2019ポップカルチャーBEST 40
photo credit: Pascal Rey Photographies "Ghost Buters" Ray Parker Jr via photopin (license)
こんばんは。アントニオ・カッサーノです。
毎年、年間ベストアルバムをやってきたけど、今回はポップカルチャー全般で振り返ってみます。
理由は大きく2つあって、まずツイッターでも散々つぶやいてるようにストリーミングサービスの定着とそれに伴うリリース量の増加やプレイリスト文化の拡張、再生回数&バイラルチャートが毎日更新されていく状況下で、もはや「年間」単位で「アルバム」だけを振り返る意味があまり感じられなくなってきたこと。各媒体の年間ベストアルバムも以前ほど話題になってないし、自分もあまり見なくなってしまった。
もう一つの理由は、ポップカルチャーが好きな人たちの在り方も変わってきてるように感じること。SNSで各ジャンルのアカウントをフォローしながら、一つのカルチャーに特化せずに横断的にポップカルチャーと接してる人が近年は増えてるんじゃないかと(願望も込めて)思ってる。僕も含めたそういう人たちにリアリティのある年間ベストをやってみたいという想いもあった。
という訳で、音楽・映画・ラジオ・YouTube・ドラマ・演劇・お笑い・本などのコンテンツはもちろん、フード(日本の多様な食文化はポップカルチャーとして扱うべきだとずっと思ってる)や2019年に飛躍した人物も含めてごった煮となったカオスな「年間ベスト」となっております。
No.34 White Reaper「You Deserve Love」
No.32 加納エミリ「GREENPOP」
No.26 Easycome「Easycome」
No.24 ナードマグネット「透明になったあなたへ」
No.20 DaBaby「KIRK」「Baby On Baby」
No.19 TWICE「&TWICE」
No.16 Young Thug「So Much Fun (Deluxe)」
No.15 Clairo「Immunity」
No.4 舐達磨「GODBREATH BUDDHACESS」
No.1「オードリーのオールナイトニッポン 10周年全国ツアー in 日本武道館」
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【オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー in 日本武道館】オードリー漫才
補足
まず、補足というか釈明。マンガとゲームが一切入ってないのに不満を感じてる人もいると思う。これは単純に自分がカバーできてないから(ごめん)。マンガは「キングダム」とか読んでる作品もあるにはあるけど、シーン全体が掴めてないので2019年を象徴するような作品をピックアップできなかった。ゲームについては全くと言っていいほどやれてなくてお手上げ。「DEATH STRANDING」はいつかプレイしたい(PS4まだ持ってないけど…)。
こうして振り返ってみると、2019年はオードリーの年だったなーと。武道館→春日「モニタリング」でプロポーズ→FRIDAY騒動→騒動後のANNでオードリー最大のピンチを乗り切る→春日結婚→しくじり学園お笑い研究部で若林とアルピーが夢の共演(平子覚醒)→さよならむつみ荘→さよならたりないふたり→若林結婚→若林ロスが続出。
ツイッターでもつぶやいたけど、オードリー(というか若林)は時代のチャンネルに合わせながら、でも超えちゃいけないラインの境界線上であえて遊んで笑いにしちゃう批評性がある。今も議論されてる「人を傷つけない笑い」という単純な図式だけでは見えてこない多様な笑いが既にあるし、その可能性にこそ目を向けていきたい。こんな時代にオードリーがいてくれて良かったと思う1年だった。
あと、振り返りながら思ったのは、今のポップカルチャーを牽引してるのは海外ドラマ・映画などの映像作品だということ。時代と共振しながら、分断された社会を前提に鋭い批評精神を盛り込んだ作品が多くて、最も”今”を感じるカルチャーだと思う。その意味で「ザ・ボーイズ」には震えたし、同じ文脈で「ゲーム・オブ・スローンズ」も入れたかったんだけど、実はまだ完走できてない(最終シーズンの評判が悪いのは知ってる…)。2020年も新年から「ウォッチメン」が話題だし、まだまだ面白い状況が続きそう。
最大の反省点としては日本のテレビドラマをあまりチェックできなかったこと。特に最後の秋クールに話題作が集中してたのに出遅れてしまったのを後悔してる。「本気のしるし」で地方局ドラマがヤバいのも分かったので、もっと多く観るようにしたい。ちなみに「いだてん」は大根仁監督が苦手なので観てません。
本当は全部語りたいけどキリが無いなのでいくつかピックアップしてみる。
「全裸監督」は黒木香への許諾問題とか事実と異なる点(村西とおるが美化されすぎてる)など様々な問題が表面化してしまったので入れるべきか悩んだ。
いろんな芸人がラジオで絶賛したり、メディアでは好意的に取り上げられる一方で、ある時点からSNSでは批判の声以外は表立って誰も触れなくなってしまった感がある。
自分のスタンスは①事実と異なる点はドキュメントではなく原作本をベースにしたフィクションである以上は問題だとは思わない。作中では当時はスルーされていた強要問題や引退後も主演作品が販売され続ける問題をあえて扱った上で、(当時の村西とおるの姿勢とは違っていたとしても)明確に”否定”する立場で描いたことは評価できる。②許諾問題については本当のところが分からず、現時点の推測だけで断罪することはできない。以上の理由から今回「全裸監督」を入れることにした。
ただ、本当にこれで良かったのか分からない。この作品については何も触れないのが一番簡単なのは分かってるけど、それはしたくなかった。様々な批判があった上でシーズン2がどのように応答するのかを引き続き観て考えていきたい。
松井玲奈の「カモフラージュ」はあまり話題にならなかったけど、間違いなく才能を感じる作品。何かを褒める為に何かを貶すのは許されない時代なのを分かってて書くけど、高山一実「トラペジウム」とは全く比較にならないほど”文学”を感じた。この世界を切り取る視点と想像力には本当にワクワクさせられたので、今後も書き続けて欲しいし、長編も読みたい。ちなみに僕はかずみんを応援してます(急に怖くなって)。
カジサックを入れたことをお詫びします。敬遠してる人は芸人との対談シリーズだけ観て欲しい。質問が的確でインタビューアーとして優秀なのが分かるはず。それと、ひと昔前は多くの芸人がユーチューバーをバカにしてたのを思うと、本気で乗り込んだ彼の気概みたいのはちゃんと評価したいなと。
フードはもっと入れたかった。この場を使って2019年オープンで良かった都内の店を紹介しておく。
自家製麺 No11 - 大山/ラーメン | 食べログ
中華そば 竹千代 - 尾久/ラーメン | 食べログ
とんかつ 美濃屋 - 大塚/とんかつ | 食べログ
最後に2019年の結論。岡崎紗絵は正義!あー間違えた。ポップカルチャーは思想の道具ではない。でも、ポップカルチャーはその思想の背景にある時代から逃れられない。
以上、お終い。