「日本再生」言いたがる人たちって



どこ経由だかでJBpress(日本ビジネスプレス)というサイト知りました。「直近一時間のランキング」だけでもなんかイヤな予感するものの、会社案内チェキしたら下記のように↓






「日本再生にむけた真に建設的な議論」をなんちゃららしい。


とりあえず人気記事から、「国防」カテゴリの「民主党よ、そんなに中国に国土を譲りたいのか」という記事を読んでみました。元・空将にして現・三菱重工業航空宇宙事業本部顧問であるところの織田邦男氏による。織田邦男氏、外国人参政権に触れるなかで沖縄にも言及。

永住外国人への地方参政権付与は安全保障上、極めて問題が多い。現在、日本の永住外国人は91万人。うち特別永住者と呼ばれる在日韓国・朝鮮人が42万人、一般永住者である中国人が14万人。毎年約1万人ずつ増加している。

また外国人登録をしている外国人は200万人いる。これも毎年約5万人ずつ増えている。最も多いのは中国人で66万人。これらの外国人に地方参政権を与えようとするのが、この法案である。

国政ではなく地方参政権だから問題ないと賛成派は主張する。これが大きな間違いであることは、今年(2010年)1月に実施された名護市長選を見れば分かる。

1588票差で普天間移設反対派の候補者が当選した。その結果、普天間基地の辺野古移設は極めて難しくなった。一地方の市長選挙が日米同盟関係を揺るがし、国の安全保障政策全体を振り回す結果になっている。犬が尻尾を振るのではなく、尻尾が犬を振り回しているのだ。*1


いきなりこの調子。よくこんな文章のっけるね。外国人参政権以前に民主的な手続き自体がいらんっていう話じゃん。「尻尾」というのも適切でない。尻尾のない犬もいる。国民主権なら民意は「首」ではないですか。「沖縄の民意」に対して差別的な意図をもって「尻尾」という表現を選んだのでなければ。元・空将とかいう人だから安全保障政策がスムースに遂行されるようなあり方を望むのは自然なことかもしれないし、とりあえず軍人が軍人の理想をしゃべりたいならそうすればいい。けどこんなの聞くに値する見識としてビジネスメディアが取り上げる水準のものかしら。


兵法とかなんだとか古来ビジネスと親和性高いけど、それはただ単に「軍人の論理」を繰り返すことではなかったと思う。ビジネスというのは、「○○のためなら犠牲もやむなし」ということを安易に主張してればそれでいいなんてばかな話ではないはずなのに、そういうしょうもないところばっかりを最大の焦点として、軍人でもない人が「軍人の論理」を繰り返す構図がある気がする。犠牲になるってことがどんなことか想像もないし、さしあたって自分は安全という特権的な立場から、「自分を含む集団の利益」のために犠牲を求めるのがビジネス的でスマートであるかのような。


「日本再生」ていう言葉は「経済的に没落しつつある日本だがこのままではいけない。また経済大国としての栄光を」みたいな意味合い。でも「日本に住むみんなが元気に」というような意味ですらない*2ようで、「日本再生」言いたがる人の主張見ると、排外主義的な要素ともなってること多い*3。経済的繁栄をめざすにしてももっといろんなアプローチがあってもいいのでわ? とか思うんだけど、「日本」を掲げる以上そうなってしまうのかもしれない。平気で「日本」を掲げる感性というか?*4


人を踏みつけにしてでも(日本の)繁栄を、とか未来ないと思う。「啓蒙とか近代化のアポリア」とかそういうの以前の話。人を踏みにじる構図の温存/拡大を選択することを、ビジネスの態度として居直るだけの「日本再生」はつまり、近代化もしてない日本で、日本人としてのメンバーシップを強化し自分たちだけが特権と繁栄を享受したいという欲望でしかない。選挙の時期で、「これからの日本を〜」という枕でいろんな主張がなされてると思うけど、こういう「日本再生」と大差ないのも多そう。私は今回も投票には行かないけど、投票される方も日本を再生させないように気をつけてください。

*1:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3801 強調は引用者。

*2:どっちにしろ気にくわないが。

*3:日本再生酒場はよく知らない。

*4:日の丸だいすきっぽいし。