【那覇】那覇市で31年間愛されてきた老舗洋菓子店「アベニア」が16日、老朽化に伴う移転を経て約7カ月ぶりにリニューアルオープンした。午前11時の開店から20人余りの客が訪れ、準備していた菓子は午後2時ごろに完売となった。落語イベンターで店主の知花園子さん(47)は「お年寄りも、ちびっこも気軽に来られるような店にしたい」と語った。
一度は閉店の危機にあった店を、熱烈なファンが復活させた。知花さんは、旧店舗に週4日通うほどのファンだった。ツイッターで店の情報を発信するうちに店のファンが増え、約2年前に店からスカウトされてアルバイトとして働くようになった。
同じころ、旧店主の塩川優さんからアベニアの入居ビルが老朽化し、取り壊されることを聞いた。「取り壊しがなければ、店を続けるんだけどね」。そう話す塩川さんの思いに触れ、知花さんは店舗移転のためにツイッターで募金への協力を呼びかけた。「永遠に続きますように」などと願い、県内外、遠くはスイスから寄付金が贈られてきた。
「店の名前を残してくれて本当に感謝だ」。元従業員の東海林恒子さんも、店の再出発を喜ぶ。「塩川さんや地域の人がよくしてくれたから、前の店で31年間勤めることができた。新しい店もみんなに愛されるようになってほしい」と話した。
先代の塩川さんは新店舗で、菓子作りに専念している。開店初日、店頭にはエンジェルケーキやバナナケーキなど、おなじみのお菓子が並んだ。ツイッターで開店を知った客が県外からも訪れ、一時は20人超の列ができるほどにぎわった。
この日最後のバナナケーキを買ったのは、那覇市の52歳の女性。。「くどくなくて優しい感じが好き。太らないように気を付けないといけない」と話し、笑顔で店を去って行った。
(比嘉璃子)