黙然日記(廃墟)

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産経「主張」の公民教科書観。他。

漫画「8マン」のSF作家平井和正さんが死去:イザ!
http://www.iza.ne.jp/kiji/entertainments/print/150118/ent15011820280031-c.html

 「平井氏」ではなく「平井さん」と呼ばせてください。当ブログでも、何度か平井さんに言及してきたと思います。たいへん大きな影響を与えてくださった方でした。多くの報道で『8マン』と『幻魔大戦』にしか言及されていないのが不満です。『エリート』『超犬リープ』、『アンドロイドお雪』『サイボーグ・ブルース』『死霊狩り(ゾンビー・ハンター)』『超革命的中学生集団』など、記憶に残る作品は数多くありますし、電子書籍の先駆者としての功績ももっと知られていいはずですが、なによりわたしにとっては、『ウルフガイ』『アダルト・ウルフガイ』の平井さんというイメージです。日本SFの数多くの名キャラクターの中で、アダルト犬神明は、今でもわたしのロールモデルのひとつです。ブルーバードSSSは所有していませんが、ハイライトを喫いつつ、平井さんを偲びたいと想います*1。合掌
 この記事は『8マン』と表記していますね。原作マンガ(桑田次郎氏・画)のタイトルはこちらです。アニメ化にあたり、6チャンネルのTBSテレビで『8』はよろしくないと『エイトマン』に改題されたものです。アニメ版にも平井さんは深く関わられ、平井作品には間違いないので、どちらでもいいといえばそうなのですが。

【主張】公民教科書 不当な記述是正は当然だ:イザ!
http://www.iza.ne.jp/kiji/column/print/150118/clm15011805000001-c.html

 産経「主張」はあいかわらず、公民教科書をイデオロギー発露の場だと考えているようです。それも多様なイデオロギーの存在を教えるためではなく、自分たちのイデオロギーを擦り込むための手段だと。その産経新聞社の関連会社が公民教科書を作っているのですから、笑い事では済まされません。《日本をことさら悪く描く自虐的な教科書の編集姿勢は国益を損なう》という国益云々の発送がそもそもおかしいし、ことさら悪く描かなくても、悪かったものは悪いんだからしょうがないでしょう。
 「従軍慰安婦」が戦後作られた言葉だから不適切だ、というのなら、「神武天皇」も「恐竜」も教科書に載せられません。産経などの横槍を恐れてかこの言葉を削った教科書会社には見解をうかがいたいところです。産経は常々、「(従軍)慰安婦問題の事実を国際的に発信するべき」と唱えますが、事実は、国の威信を背景に事実上逆らえない形で集められたものではないのですか。「お国のため」という言葉にに逆らえなかったのが戦時中の事実であり、そんな国を二度と作らないというのが、戦後日本の出発点ではないのですか。産経は言論統制の時代が大好きなのではないか、と考えざるを得ない根拠が、こうした「主張」です。

*1:ご本人は、禁煙されてからタバコ嫌いになったとも聞いた記憶がありますが。