なぜ iPhone なのか

iPhone は、普通に使ってる分には、他のケータイと比べて見劣りするところが多いかも知れない。他でできるのに iPhone でできないことは、際限なく挙げることができるだろう。

だけど、ぼくはソフトウェア開発者だ。iPhone SDK がある。

ぼくは正直、他のケータイやスマートフォンなどの開発環境はよく知らない。だけど、iPhone SDK は本当によくできている。

それは、Apple が作った標準アプリが SDK で作られているという事実にもよくあらわれている。これのどこがすごいかというと、つまり SDK はデバイスへのアクセスが極度に制限されたお客さん用のサンドボックスではないということだ。

実際に、iPhone SDK はできる限りの API をアプリに対して公開している。位置情報、カメラ、アドレス帳など、ちょっとそれ大丈夫なのというところまで、API からわりと自由にアクセスすることができる。

そこらへんのメンタリティが、他のプラットフォームとはまったく違う。

もちろん、UIKit がよく練り込まれていて、GUI が作りやすいこと。特に UI に本当に必要な種類のアニメーションのサポートがしっかりしていること。あと、Objective-C動的言語であることなども、SDK の使い勝手にいい影響を与えているだろう。

それに、作ったアプリを世界中の人に使ってもらえるという可能性が開けている。英語圏にリリースするだけで、10倍くらいの人に使ってもらえる。

ぼくがソフトウェアを作っていて一番悲しいのは、たくさんコピーしてもらえないときだ。ソフトウェアは無限にコピーできるというところが、現実世界の製品と一番極端に違うところだ。その利点を活かせなければ、ソフトウェアである意味がない。

iPhone は、世界中でこれから何千万台も売れていくだろう。これは、ソフトウェア開発者にとって、魅力的なプラットフォームだ。