黙然日記(廃墟)

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産経野口記者の印中観。

 6/20分です。(´・ω・`)
 「首の皮一枚つながる」と「生殺し」は、実際のところ同じ状態を指すのですね……。

【軍事情勢】ネルー印首相の命を縮めた中国「対話と協調」戦略+(1/6ページ) - MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/world/news/140620/chn14062015300005-n1.htm

 ジャワハルラール・ネルーインド共和国初代首相が心臓発作で急逝したのは、中国のはかりごとによる心労のせいだそうです。のぐっちこと野口裕之記者にまかせておくとそのうち、マハトマ・ガンジー暗殺も中国の陰謀のせいにされかねませんね。
 朝鮮戦争終結後、チベット侵略を悪化させた中国のため《大東亜戦争(41〜45年)によりアジアから欧米列強を駆逐したにもかかわらず、チベット問題を契機に再び列強がアジアに介入する、冷戦のアジア飛び火》が憂慮されたのが1950年代前半のアジア情勢だそうです。アジアにおける冷戦といえば朝鮮戦争に続いていわゆるベトナム戦争ですが、1950年代のベトナム戦争といえば列強フランスからのベトナム独立戦争(第一次インドシナ戦争)のことでした。英国がたまたま第二次世界大戦後に植民地支配を放棄する政策を採っただけで、アジア太平洋戦争によって列強の影響力がアジアから払拭されたなどというのは虚妄に過ぎません(逆に、インドや中東の独立はアジア太平洋戦争の結果なのですか?)。インドと中国の「対話と協調」を説明するのに、スターリン没後(1953年)の中ソ対立と第三世界連帯の理想を背景として説明しないのも、抜け作な話です。ネルーだってなにも中国との交渉や領土紛争にかまけていたわけではなく、独立後の不安定な国家運営と十億の多数民族の統一、印パ対立など、悩みの種はいくらでもありました。このように、時代背景から都合のいい部分だけをつまみ取って面白おかしい結論(中国がネルーを殺した)に導いてみせるのが、のぐっちの考える良いコラム、そして軍事情勢分析なのでしょうか。