サイグレアニマン

サイケ、プログレ、アニメ、漫画、映画などの覚書

好きなもの目録 その260 キング・クリムゾンのクリムゾン・キングの宮殿

ピート・シンフィールドが11月14日に亡くなったみたいです。
キング・クリムゾンを私が初めて認識した時、
演奏をしないメンバーがいるってのを珍しく思ったかな。
(後に、演奏をしないメンバーがいるバンドをいくつか知ったけど)
キング・クリムゾンの活動メンバーの分け方は
第一期とか第二期とか色々な分け方があるんですが、
私は勝手に、
ピート・シンフィールド期、ジョン・ウェットン期、エイドリアン・ブリュー期、
それ以降期、と大雑把に分けてます。
ピート・シンフィールド期は、
『クリムゾン・キングの宮殿』から『アイランズ』(『アースバウンド』)まで。
『スティル - ピート・シンフィールド』を聴きながら、
2008年12月と2009年11月と2017年12月に書いた昔の駄文を加筆修正して再録。


標題:キング・クリムゾンのクリムゾン・キングの宮殿

分類:音楽>洋楽>ロック>プログレ

■題名:
IN THE COURT OF THE CRIMSON KING
クリムゾン・キングの宮殿
IN THE WAKE OF POSEIDON
ポセイドンのめざめ

名前:
KING CRIMSON
キング・クリムゾン

メンバー:
ROBERT FRIPP
ロバート・フリップ
GREG LAKE
グレッグ・レイク
IAN MCDONALD (※『クリムゾン・キングの宮殿』のみ)
イアン・マクドナルド
MICHAEL GILES
マイケル・ジャイルズ
PETER SINFIELD
ピート・シンフィールド
MEL COLLINS (※『ポセイドンのめざめ』のみ)
メル・コリンズ
PETER GILES (※『ポセイドンのめざめ』のみ)
ピーター・ジャイルズ
KEITH TIPPETT (※『ポセイドンのめざめ』のみ)
キース・ティペット
GORDON HASKELL (※『ポセイドンのめざめ』のみ)
ゴードン・ハスケル

アートワーク:
BARRY GODBER (※『クリムゾン・キングの宮殿』のみ)
バリー・ゴッドバー

発表年:
1969å¹´
1970å¹´

製作国:イギリス

評価:
S ★★★★★★以上
S ★★★★★○

■曲目:
『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』
『クリムゾン・キングの宮殿』
01. 21ST CENTURY SCHIZOID MAN (INCLUDING MIRRORS)
___21世紀の精神異常者 (21世紀のスキッツォイド・マン) (インクルーディング:ミラーズ)
02. I TALK TO THE WIND
___風に語りて
03. EPITAPH
___エピタフ (墓碑銘)
____A) MARCH FOR NO REASON
_____理由なき行進
____B) TOMORROW AND TOMORROW
_____明日又明日
04. MOONCHILD
___ムーンチャイルド
____A) THE DREAM
_____ドリーム
____B) THE ILLUSION
_____幻想
05. THE COURT OF THE CRIMSON KING
___クリムゾン・キングの宮殿
____A) THE RETURN OF THE FIRE WITCH
_____帰ってきた魔女
____B) THE DANCE OF THE PUPPETS
_____あやつり人形の踊り

『IN THE WAKE OF POSEIDON』
『ポセイドンのめざめ』
01. PEACE - A BEGINNING
___平和 / 序章
02. PICTURES OF A CITY (INCLUDING 42ND AT TREADMILL)
___冷たい街の情景 (インクルーディング:踏み車の42番目(トレッドミル42番地))
03. CADENCE AND CASCADE
___ケイデンスとカスケイド
04. IN THE WAKE OF POSEIDON (INCLUDING LIBRA'S THEME)
___ポセイドンのめざめ (インクルーディング:リブラのテーマ)
05. PEACE - A THEME
___平和 / 主題 (テーマ)
06. CAT FOOD
___キャット・フード
07. THE DEVIL'S TRIANGLE
___デヴィルズ・トライアングル
____A) MERDAY MORN
_____マーデイ・モーン (デヴィルズ・トライアングル PART I)
____B) HAND OF SCEIRON
_____ハンド・オブ・セイロン (デヴィルズ・トライアングル PART II)
____C) GARDEN OF WORM
_____ガーデン・オブ・ワーム (デヴィルズ・トライアングル PART III)
08. PEACE - AN END
___平和 / 終章

??. GROON
___グルーン

■雑記:
キング・クリムゾンの前身といえる
『チアフル・インサニティ・オブ・ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ』
を聴いて、このほのぼのとしたサイケ風ポップから
どーなったらキング・クリムゾンになるのか理解不能なんですが、
やっぱイアン・マクドナルドとピート・シンフィールドの加入が大きかったんだなと。
ジャイルズ・ジャイルズ&フリップに、イアン・マクドナルドと
当時イアン・マクドナルドの恋人だったジュディ・ダイブル
(フェアポート・コンヴェンションやトレイダー・ホーン)
が加入して「風に語りて」とかやってたんすがジュディが抜け、
ピート・シンフィールドとグレッグ・レイクが合流して、
ピーター・ジャイルズが抜けてキング・クリムゾンのオリジナル・メンバーが揃った。
アルバム・デビュー前のキング・クリムゾンのリハーサルを見たムーディー・ブルースが
ツアーへのクリムゾンの同行を恐れてキャンセルしたとか、
感激したドノヴァンがステージに上がってきたとか、
共演したデヴィアンツやティラノザウルス・レックスのファンがクリムゾンの演奏を妨害したとか、
デビュー前から衝撃を与えていたみたいっすが、
1969年10月10日(か12日)頃に、時代を変える『クリムゾン・キングの宮殿』が発売され、
ビートルズの『アビイ・ロード』を蹴落としてNO.1に……と昔は言われてましたが、
宣伝の謳い文句で実際には蹴落としてないみたいっす。


『クリムゾン・キングの宮殿』
私が『クリムゾン・キングの宮殿』の曲で初めて聴いたのが
テレビやラジオで耳にした「21世紀の精神異常者」だったと思うけど、
そのイメージ(インパクト)で、
アルバム(『クリムゾン・キングの宮殿』)全曲が
ディストーションの効いたハードな曲ばかりだろうと勘違いして、
プログレとか知らないのでキング・クリムゾンはハードロックなんだと思ってたかな。
(昔の私はポップな洋楽が好きで、ハードロックとか苦手で忌避していた)
んで、『クリムゾン・キングの宮殿』をまともに全部聴いたら、
「風に語りて」「エピタフ」「ムーンチャイルド」のリリカルさ(叙情性)に驚き、
ハードロックではなく、これがプログレなんだな……と思ったかどうかは、
そーとー昔のことなんで憶えてないっす。

なんといっても1曲目の「21世紀の精神異常者」でしょ!
これ聴いて何も感じない人はプログレは無理です。
しかし1曲目だけ聴くとハードジャズロックかと思うんすけど、
「風に語りて」「エピタフ」「ムーンチャイルド」はすごい叙情的だし、
「ムーンチャイルド」の後半を除けば完璧なアルバムだと思います。
「エピタフ」の出だしのメロトロンの印象的な音で
この楽器が好きになりました。
このアルバムではロバート・フリップはまだリーダーではなく
メンバー間の力関係が拮抗していて
イアン・マクドナルドやマイケル・ジャイルズの方が
目立っているような気がします。
私は特にマイケル・ジャイルズのドラミングにはぶったまげました。
ジャケットの絵はバリー・ゴッドバーの自画像らしいんすが、
こんな顔の人いたら恐くて逃げちゃうよ……。
バリー・ゴッドバーは早死にしちゃったんすよねぇ。
せめて『アイランズ』までのジャケット全部彼だったら
すごい統一感あったのに……残念。


『ポセイドンのめざめ』
『クリムゾン・キングの宮殿』で重要な役割を担っていたイアン・マクドナルドが抜け、
グレッグ・レイクやマイケル・ジャイルズも準メンバー扱いの過渡期なんで、
『宮殿』の焼き直し(二番煎じ)で、
一般の評価もあまり高くないと思うんすが私は好きなアルバムです。
全てのクリムゾンのボーカリストの中で私が一番だと思う
グレッグ・レイクの声が聴ける最後のアルバムだし。
「キャット・フード」がビートルズのオマージュ。
ライブで演奏されていた「ア・マン・ア・シティ」が「冷たい街の情景」に、
「マーズ」が(ホルストの権利関係がうるさいから)
「デヴィルズ・トライアングル」になったみたいで、
「ケイデンスとカスケイド」が
『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』の「アイビスの飛行」に似ているので
脱退したイアン・マクドナルドの影響を感じる。
『ポセイドンのめざめ』と『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』と
『エマーソン、レイク&パーマー』を聴いて、
もしもオリジナル・メンバーで『ポセイドンのめざめ』が制作されたら……といつも夢想する。

キング・クリムゾンって、プログレバンドなのに珍しく
(珍しくないかもしれませんが)
正式なメンバーに、キーボーディストがいないんすよねぇ。
ゲストでキース・ティペットが、
フリージャズかなアヴァンギャルドなプレイを聴かせていて、
ティペットがメンバーに入って、ライヴとかやったらどーなったろう?
インプロビゼーション凄くなったかなぁ。とか想像するっす


『リザード』
ライブ版を抜かせば70年代で一番聴かないアルバムかな。
駄作じゃないですが、なんかねぇ。
ゴードン・ハスケルより
ゲストのジョン・アンダーソンの方が目立ってます。
ゴードン・ハスケル嫌いじゃないですけど
クリムゾンには合ってないような。
前作同様キース・ティペットがゲスト参加してます。
クリムゾンでは珍しく本職のキーボーディスト(ピアノ系だけど)が変化をつけてます。


『アイランズ』
これは良いアルバムです、静寂な感じが。
しかし……なぜ同じメンバーで『アースバウンド』が演奏できるのか謎?
ボズ・バレルがフリップに教わってベースを弾いてます。
超絶技巧のミュージシャンしか
メンバーにしないわけではないみたいです。
逃げられたけど、スティーライ・スパンのリック・ケンプが
ベースの予定だったみたいですね。


『アースバウンド』
これが正規版のアルバムなんすよ海賊版じゃなくて!
音質は悪いですけど、それがまた迫力を出しているんすよ。
『ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート - ヴェルヴェット・アンダーグラウンド』
なんかが好きな人にお勧めです。
特に1曲目の「21世紀の精神異常者」は必聴! 狂ってます。
またメル・コリンズのサックスが最高なんすよ。
「グルーン」の後半のVCS3シンセサイザーで変調させたドラミングが最凶!


プログレッシブ・ロックのバンド・メンバーは、
『クリムゾン・キングの宮殿』のメンバー
(ロバート・フリップ、グレッグ・レイク、イアン・マクドナルド、マイケル・ジャイルズ、ピート・シンフィールド)
『太陽と戦慄』のメンバー
(ロバート・フリップ、ジョン・ウェットン、デヴィッド・クロス、ビル・ブルーフォード、ジェイミー・ミューア)
そして、イエスの『危機』のメンバー
(ジョン・アンダーソン、クリス・スクワイア、スティーヴ・ハウ、ビル・ブルーフォード、リック・ウェイクマン)
が演奏技術面で考えると最高だと思う。
(メンバー間の実力が伯仲している。
デヴィッド・クロスはちょっと実力が落ちる気がするけど……)
どれも短期間だけで瓦解するのは、メンバー全員のエゴが強くぶつかるからか?


■題名:
MCDONALD AND GILES
マクドナルド・アンド・ジャイルズ

名前:
MCDONALD AND GILES
マクドナルド・アンド・ジャイルズ

メンバー:
IAN MCDONALD
イアン・マクドナルド
MICHAEL GILES
マイケル・ジャイルズ

ミュージシャン:
PETER GILES
ピーター・ジャイルズ
STEVE WINWOOD
スティーヴ・ウィンウッド
MICHAEL BLAKESLEY

作詞:
PETER SINFIELD (※「バードマン」のみ)
ピート・シンフィールド

発表年:1970年

製作国:イギリス

評価:S ★★★★★◎

■曲目:
01. SUITE IN C (INCLUDING TURNHAM GREEN, HERE I AM AND OTHERS.)
___組曲ハ長調
02. FLIGHT OF THE IBIS
___アイビスの飛行
03. IS SHE WAITING?
___イズ・シー・ウェイティング
04. TOMORROW'S PEOPLE - THE CHILDREN OF TODAY
___明日への脈動
05. BIRDMAN
___バードマン
____(INVOLVING)
____A) THE INVENTOR'S DREAM (O.U.A.T)
____B) THE WORKSHOP
____C) WICHBONE ASCENTION
____D) BIRDMAN FLIES!
____E) WINGS IN THE SUNSET
____F) BIRDMAN - THE REFLECTION

■雑記:
キング・クリムゾンの北米ツアーで心身ともに疲れきった
イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルズがクリムゾンを抜けて作った
前向きで暖かみのある明るいプログレ。
方向性(コンセプト)はクリムゾンの真逆に思えるんすが、音はクリムゾンに通じていて、
(明るいキング・クリムゾンって感じで、
クリムゾンを辞めた二人がやりたかった音がここにあります。
緊張感や破壊よりも牧歌的な暖かい音楽をやりたかったんだなぁ)
「アイビスの飛行」は「ケイデンスとカスケイド」を思い起こすし
『ポセイドンのめざめ』にイアン・マクドナルドがいれば……と夢想する。
マイケル・ジャイルズのきちっと明確で弾けるジャズ系のドラミングが好きなんすが、
「明日への脈動」「バードマン」でおもいっきり堪能できる。

トロンボーンの MICHAEL BLAKESLEYって誰?と思ったら、
TRENDSETTERS LIMITED や THE TREND で
ジャイルズ兄弟と一緒のメンバーだったみたい。

プログレっていうと暗くて重くて厳しく難解で神経質なイメージなんすが、
『マクドナルド・アンド・ジャイルズ』は牧歌的で優しいプログレ。
ヒッピー的能天気ファンタジーのゴングや、
『おもちゃの歓び - ケヴィン・エアーズ』
『グレイとピンクの地 - キャラヴァン』
なども緊張感がないほのぼのとしたプログレ。


■題名:
EMERSON LAKE & PALMER
エマーソン、レイク&パーマー (エマーソン・レイク&パーマー)

名前:
EMERSON LAKE & PALMER
エマーソン、レイク&パーマー (エマーソン・レイク&パーマー)

メンバー:
KEITH EMERSON
キース・エマーソン
GREG LAKE
グレッグ・レイク
CARL PALMER
カール・パーマー

エンジニア:
EDDY OFFORD
エディ・オフォード

発表年:1970年

製作国:イギリス

評価:S ★★★★★☆

■曲目:
01. THE BARBARIAN
___未開人
02. TAKE A PEBBLE
___石をとれ
03. KNIFE EDGE
___ナイフ・エッジ
04. THE THREE FATES
___運命の三人の女神
____A) CLOTHO
_____クローソー
____B) LACHESIS
_____ラキシス
____C) ATROPOS
_____アトロポス
05. TANK
___タンク
06. LUCKY MAN
___ラッキー・マン

■雑記:
キング・クリムゾンの北米ツアーがオリジナル・メンバー瓦解の原因みたいっすが、
グレッグ・レイクも北米ツアーで一緒になったナイスのキース・エマーソンと意気投合して
新しいバンドを結成しようとクリムゾンを抜けてエマーソン、レイク&パーマーへ。
グレッグ・レイクはキング・クリムゾン在籍時にリハーサルとかで
既に「ラッキー・マン」を歌っていたみたい。
「未開人」は、バルトークの「アレグロ・バルバロ」
「ナイフ・エッジ」は、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」とバッハの「フランス組曲第1番」
などクラシックからの引用。
まだキース・エマーソンは、シンセサイザーをそれほど使ってない。
「運命の三人の女神 (クローソー、ラキシス、アトロポス)」は、
永野護の『ファイブスター物語』のファティマの名前に使われる。

私がエマーソン、レイク&パーマーのアルバムで初めて買った(聴いた)のが
『エマーソン、レイク&パーマー』で、一発で気に入り大好きな作品。
キング・クリムゾンで知ったグレッグ・レイクのボーカルに惚れて
私はELPを聴くようになったんすが、そのおかげでキース・エマーソンに出会えて良かった!
(アニメ『幻魔大戦』とかでキース・エマーソンの音楽に接していたけど、
まだプログレとか意識していなかったので)

 

※キング・クリムゾンなどの情報は、
古い雑誌などからの受け売りなんで信用しないでください。