恋はしょうがない 『不倫サレ日記。』と『永遠の野原』

恋は傷つき、傷つくもの

id:tyoshikiさんが、次のようなtogetterまとめを作成していた。

togetter.com

他の人の感想も読んでみたかったのですがtwitetrで検索しても出てこなかったので、サイゾー特集をきっかけにほかの人の感想も読んでみたいなと思います

 

とあったので、簡単に書いておきたいと思う。

 

『不倫サレ日記。』に関しては、ブックマークコメントなどへ感想を残しているので、まずはサルベージしておく。

「不倫サレ日記。」/「あめ子」のシリーズ [pixiv]

(フェイクでないなら)15と16からか…/こういう、今日も明日もどこかで起こっているであろう、市井の他人の修羅場の話って、申し訳ないが大好きだ。結婚式の映像と「これ 値下げ代」「…はい」の下りはぐっときた。

2018/07/13 12:54

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[B! 男女] 「不倫サレ日記。」/「あめ子」のシリーズ [pixiv]

この物語の視点だけで見れば、元夫はアレだが不倫相手を責める気にはあまりなれない。(フェイクでなければ)20歳なんてこんなもんだ。周囲を不幸にしてまでつかんだパートナー、お互い添い遂げ幸せになってほしい。

2018/07/13 18:52

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#オリジナル 不倫サレ日記。書籍化お知らせ - あめ子のマンガ - pixiv

「全文読んで頂いた後でも楽しめる読後感の良い感じに」あら。あの、ハッピーエンドも何もない、作者も元夫も不倫相手も今後ただ人生だけが続いていく、生きるという行為そのものという感じのラスト、好きだったが。

2018/07/31 12:32

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【オリジナル】「不倫サレ日記。9/14発売です。」漫画/あめ子 [pixiv]

"友人、知人、お会いした一部の方に「もっとやればよかったのに」「甘すぎる」と言われることがあるのですが"。できないし、しなくていい。本人も元夫もその相手も、ただ人生を続けていくだけでいい。皆お幸せに。

2018/09/24 10:59

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見ての通り、何かにかこつけて、4回もコメントしている。それだけ自分の心の柔らかい部分をえぐり取った、「何か言葉を残したくなる」作品だといえる。

ストーリーとしては、確かに元夫と不倫相手に腹立たしさも感じなくはないのだけど、他のブックマークコメントにあるような、元夫と不倫相手の不幸を願う気にはなれなかった。

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というのも、結局のところ、自分の中に「恋はしょうがない」という、諦念みたいなものがあるからだ。

ほとんどの人は、誰かに恋をし、恋をする中で、その相手や、周囲の人を巻き込み、振り回し、傷つけ、傷つき、あるいは傷つけたことに対して今も取り除けない後悔を持ちながら、生きているのだと思う。

何なら、恋人がいるのに他の人を好きになって、別れを切り出した、という人も多いだろう。それどころか、二股かけて、乗り換えがうまくいくことが確定してから分かれた、という人も大勢いるはずだ。

誰も傷つかず、傷つけずに恋をするなんて、できない、と自分は確信している。

 もちろん、恋人は突然の別れ話に傷つくし、二股された結果なら怒りもする。

『不倫サレ日記。』ならば、結婚という契約をしておきながら、その契約に背くことをするなんて…という、理性に基づいた批判も可能だ。そしてその批判は全くもって正しい。

でも、恋心というのは、そういう契約や理性とは違うところで動物的に働いていて、そのこと自体は、どこかしょうがないところがあるのだとも思っている。

しょうがないからこそ、作者はもちろんのこと、元夫と不倫相手のきゃりーちゃんには「周囲を不幸にしてまでつかんだパートナー、お互い添い遂げ幸せになってほしい」と、心から願っている。

エンドマークの後も続く、ただ生きるという行為が人生そのもの

もう一つ、『不倫サレ日記。』がどうしても心に残るのは、「人生は生きている限り続く」という身も蓋もなさだ。

柴門ふみだと思うのだけど、映画『卒業』について、概ね次のような言葉を、確か漫画の登場人物にしゃべらせていたのを記憶している(柴門ふみのペンネームの由来はポール・サイモンだし、間違えていないはず)。誰にしゃべらせていたかは忘れた。ただ、女性だったと思うので、女性っぽい言葉にしている。

「あのシーンでエンドマークが出るからいい話なの。現実の二人は、その後何でもないつまらない日常をただだらだらと過ごすのよ」

『不倫サレ日記。』は、その話の展開上、当然なのだが、夫婦の離婚(きゃりーちゃんにとっては、ダーリンの略奪に成功)で最高潮を迎えることになる(ただし、そのシーンは淡々としているけれど)。

その後、若干のエピローグを入れて漫画も終わるのだけど、実際には、その後、作者も、元夫も、きゃりーちゃんも、死ぬまで日常生活というドラマを続けなくてはいけない。

元夫もきゃりーちゃんも、卒業よろしく、いろんなものを振り切り、捨ててまで一緒にっなて、ラブラブな日もあるだろう。けれど一方で、一緒に過ごしていればケンカもするし仲違いもすることを、誰もが経験則として知っている。

そういう、(いい意味で)つまらない、ただの日常をこれから過ごしていく、その生きるという行為そのものが、『不倫サレ日記。』のラストから感じられて、どうしても忘れられないのだ。

 

傷つく恋を読みたいならば…

傷つく恋を読みたい。そんな方には『永遠の野原』がおすすめ。

自分も大好きな作品だ。

www.amazon.co.jp

※アフィリエイトリンクではないと思う(そもそも自分は登録していない)。

作中、とある主要登場人物が、傷つけ、傷つくだけの恋をする。

その痛々しさと、恋のどうしようもなさは、今も忘れられない。

だが、おすすめ理由はそれだけでなく、青春とか恋とかの機微を、さまざまな立場と解釈から描いている名作だと思う。

分かる人にだけ届けばいいおまけ

○自分は野沢派ではなくマリコさん派だったが、当時、周囲の女性たちはことごとく野沢派で、「マリコが好きだなんて…」と軽く引く人もいた。

『永遠の野原』を追ってこんな辺境の地までたどり着いたあなたは、どちら派だろうか?

○前述の「主要登場人物」が恋をした相手も、「主要登場人物」を好きだったと解釈している。このあたり、意見が結構分かれているようだ。

『永遠の野原』を追って(ry

○おまけついで。

kentei.cc

 

 

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