セカイノカタチ

世界のカタチを探求するブログ。関数型言語に興味があり、HaskellやScalaを勉強中。最近はカメラの話題も多め

なぜSTADIAはだめだったのか?

一年半前に下記のような記事を書いたんですが、その後ようやく(?)STADIAの終焉が決まったようです。

qtamaki.hatenablog.com

こちらの記事でも長々と書いているのですが、コンピュータとインターネットの世界を牛耳っているGAFAですが、ゲーム事業に関しては各社苦戦しているようです。鳴り物入りで始まったGoogleのクラウドゲーミングサービス"STADIA"が終了を発表しました。

automaton-media.com

理由として、上記の記事を書いたタイミングでは「よくわからない」と述べているのですが、最近の研究(?)により「箱物行政はダメ」という結論に落ち着きつつあります。箱物行政というのは、国や自治体が箱(イベントホールとかコミュニティセンターとか)だけ作って町おこしをしようとして失敗するアレです。

GAFAに代表されるビッグテックたちはプラットフォーマーなのでゲーム事業に関しても当然ながらプラットフォームを狙うわけです。そのため、まずはでっかい箱を作ってしまうわけですが、ゲームの場合これではうまくいかないと思われます。

automaton-media.com

これは2021年2月の記事ですが、Googleはゲーム開発のコストを「バカバカしい」と判断したのか知りませんが、自社スタジオを諦めてしまいます。この時点で死亡が確定したと私は思っているのですが、Goolgeのやっているビジネスは、メールにせよ広告にせよ検索にせよ動画にせよコンテンツを外部に依存しています。UGC(User-Generated Content)と呼ばれるユーザー自身がコンテンツを生産してくれるビジネスモデルを得意としているため、自身でコンテンツを生産するという行為がバカバカしくなったんでしょう。

ゲームの生産には莫大なお金がかかります。マイクロソフトもソニーも任天堂も莫大なコストと時間をかけて自社開発のゲームを作り続けています。ゲームというのは面白くてナンボみたいなところがあるので、各社そこのところでしのぎを削っているわけです。Googleは箱を作るための予算は無限に投資しますが、コンテンツを作るという行為にはたかが(?)数百億かけるのも惜しいと感じたのでしょう。ゲームなんて所詮コンテンツなので「そんな美味しくないところはサードパーティにまかせて自身は素晴らしい箱を用意すれば、誰かが面白いコンテンツで満たしてくれるだろう」という計算が働いたのだと思います。今までGoogleの成功体験からすれば当然の流れではあるのですが、ゲームではそれが上手くいかなかった。そういうことなんだと思います。

  • Google → STADIA撤退。しばらくはやらないだろう
  • Apple → Apple Arcadeは儲かっているらしい(要出典)
  • Facebook(Meta) → FBプラットフォーム上のゲームは撤退。メタバースに賭ける(失敗気味)
  • Amazon → 2021年に出した New Worldがプチヒット。クラウドゲーミングのLunaはどうなってる?

という状況でGAFAの現状はいまいちパッとしない感じです。AmazonはPrime Gamingもあって、毎月タダでゲームを配っていて、ゲーム販売プラットフォームになるわけでもなさそうなので何が狙いかよくわかりません(プライム会員のリテンションだけ?)が、最近認知度が高まってきています。AppleはiOSをゲームコントローラーに対応させたりして、巨大なユーザーベースを活用してうまいことやっているっぽいです。iPhoneがモバイルゲームプラットフォームとして本気を出したら瞬殺で天下を取る可能性が高いので侮れません(が、Appleは企業文化としてゲームを馬鹿にしている人たちの集団なのでうまくいかないと思っている)。

一部にまだ可能性を残していますが、現状ではGAFAのゲームプラットフォーマーへの野望は道のり遠そうです。そもそもゲーム市場自体が巨大になったとは言え数兆円規模なのでGAFAの胃袋を満たすには小さすぎるという話もあります。ビッグテックでは唯一マイクロソフトが狂ったようにゲーム市場に投資し続けていますが、マイクロソフトはゲーム市場の巨大プラットフォーム「Windows」を持っているので、ゲームに投資することが自社の基幹事業へのリターンとなるという実利的な側面もありますが、なんだかんだゲームが好きなんだと思います。

好きじゃないとやってられない産業でもあって、GAFAがおやつに食べるのは小さすぎる。今のところの結論はそんな感じです。

ひと狩り行くならこれ!ハンティングシミュレータ「theHunter: Coll of the Wild」(ゲーム感想文)

人には狩猟本能がある。ホモ・サピエンスが誕生したのは20万年前と言われているが、農耕の始まりはそれよりもずっと遅く約1万年前まで待たなければならない。その間、人類は何をしていたかというと・・・そう、狩猟により日々の糧を得て生き延びてきたのである。私達にとって狩猟本能とは、DNAの奥深くに刻まれた自然な欲求であり、生物としての根源的な生きる喜びをもたらしてくれるものだ。

しかし、現代において狩猟によって生計を立てている人はごく僅かだろう。ほとんどの人類は獲物を追うのをやめ、狩猟や殺生とは直接関わらない生活を送っている。では、狩猟本能は衰退してしまったのかというと、そんなことはなく、日本においても釣りは人気のレジャーの一つであるし、サッカーや野球などのスポーツについても、「白球を追いかけ捕まえる」などの行為は、狩猟の抽象化であり、うまく狩りのエッセンスを記号化し、ルールに落とし込んだ競技が今もゲームとして人々に親しまれている。

では、逆にゲームを極限まで狩猟に近づけるとどうなるのであろうか?

その答えが、このゲーム「theHunter: Call of the Wild」である。このゲームは一人称視点のオープンワールドゲームとなっており、息を呑むような美麗なグラフィックで再現された広大な自然環境を歩き回り、獲物の足跡を辿って追いすがり、息を殺してチャンスを伺い、一瞬の機を捉えて引き金を引き、仕留めるという本物さながらのハンティングを楽しめる作品となっている。人によって向き不向きがあることは否めないが、狩猟本能全開で時間が経つのも忘れて鹿や狐を追いかけ回してしまう私のようなタイプの人は、己の中に眠っていた野生に驚くことになるだろう。

雄大な景色の中で鹿を追いかける

実際のプレイ内容

初めて、thHunterの世界に降り立ち、緊張とともに周りを見渡すとスマホに着信があった。恐る恐る受信のボタンを押すと、短いチュートリアルが始まりだった(このゲームでは、ミションの依頼やガイドなどはスマホによる通話を通じて行われる。現代的である)。ここで目の前に小ぶりな鹿が現れ、近づいて仕留めるように促される。運が良ければここで初めての獲物を得ることになり、ハンティングの最初の喜びを味わうことになるが、運に見放されれば最初の挫折を味わうことになる(ちなみに私は仕留めそこねた)。

初めての狩りの興奮も束の間、あてどもなく森をさまよい歩き始めると、今度は不安が襲ってくる。あまりにもリアルなグラフィックで描かれる大自然の中(小屋や線路などの人工物も存在するが)、人影もまったくない世界に放り出される。この世界では自分以外の人形モデルの描画は一切なく、動物たちだけが歩き回り、我が世の春を謳歌している。一応スマホからは「アウトポストを探して」とか「監視塔を見つけて」などの指示が飛んでくるのだが、アウトポストも監視塔も最初は意味がわらないので、ますます不安が募るばかりである。

これは流石に予備知識ゼロで始めすぎたのだが、アウトポストとはゲーム内の拠点のことで、これを発見して解放するとファストトラベルの起点となる他、ベッドで睡眠したり銃や道具を買えるようになる。監視塔は、いわゆる「マップ解放」ポイントで、オープンワールドゲームではありがちな高所から見晴らす事により、周辺の地図がより詳細になり(と言っても道と山と池とかしかないのだが)、先述のアウトポストがマップ内にあれば場所がわかるようになる。つまり、先に監視塔を見つけなければアウトポストの場所がわからず、拠点がない状態となるので、ゲームを進める順序としては「マップ解放→拠点解放」が順当で、これを繰り返す形になる。

なにせ広いので、マップ解放だけでもそれなりにやりごたえがあるのだが、本作の目的はそこではない。獲物を見つけて、追いかけ、仕留めることが目的である。そのためには闇雲に歩き回っていても仕方がない(最初は闇雲にあるき回るしかないのだが)ので、獲物のヒントとなる足跡とフンを追跡することからハンティング生活を始めることになる。一部には「一日中フンを追いかけていた」「フンを追いかけて野山を歩き回るゲーム」「フンゲー(クソゲーではない)」という声があるぐらい、フンを追いかけるのが重要なゲームである。

森の中を歩き回っていると、すぐにあちこちに動物の足跡があることに気づく。それらは近づいて調べることにより動物の種類と方向がわかるようになっている。つまり、理論上は足跡の方向に追跡していけば必ず獲物に会えるという寸法だ(ただしそう甘くはないのだが)。足跡を追いかけていくと、一定間隔でフンが落ちている。フンは、その鮮度(!!)から、動物がその場所を通ってからどのぐらいの時間が経っているかという情報をハンターに与えてくれる。そのため、「足跡を発見したら追跡を開始し、途中落ちているフンを調べることで、この場所を通ってからの経過時間を確かめて、あまりに時間が経っているようなら"見込み薄"として別の足跡を探しに行く」というサイクルでゲームを進めることになる。

足跡をたどって上手く獲物に鉛玉を当てることができればハンティング完了である・・・というわけでもないのがこのゲームの意地悪(?)なところで、上手く急所に当てればすぐに獲物は倒れるのだが、そうではない場合は一目散に逃げ始める。ハンターと獲物の追いかけっこの始まりである。獲物は傷を負い出血しているため、血痕が点々と残るようになる。そのため、今度はこの痕跡を追いかけて獲物が失血死するのを見届けなければならない。この際に傷が浅いと血が止まってしまい、ハンティング失敗となる。

このように狩りの各ポイントに難しい点が存在しており、これらをうまくこなして運を手繰り寄せないと、今日の獲物にありつけないという醜態をさらす羽目になる。

おさらいすると、以下のような流れになる。

  1. 監視塔に登ってマップ開放
  2. アウトポストを見つけて拠点とする
  3. 動物の足跡を探して追いかける
  4. フンの鮮度から獲物ととの距離を推し量る
  5. 獲物に弾を当てる
  6. 負傷した獲物を追跡する

実際には、獲物の声に似た音を出すルアーを使ったり、茂みやハンティング用の小屋に隠れて獲物をまったりと、多様な戦術を取ることができるため、この限りではないのだが、一番オーソドックスな流れとしては、これを繰り返すことになる。

その上で、各マップにはそこそこボリュームのあるクエストとメインシナリオが用意されているため、特定のポイントに移動して罠を解除したり、指定されたエリアで指定された獲物を狩るなどの遊びも用意されている。ミッション達成による報酬や経験値あるので、これらを進めながらマップを解放し、途中で見かけた獲物を追いかけているだけで、100時間以上はゆうに経ってしまうだろう。狩りの対象となる動物も多種多様あり、ハンティングのための武器や道具も大量に用意されているため(一部DLC)、様々な組み合わせを試そうとすると時間がいくらあっても足りないということになりかねない。

そんな中で、プレイヤーを待っているのは冒頭にも述べた美麗なグラフィックによる大自然である。正直、このゲームはハンティングが上手く行かなくてもどうってことはないと思っている。なぜなら、雄大な大自然の中をゆっくりと散歩して草木を愛でているだけでも、日頃のストレスフルな日常生活から解放され、心の癒しになるからだ。この癒やしの効果は素晴らしく、産業医のカウンセリングに取り入れても良いぐらいだと思っている。

獲物をスコープの中央に・・・

考察

theHunterは、人を選ぶゲームだと言われている。私もプレイしてみて「これは人を選ぶな」と感じている。わかりやすく敵との撃ち合いがあるわけでもなく、アイテムのドロップや目まぐるしく変わるステージがあるわけでもない。プレイフィールは非常にゆっくりとしていて即効性に欠けるリズムで進行していくため、取っ掛かりの難解さも合わせて合わない人はすぐに投げ出してしまうことも想像に難くない。

しかし、一方で合う人はとことん魅力に取り憑かれるであろうというのは、私の体験としてお伝えしたい。冒頭でも述べたとおり、人には狩猟本能があり、獲物を追いかけて引き金を引くという行為は、理性では推し量れない深いところから湧き上がる興奮と感動をもたらしてくれる。このゲームの武器には弓も存在するのだが、弓による狩猟は銃のそれとはまた一味違う面白さがあり、あまり音を立てないので獲物が逃げにくいという特性もあるのだが、比較的飛距離が短い故に至近距離から放たれた矢が獲物の心臓を刺し貫いた時の手応えは不思議な感触として手の内に感じられるのだ。

ここまで来ると「狩猟フェチ」と呼べるような変態の域に足を踏み込みそうで恐ろしいのだが、自分の中に眠るドストレートな狩猟本能と向き合う機会が訪れるかもしれない。

苦労した分、獲物を仕留めた時の喜びは格別だ

評価

繰り返すが、theHunterは、人を選ぶゲームである(断言)。そのため、私にそそのかされてこのゲームを手にとった人全てに満足いく体験を味合わせることができるかは自信がないところである。しかし、合う人にはとことん会うし、本体価格もSteamのセール中なら500円を切るので試してみることをおすすめする(奇しくも現在はSteamサマーセール中で492円で手に入れることができるようだ。さらに昨日、大型アップデートで新マップDLCが公開された。3か月に1度ほどのペースで新たなマップが追加されるので、その点でも長く楽しめるゲームである)。

(蛇足であるが、これまた奇しくも明日は「ひと狩り行こうぜ!」のゲームの大型DLC発売日となっている。私も購入してプレイを待ちわびている一人ではあるが、こちらの「ひと狩り」もぜひトライしてみて欲しい)

エルデンリングをクリアした(何ならトロコンした)ので感想を書く(ゲーム感想文)(ネタバレ無し)

先日、160時間かかってエルデンリングをクリアし、更には全実績解除(トロフィーコンプリート)までプレイしたので感想を述べたいと思う。

私のシリーズプレイ経験は、デモンズソウル、ダークソウル1,2,3、Boodborne、SEKIROをクリアしている(つまりフロム・ソフトウェアのソウルシリーズすべてだ)。同系統のプレイ経験は豊富と言って差し支えないだろう。

エルデンリングは、フロム・ソフトウェアが開発したアクションRPGである。ダークソウルシリーズの流れをくむ、三人称視点の高難易度ゲーム、所謂「死にゲー」と呼ばれるジャンルの最新作となる。というような前置きは、もはや不要かもしれない。ある程度ゲームに興味があって、タイトルを見てこの記事を読みに来てくれた人であれば、どのようなゲームなのかはだいたいご存知であろう。

今作の特徴であり最大の売り文句は"ダークソウルがついにオープンワールド化した"という点である(ただし、公式には"オープンワールド"という呼称は使われてはいない)。従来のソウルシリーズは、ある程度のサイズのフィールドでステージが区切られており、各ステージ間の移動にはボスを倒さなければいけなかったり、特殊なアイテムが必要だったりした。また、各ステージは非常に密度の濃い立体的な構造をしていることが多く、むき出しの悪意を隠そうともしない各種仕掛けや凶悪な敵の配置などでプレイヤーキャラクターの生命を無残に奪い去ることで、私達プレイヤーを苦しめ、震え上がらせてきた。

オープンワールド化ということで、自由に広大なフィールドを自由に移動できるというのはソウルシリーズをプレイしたゲーマーであれば誰もが夢見た世界であり、大きな期待を寄せられるところではあるが、フロムの真骨頂である閉鎖空間における高密度なゲーム体験が担保されるのかという点においては、不安が入り交じる要素でもあった。

狭間の地

自分のプレイ内容

発売日を待ちわびて、早速プレイした私はまたたく間にエルデンリングの魅力に虜になった。そして、めくるめく冒険の旅を体験し、220時間経った頃には全実績を解除してしまった。それでもなお遊び足りない気持ちで、未だにプレイを続けているぐらい、本作にどっぷりハマってしまっている。

プレイ前に不安を感じていた、広大なオープンワールドと高密度なゲーム体験のトレードオフの問題は、「広大なフィールドにイベントやオブジェクト、美しい景観などをとにかく高密度に詰め込む」という、とても正気の沙汰とは思えないクレイジーな解決方法をもって答えを出していた。このゲームは、とにかく飽きさせない。止め時を失うほど次から次へと新しいイベントやオブジェクトが配置されており、序盤で手に入る馬を駆って広大なフィールドを駆け回っても良いし、怪しいところを見つけたら腰を落ち着けて周囲を探索すれば、隠されたご褒美を掘り起こすことができるので、膨大な量の冒険がプレイヤーの欲求にどこまでも答えてくれる。私がエルデンリングに感じた最も強い感情は、圧倒的なボリューム感に対する恐れである。時を忘れて探索しても、まだほんの小指の先程の要素を攻略したに過ぎないのだ。このゲームは一体どこまで掘り進めることができるのだろう?と途中、恐れにも似た感情を抱きながら広がり続けるフィールドを探索し続けていた。

そして、本作が恐ろしいのはフィールドの広さと密度だけではない。武器や魔法、祈祷といった数多くのアイテムが探索の報酬として手に入り、それらの組み合わせによって取れる戦略の幅が非常に広い点も大きな特徴の一つだ。フィールドの広さと、キャラクタービルドの組み合わせが掛け算となっており、同じマップで同じ敵やボスと戦うにしても、どういった装備やステータスで望むのかによって、プレイ体験が大きく異なってくる。そのため、やろうと思えば何回だって同じフィールドを周回し直すことが可能だ。そして、その度に新しい発見や新しい体験が待っている。プレイヤーの数だけ冒険とドラマが待っていると言っても過言ではないだろう。

私は当初、技量を高めて技量系の武器を扱うビルド*1で冒険を進めていた。ソウルシリーズにおいて技量系は冷遇される傾向にあるのだが、それでも出血を伴う攻撃は、今作において最強の属性攻撃の一角を担うため、強大なボスに対してもなんとか伍して戦えていた。そのうち、ステータスの振り直しができる要素が開放されたので、今度は知力と精神力を高め、強力な魔術を扱う魔法使いにビルドを変更した。変更したての頃は、杖を振るてもおぼつかない感じではあったが、段々と強い魔術等に慣れてくると、無双の強さを発揮し、2周めのクリアまで駆け抜けてしまった。今はまた祈祷師に転職して、新たなプレイスタイルを模索している。

といったように、プレイの幅を大きく許容してくれる懐の深さも本作の魅力の一つとなる。これらの要素は、当然ながらアイテムや魔法が揃い始める中盤から後半にかけてのほうが選択肢が増え、面白みが増してくる。そのため、本作はプレイしはじめの取っ掛かりからすでに他に類を見ないような面白さであるにも関わらず、プレイを進めていくに連れて面白さが増していくという驚異的なゲームとなっている。

強敵を打ち倒すために夥しい数の試行錯誤が必要

秀逸なストーリー基盤

この他にも、戦灰や戦技といった本作から導入された要素もプレイに深みを増す役割を担っており、上げればきりがないのだが、それらを差し置いてでも特筆すべきはストーリーである。ゲームの製作発表時から、ストーリーの根幹をなす神話部分には、「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョージ・R・R・マーティン氏が携わっているということで話題になった。従来のソウルシリーズは、高難易度なゲームプレイとともに難解なストーリーテリングにも定評がある。それは、決して直接的にはストーリーを語らず、マップに配置された石像などのオブジェクトや、アイテムの配置、アイテムなどの詳細画面で確認できるフレーバーテキストによって抽象的に表現されるという手法をとっており、俗に「環境ストーリーテリング」と呼ばれている。これまでのやり方と、ジョージ・R・R・マーティン氏のストーリーがどのように絡み合うのかというのが、期待半分、不安半分といった要素となっていた。

こちらに関する感想としては、文句なしの満点を贈りたいと思う。これだけの膨大なゲーム的な要素の中にあって、エルデンリングを巡るデミゴッドたちの物語が、ゲーム体験を邪魔をすることなく、むしろストーリー要素によって大きく没入感を高めることに成功しているのである。本作においても、物語の直接的な事実については注意深く秘められているのだが、従来のソウルシリーズの物語と比べて、より具体的で整合性の取れた物語の基礎が築かれていると感じることができた。

従来のシリーズに於いては、その世界が辿ってきた物語の軌跡や、登場する神々の関係性は秘められており、あちこちに矛盾が生じると感じることも多かった。とは言え、それは決して悪いことではなく、逆にプレイヤーたちの想像を刺激し、様々な考察を呼び起こすことで、シリーズファンによるコミュニティが形成される魅力的な要素となっていた。

本作では、より具体的な芯をもったデミゴッドや登場キャラクターのストーリーがゲーム内に盛り込まれており、キャラクターの魅力を高めることに成功している。その証拠に、本作は発売以降、ファンアートやプレイヤーの感想、考察、プレイ動画などがひっきりなしにSNSに上げられており、それは今も衰えることなく続いている。そこからは、本作のファンたちのキャラやゲームに対する愛情が溢れんばかりに感じられる。

私も、ストーリーのつながりが気になってしまい、既に大量に上げられている動画やテキストコンテンツを読み漁ってしまったのだが、いつものフロムゲームよりもストーリーのベースラインがしっかりしているため、しっかりと情報を集めるとデミゴット同士の関係性や各キャラのサイドストーリーなどが浮かび上がってくる仕組みとなっており、こちらにおいても「探索」の喜びを与えてくれている。そして、全貌が仄かに見えてくる物語は、読みごたえのあるボリュームでしっかりと作り込まれていることがわかり、探索の手応えが感じられて嬉しい。

本作ではあまり触れられていないキャラクターやデミゴットが何人か存在しているため、もしDLCが追加されるのであれば、その辺のところが掘り下げられることを期待したい。

美しさのあまりスクショを撮ってしまう

考察

エルデンリングとは何なのか?と考えると、古今例を見ないほどの大傑作であることは間違いない。今後発売されるオープンワールドゲームのベンチマークとなることは間違いないし、このゲームを基準にクオリティを推し量られるゲームは可哀想だとすら思える。当のフロム・ソフトウェア自身も本作を超える作品を作るというのは並大抵のことではないだろう。それだけ、フィールドの広さ、密度、戦略の幅、ストーリー、オンライン要素(ちょっと語りきれない)等が、高いレベルでバランスされており、私がそうであったように、多くの人がめくるめく冒険の旅を楽しむことができるだろう。

とはいえ気になる点が無いわけではない。膨大な量の要素の組み合わせによって、取れる戦略の幅がとても広いため、特定のボスや特定のステージが、とても高い難易度に感じてしまったり、逆にあっさりと撃破してしまい味気なく感じてしまうことがあった。これは、自由度の裏返しとして仕方ない点であり、逆に自由度を絞ることによって、密度の濃いやりごたえのあるゲームバランスを提供するという試みをフロム・ソフトウェアは前作のSEKIROで行っている。こちらもずば抜けた傑作であることから、フロムにその力が無いわけではないことは言うまでもない。

未来においては、ビルドの組み合わせによって難易度が調整されるシステムが導入されたりもするかも知れないが、それとてユーザーの努力を無に帰すという点においてはデリケートな判断となるだろう。

総評

繰り返すが、本作はフロム・ソフトウェアの最高傑作であり、他に比べるものがないほどの体験を与えてくれるゲームである。性質上、万人におすすめできるゲームではないのかもしれないが、既に多くの人が体験し熱狂しているのにはしっかりとした理由があるのも事実だ。もし、まだ未体験なのであればぜひ手にとって、その目で確かめて見て欲しい。

*1:キャラクターのスタータスや装備によって、剣や魔法などの方向性を決めて成長させること

Steam中毒という不治の病が癒えてきた

久しぶりの更新です。

記録によると、どうやら4年ほど前に罹患したっぽい現代の死病、Steam中毒が癒えてきた気がします。

qtamaki.hatenablog.com

というのも、欲しいものはだいたい買い切ってしまったからです。

この記事を書いたときは、おそらく30本ぐらいしかライブラリに所有していなかったんですが、現在では、526本まで育ちました。

これ以外に、EPICとPSNを合わせると1000本を超えます(ほとんど貰い物です。良い時代になったものです)。

ここまで行くと、大体のゲームは「持っている」か「聞いたことがある」状態になるので新しいゲームを買おうという意欲が減衰してきます。

Steamのライブラリ所有数をランキングしているサイトがあるのですが、上位の人は2万本とか持っているので私なんてまだまだ雑魚ですね。人の欲望には限りがありませんが、私のゲーム所有欲はこのぐらいの大きさだったということですね。

steamladder.com

現在のプレイ時間を晒しておきます。ソウル系ばっかや・・・

プレイ時間上位

Windows Terminalで起動時にUTF-8(chcp 65001)を指定する

メモです。

Windows Terminalが実用的になってきました。以前は日本語の表示が怪しい部分があって導入を見送っていたのですが、最新版を確認したら直っていたみたいなので十分使えると思われます。

Windowsでターミナルを使うに当たり必要なのが、初期ディレクトリの指定と、文字コードをUTF-8に変更することです。そのための小技を会得しました。

設定はターミナルのタブの右側に出るプルダウンから開きます。するとJSONが開くので編集します。

{
  "guid": "{GUIDを生成して入れる}",
  "name": "xxx project",
  "commandline": "cmd.exe /k chcp 65001",
  "hidden": false,
  "startingDirectory": "D:\\path\\to\\directory"
},

まず、このようにcmd.exeを起動する際に chcp を指定してしまいます。これでサクッとUTF-8になるので便利です。

"commandline": "cmd.exe /k chcp 65001",

次に起動時のディレクトリを指定しておきます。自分はプロジェクトのディレクトリで起動したいので指定します。プロジェクトごとに設定を追加していこうと思っています。

"startingDirectory": "D:\\path\\to\\directory"

あと、GUIDは適当に生成します(「GUID 生成」でググって生成しました)。

これで快適なターミナルライフが送れるはず。

terminal

なぜマウスが今も使われていて今後も無くならないのか?

マウスは、ポインティングデバイスとしては歴史が古く(トラックボールが同時期に開発されているらしい)、かつ最も普及した装置だと思われます(ポインティングデバイスとしてはライトペンが最も古く1950年代からあるそうです)。

最近では、Macbookシリーズに搭載されているタッチパッド(トラックパッド)の性能が上がっており、その存在を脅かされつつありますが、それでもなおポインティングデバイスの王様として君臨しています。

いつかはマウスを置き換えるデバイスが現れる日が来るのだと思いますが、現状ではまだまだ現役として活躍し続けるでしょう。世の中にある商品は、何らかの理由があって選ばれており、完全に上位互換となる製品が現れるか、圧倒的なメリットがデメリットを上回るような製品が現れれば消えてゆく定めにあります。マウスに関しては、競合となるポインティングデバイスに対して圧倒的な利点を持っており、それ故に選ばれ続けるのだと思います。

それは、ひとえにポインティング操作のスピードと正確さです。画面上のある点を素早く正確に指さなければならない時、マウスを超える操作性を持つデバイスはありません。そのうえ安価で入手性も良い(これは歴史の賜物ですが)ので、簡単には置き換えられないでしょう。

以下に、現状割とポピュラーに使われているポインティングデバイスについて所感を述べたいと思います。

マウス

言わずもがな、ポインティングデバイスデバイスの王様です。最近は、タッチパッドに押され気味ですが、デスクトップPCにおいては他の追随を許さない存在でしょう。上にも書きましたが、安価に入手できて操作が容易なのが利点です。正確さやスピードに関しては、タッチパッドや他のデバイスでも同様に操作できるのでは?という疑問もあると思いますが、PCゲームの世界ではキーボードとマウスを使っての操作が一般的で、特に「エイミング」と呼ばれる的に照準を合わせる動作は、マウスの性能を他のデバイスで実現することは難しく、プロゲーマーも普通にマウスを使っています。

逆に苦手な操作としては、曲線や図形をなぞる操作は難しく、絵を書いたりするのは苦手です。また、広く平坦な作業領域を必要とするので、外出時の利用が難しいなどの制限があり、移動を前提としたラップトップでは、タッチパットが有利となります。

  • Good
    • 正確で高速なポイント操作
    • 安価で独立したデバイス
  • Bad
    • 別途デバイスを準備し作業領域が必要
    • 曲線や図形などの描画が難しい

Mouse

タッチパッド

AppleがMacbookに搭載し、ジェスチャーで様々な操作を実現できるようにソフトウェアを組んだことで大きく存在感を増しました。それまでは、マウスの動きを実現することに主眼が置かれ、タッチパットとしてのメリットというのは、ラップトップに組み込んで持ち運びが容易という点にしかなかったと思われます。ただし、持ち運びが容易というのは、今でもタッチパットが選ばれる最大の要因となっていることは間違いないと思います。

苦手な点としては、操作のスピードや正確性がマウスに比べるとやや劣る点だと思います。操作性は日々改良が加えられており、マウスを凌ぐ点もあると思いますが、スライド動作とクリック動作を同じ作業面で行わなければならないため、どうしてもドラッグ・アンド・ドロップや範囲選択などに不便を感じてしまいます。また、タッチパッド単体としての入手性は悪く、ラップトップに組み込みで提供されるため、デスクトップPCに単体で接続するためには、別途購入しなければなりません(そして高い)。

  • Good
    • ラップトップと一体化
    • ジェスチャーによる多彩で直感的な操作
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性がやや劣る
    • クリックと同時操作が難しい
    • 入手性が悪い

Touchpad

トラックポイント

キーボードのGとHの間に赤い点があるキーボードを見たことがある人はいるでしょうか?現在、このデバイスを提供しているのがレノボ1社だと思いますので絶滅危惧種です。以前は、トラックポイントを搭載したラップトップを他社も提供していたと思いますが、居なくなってしまいました。個人的には、大好きなデバイスなので無くならないで欲しいと思っています。

トラックポイントの利点は、なんと言ってもホームポジションから指を離すこと無くカーソル操作ができることです。PCを使っていると「なるべくキーボードから手を離したくない」という欲求が出てくるものですが、キーボードショートカットやカスタマイズに頼らずにそれを実現できるのがトラックポイントの良いところです。ミドルボタンを押しながら操作すれば画面スクロールもスムーズにできます。不思議なのですが、トラックポイントをちょっとでも触って操作すると、その後別のキーボードやラップトップを操作している時にもトラックポイントを探してしまいます。マウスやタッチパッドではこの現象は起きないので、トラックポイントがいかに使いやすいかの証明になると思います。

苦手な点としては、操作のスピードや正確性が劣ることです。タッチパッドよりも操作領域は少なくて住むので携帯性は抜群ですが、搭載されている製品は更に少なくなります。使いたければレノボ1択になります。

  • Good
    • ラップトップと一体化
    • ホームポジションから離れずに操作できる
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性がやや劣る
    • 入手性が悪い

Lenovo keyboard

タッチペン

MicrosoftのSurfaceシリーズなど、画面にタッチ機能を組み込んだ製品が増えてきました。タッチペンは、正確に操作ができて、絵や図形も書けるのでとても良いデバイスだと思います。また「筆圧」という入力情報は他のデバイスにはない利点です。

デメリットとしては、ラップトップと一体化しており、対象製品を買う以外の選択肢がほぼない事です。液タブを使うとか、iPadを外部入力装置として使うなどの選択肢もありますが、値段はそれなりにします。また、一見正確な操作ができそうなデバイスですが、「ラップトップの画面をペンで指す」という操作は、思ったよりも素早く正確に動けません。手がフラフラしてしまって定まらない事が多いため、マウスよりは劣ると思います。また、マウスを持ち歩くよりはマシですが、ペンを持ち歩かなければいけないのが若干面倒です。本体内に格納できるタイプはペンのサイズを犠牲にしていて操作性が下がり、しっかりとしたペンを使おうとすると、マグネットでくっつけたり別で持ち運んだりする必要があります。

  • Good
    • ラップトップと一体化
    • ダイレクトにポイント操作できる
    • 筆圧による操作
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性がやや劣る
    • 別途ペンが必要

Blognone Surface Pro 3 Review

タッチ

タッチペンに対応しているラップトップは、指によるタッチでも操作できます。ただし、これはお世辞にも使いやすいものではなく、簡易的に補助する役割でしか無いと思います。Appleが画面タッチ方式のラップトップを出さないのは、これらのデメリットを上回るような製品を開発するのが難しいからではないかと思います。

  • Good
    • ラップトップと一体化
    • ダイレクトにポイント操作できる
    • ペンが必要ない
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性が劣る

ペンタブ

ペン入力のための独立したデバイスです。普段の操作にペンタブを使っている人がどれだけいるかはわかりませんが、私が使ってみた感じでは、パソコンの操作には向かないと思いました。メリットとしては、絵や図形の描画がしやすいところで、液タブや画面タッチタイプのデバイスを買うより安いところでしょうか。いずれにせよ、ポインティングデバイスとして使用することはあまり想定されていないように思えますし、そのように使っている人は少数派だと思います(使っている方には失礼ですが)。

  • Good
    • ダイレクトにポイント操作できる
    • 筆圧による操作
    • 独立したデバイス
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性が劣る
    • 別途デバイスを準備し作業領域が必要
    • それなりに高価

Tablet and Pen

トラックボール

最後に挙げるのはトラックボールです。私自身使ったことがないので伝聞になりますが、職場で愛用している人間がいるので聞いてみました。

メリットとしては、マウスのようにデバイス自体を動かす必要がないので固定して使える点だそうです。寝っ転がっても使えるのが良いと言っていました。そして、操作のスピードと正確性に関しては、通常に使用する分には全く問題ないが、マウスよりは劣るようです。ポインタとボタンが分離しているのでドラッグ・アンド・ドロップや範囲選択は楽にできます。

欠点は、マウスより値段が張ることでしょうか。場所を選ばないといっても、持ち歩いて使うには大きすぎるという点も挙げられるかもしれません。慣れると手放せなくなるというのも間違いないようです。

  • Good
    • 独立したデバイス
    • 機器を固定したまま操作できる
  • Bad
    • ポイント操作のスピードや正確性がやや劣る
    • 別途デバイスが必要
    • それなりに高価

Trackball

なぜGAFAはゲーム事業で失敗するのか?

(前提: ソシャゲを除く、古典的なビデオゲームの話です)

なぜなんでしょうね?

昨日、続けざまにAmazonとGoogleのゲーム事業についての記事が出ていました。

japanese.engadget.com

gigazine.net

2社とも、PCやその他向けのゲーム事業について、うまくいってなさそうな雰囲気です。まだ失敗とは言えないですが、黄色信号が灯っているのは確かです。

また、半年前ですがAppleの記事もありました。

japanese.engadget.com

各社それぞれ試みている事業も状況も違いますが、現状では、大きく伸びそうな感じがしません。

それぞれがやっていることを簡単に整理すると、こんな感じです。

  • Google
    • STADIAというクラウドゲームプラットフォーム。サーバー上にゲーミング環境を用意し、非力なマシンでもハイエンドなゲームができる。ただし高速ネットワークが必要
  • Apple
    • Apple Arcade 月額500円でiOSのゲームがやり放題
  • Amazon
    • Twitchの買収とAmazon Gamesというプラットフォーム立ち上げ。ハイエンドゲームの開発をしていた(失敗気味)。Lunaというクラウドゲームプラットフォーム開発中
  • Facebook(おまけ)
    • VRゴーグルのOculus買収。VRゴーグルは大人気だけどまだまだニッチ。OculusアカウントとFacebookアカウントの連携を強制して炎上

GoogleのSTADIAは一昨年ぐらいに鳴り物入りでローンチしましたが、その後音沙汰がありません。現状北米地域のみでサービスをしていますが、それにしても続報がなさ過ぎます。果たして何人ぐらいのアクティブユーザーがいるのでしょうか?もちろん、クラウドゲーミングという先見性は素晴らしく将来確実にメインストリームに躍り出るのでしょうが、それまでには後10年は待たないといけない気がします。そもそも、自分たちの撒いたAndroid端末のおかげで家にテレビがないご家庭も増えているみたいですし、10年後には大きな画面でゲームをする人口がどの程度残るのでしょうか。スマホゲーで十分になっていたりして。

Appleは、Apple Arcadeというゲームし放題のサブスクリプションサービスを始めました。当初は、カプコンの独占タイトルなんかもあったのですが、今では普通に基本プレイ無料レベルのゲームが置いてあるだけのサービスになっており、お金を払う意義が感じられません。

Amazonは、報道にある通りゲーム制作からは撤退気味です。かろうじてローンチできたCrucibleが「悪くはないけどつまらない」という微妙な駄作で速攻過疎って誰も相手にしなくなりました。更に上記のニュースだとほかの2本も開発中止とのことで、惨憺たる結果に終わっています。ただし、Amazonは、LunaというGoogleのSTADIAに類似したサービスを準備しており、これがSTADIAより出来が良さそうだと言うことで期待されています。

Facebookは、直接ゲームに関与している感じはありませんが、Oculusシリーズを販売していて、VR分野に橋頭堡を築いています。残念ながら撤退気味なんですが・・・。

考察

「なぜなのか?」と言っておきながら、あまり理由がわからないのですが、各社の企業文化とゲーム事業との相性が悪いのかもしれませんね。特にアップルは、GAFAの中では老舗でアップルII時代からゲームハードとして熱烈な支持者がいながら、半世紀近くオシャレなウェーイ系プラットフォームとしてしか機能していないので企業文化として無理そうです。ちなみにAppleはアプリも含め開発者を消耗品としか見ていない面があり、「我々のプラットフォームで商売させてやるんだからありがたく使え」的な殿様商売気質があるので、ゲーム開発者からは良く思われていないと思います。

これらの企業と比較すると、Microsoft(MS)とSonyの偉大さを感じます。2社とも参入時期が良かったのかもしれませんが、「家電屋(ビジネスアプリ屋)がゲーム事業をやっても失敗が目に見えている」と参入当時は冷笑気味だったと思いますが、それらの外圧を吹き飛ばして確固たる地位を確保しています。

MSとSony、任天堂(ついでにPCプラットフォームのSteam)を見ると、自社プラットフォームを維持するためには自社ソフトの爆発的大ヒットが不可欠なように感じます。いずれもなんだかんだ看板タイトルをいくつも持つ巨大パブリッシャーでもあるので。そういう点では、GAFAの4社とも看板となるようなタイトルを持っていないので、サードパーティ頼りということになるんでしょうが、その場合大手パブリッシャーは海千山千の老獪な交渉上手しか残っていないので、プラットフォーム側が巨大なユーザー数を背景にパワーゲームを展開できないと、良いように食い荒らされる結果になりそうです。任天堂でさえカプコンのタイトルを引っ張るのに数十億払っているみたいですし。

つまり、ユーザー数がいないと優良ゲームを確保できず、優良ゲームを確保できないとユーザーを引き寄せられないという悪循環が生じるわけです。プラットフォーム事業はシビアですね。

そのため、プラットフォーム事業として成功するためには、まずは自社タイトルとして爆発的人気を誇る看板タイトルが必要となるわけですが、GAFA各社は自社タイトルを諦めてプラットフォームに徹しようとしているので、どうなることやらという感想です。

現在MSは、自社の基盤を盤石にするために有望なパブリッシャーを買収する作戦みたいですが、GAFA各社も最低でも同じようなことをして自社の開発能力を高める必要があるでしょう。とはいえ、その辺は各社ともわかっていてゲームスタジオの買収やクリエイターの引き抜きもやったみたいですが、ゲーム業界の経験不足からか目利きが悪かったみたいで、駄作を連発してしまったというのが、昨日のニュースなわけですが・・・。

まあ、ゲームスタジオの買収は手慣れているはずのMSでも失敗気味なので、なかなか簡単にはいかないみたいなんですけど。難しいですね。色々

まとめると、この辺の要素が成功を阻んでいるように思えます。

  • 企業文化がゲーム事業に向いてない
  • プラットフォーム事業を成功させるにはメガヒット自社タイトルが必要
  • 有料ゲームスタジオを買収するには目利きが必要