選ばれしChoice Children

1.
深紅の翼と唾棄した性善説
性悪説は正しかったって立証された
俺達は廃墟の塵
劇場の中では英雄〈ヒーロー〉でも現実では落伍者〈アウトサイダー〉
そんな灰かぶりの廃人は夜街を闊歩する

僕たち選べないよ
選択肢の多い現代の中で
鴉が摘まむ塵みたいに散らばって
色んな進路、色んな人生、色んな末路
もうどれを選べばいいんだよ！！

どんぐりの中には虫が居ました
僕の中には混沌、俺の中には絶望があった

どっちなんだよ　分かんねえよ！
熱い感触の中で血飛沫の味を覚えた
飛び立った内臓と思想が散らばって湧き立つ
蛆虫共が群がってんじゃねぇ
ここは僕と俺の戦場 is 本能寺

不幸にしかなれないなら幸福にしかなれなくて
でも数ある選択肢の中で選び取るという事は
絶望も希望も平等で
面倒臭い理論と論理に取り憑かれては
今日も青い鳥は黒く染まった

2.
曇天の頭痛が悪化して鴉が鳴く
泣いた赤鬼は冷静に
哭いた青鬼は激情に
王子様は深夜零時の針で硝子の靴を折る
狼は満月に取り残されて人を喰う

現代の膨大な選択肢の中に取り残されて行ってしまっている
選ばなきゃいけない？　あれも？　これも？　どれも？　それも？
きっと無限大に羽化出来るから迂闊に選べない
残酷だよね、選ぶって
僕はこの現代の中でどうやって生きていけばいいの

石の裏には虫がいました
虫の居所が悪かった君は殺されました

どっちなんだよ　分かんねえよ！
ふざけんなよ！　選べねえよ！
神は賽を振らない
悪魔はダイスを振らない
つまり何も選ばない

双子の倫理はとうに履修済み
赤目と青目が共鳴して
喰む乳房が菫色を囁く
鴉が塵を漁るように
僕達は選択肢を荒らす

2.5
俺は赤い狂気に取り憑かれて失った
選択の余地なんて最初から無かった
光なんて最初から無かった
あるのは盲目的な闇だけ
残ったのは殺戮と言う名の救済

僕は青い果実のように未熟だから何も選べない
どちらも良いと思えるし、どちらも悪いと思える
サイコロなんて振れないよ
AC高い優等生ここに極まれり
指示待ち人間参上、この惨状をどうにかしてくれ

3.
どっちなんだよ　分かんねえよ！
むしゃくしゃするんだよ！
盲目の兄と透視の弟
双子の因果は残酷で何も選べなくて
結局神の祝福を待つだけ

どっちなんだよ　分かんねえよ！
スミレは迷った
俺は迷うしかない
僕は迷える子羊
次は誰の番？

どっちなんだよ　ふざけんな！
膨大な選択肢の中で限りある選択をしなきゃいけない
それがどんなに辛い事か
血の匂いと他人の言葉が指針なら
それで良いじゃないかと　嗚呼　諦観

どっちなんだよ！　選べねえ！
僕は見え過ぎたが故の欲望の深さに溺れ
俺は見えなさ過ぎたが故の狭窄に溺れ
二人して“選べない”選ばれしChoice Children
DNAは嘘を付かない。