黙然日記(廃墟)

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産経記者、ゆらぐ。他。

不確定性原理で「ゆらぐ」首相のサイコロ決断? - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/368300/

 この1週間の政治家の発言をまとめる【名言か迷言か】コーナーですが、鳩山由紀夫首相による「ゆらぎ」がどうのという発言を中心に取り上げています。首相がなんのつもりで、物理学的な意味の「揺らぎ」の概念を持ちだし、それを人間の意志や民主主義のあり方と結びつけるような発言をしているのか、あれ?と思う面もあるのですが、やはり産経新聞の五嶋清記者はもっとわかっていないようで。
 アインシュタインが、量子力学の「量子(物質)の存在量は本質的に不確定である(確率的に存在する)」という概念に「神はサイコロを振らない」と批判したことは有名ですが、この論争は結局のところアインシュタインが間違っていたという解釈が主流になっていますし、不確定性原理はすでに論争の対象ではなく確実な定理として扱われています。素粒子である電子が確率的に分布しないなら、エサキダイオードもフラッシュメモリも存在できず、iPhoneもUSBメモリも使えない世界になっています。あるいは、「アインシュタインの発言はすべて正しい」と思いこんでいるのでしょうか。この調子だと、アインシュタインの発言ではないものまで彼の発言だと信じ込んでいそうですね。
 引用されている首相の発言をわたしなりに解釈すると、「民主主義は多数のパラメータからなる関数であり、それは常に変動するカオス的なものではあるけれど収束は可能だ」、というあたりでしょうか。物理学や数学の概念を安易に社会科学に持ち込むことには疑問もあるのですが、比喩としてなら理解可能な範囲だと思います。話のマクラに不確定性原理が出てきたからといって、話の中身がすべて量子力学を語っているわけではないという単純な事実に、五嶋記者は気づかなかったのでしょうか。

温暖化法案 過度の負担なくす修正を - イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/368060/

 13日付「主張」。例によっておおむね財界の主張を代弁しているだけですが、「2050年までに80%削減」という長期目標を掲げたことにまで文句をつけています。いやいいんだけど、産経的にはそれでいいの? 日米首脳が合意した目標値ですよ?