皆さんの考え方は変わっていないことが証明されていると思う」との認識を示した。

 建白書の考え方についても「県民はそれを諦め、失望感を広げてしまったとは言えないと受け止めている。オール沖縄への期待も引き続き持たれている」と、オール沖縄の存在意義を強調した。

(沖田有吾)