phaの日記

なんとかなりますように

新著『持たない幸福論』が発売になりました

今日僕の新著である『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』(幻冬舎)が発売になりました。電子書籍版も同時発売です。帯のコメントは以前ゲンロンカフェで対談をさせていただいた斎藤環さんに、本のデザインは寄藤文平さんにしていただきました。おかげでとてもいい感じの本として仕上がったと思います。

発売記念としてcakesで無料試し読みができるのでよかったら読んでみてください。全7回の予定で、今日第1回が公開されました。記事の公開予定は以下のようになっています。

5/26(火) 働きすぎて死ぬのはおかしい。
5/29(金) 子どもを作ることを絶対視しすぎるのは息苦しい。
5/30(土) 「幸せの根拠」が多様だから、この世は複雑で面白い。
5/31(日) 家族もシェアハウスの一種に過ぎない。
6/5(金) 月4、5万円でお金をかけずに多幸感を得るコツ。
6/6(土) 安上がりな趣味で面白いことはたくさんある。
6/7(日) 自分の価値基準を持つと、他人と自分を比べなくなる。

本の目次は以下のような感じです。

はじめに
第一章 働きたくない
 目的と手段と過程
 人生と時間
 社会と自分との関係
第二章 家族を作らない
 何によって幸せを感じるか
 家族という概念
第三章 お金に縛られない
 お金をかけない日常
 都会と田舎を行き来する
 追われない生き方
第四章 居場所の作り方
 1. 複数の場所に顔を出す
 2. 合わない人とは棲み分けをする
 3. 人の流動性を保つ
 4. ゆるさを保つ
 5. 自分が主催者になる
 6. 空間(ハコ)をキープする
 7. 用がなくても気軽に集まれるといい
 8. みんなで一緒にすることがあるといい
 9. 人の悪口はほどほどにする
 10. 滅びたらまた新しいのを作ればいい
本書のまとめ
あとがき
ゆるく生きたい人のためのブックガイド

 * * * * * * *
(ここから先は前にブログに書いた文と同じなので前に読んだ人は飛ばしていいです)

この本の趣旨としては、前に出した『ニートの歩き方』の続きというか発展形というか、ニートに限らず働いている人たちも含めて全般を対象に、なんでこの社会で生きているといつも何かに追いかけられてるかのようにせわしないんだろうか。どうしたら仕事やお金や家族に縛られずにもうちょっと楽にゆるく生きられるだろうか。みたいな問題について、僕の考えや実践例を挙げながら語っています。

『ニートの歩き方』を読んでもらうと分かると思うけど、あの本は別に「ニート最強、みんなニートになろう」ということを言いたいわけではなかった。ずっと働き続けるのもしんどいしずっとニートでいるのもそれはそれでキツい。だからその中間くらいを、しんどくなったら休んだり元気が出たら仕事に復帰したりをうまく行ったり来たりしながらやれるような状態が理想で、周りの人たちと助け合ったりお互いに助け合ったりしながらそういうのを目指すべきなんじゃないか、ということを書いたつもりだった。

まあ、普通の人と違う変わった生き方をしようとすると、まだまだ世間からの「真っ当に生きなきゃならん」みたいなプレッシャーが強いと思うんですよね。そういう自分と価値観が違う人の意見なんて親兄弟でも無視していいと思うけど、そういう世間の空気みたいなものを少しでも変えたいと思って文章を書いているのはあると思う。

予想外だったのは、『ニートの歩き方』が意外と幅広い人に読んでもらえたことだ。『ニートの歩き方』を書くときに想定読者として考えていたのは「昔の自分」だった。昔の自分=20歳前後のいろいろこじらせてる社会不適合なめんどくさい男、が面白く読めて役に立つような本を考えていて、なので自分が20歳前後の頃に好きだった鶴見済さんの本とかを思い出しながら書いたりしていた。

だけど、『ニートの歩き方』を発売してみると、30代〜50代の女性など想定とは別の年代や別の性別の人にも読んでもらえて支持してもらえたのが意外だった。それなら、と、今度は最初からニートや20代男という狭い想定読者じゃなく、老若男女、働いてる人も働いてない人も、「人生ちょっと疲れるよな……」と思っている人全般に読んでもらえるといいなと思って書いたのが『持たない幸福論』です。


『持たない幸福論』で書いていることのテーマは以下のような感じです。

  • 仕事のために自分の生活を犠牲にするのはおかしくないか。
  • 家族を作ることだけが正しい生き方なのか。
  • 現代社会の生活は常にお金に追いかけられてる感じで変じゃないか。

こういった事柄について、僕がニートになったりネットでお金や物を貰ったりネットの仲間と東京のシェアハウスで暮らしたり熊野にシェア合宿所を作ったりしながら生きているというような実践的な話を交えながら、「お金があるのが偉いとか高いものがいいという時代は終わった」とか「日本人の男は仕事に身を捧げることを美化しすぎて生活や家庭を放置していた」とか「今当たり前とされている家族の形は歴史的にそんなに古くない」とか「都市に住んで会社に勤めるという生き方だけではバランスが悪いんじゃないか」などといった話について語ったりしています。

仕事やお金や家族。それはもともと人を助けてくれるもののはずだけど、でもときどき逆に仕事やお金や家族が人を追い詰めてしまったりする。面倒くさいことだ。
そういうときはどうすればいいかというと、ちょっと距離を取ってみるのがよいと思う。仕事やお金や家族を絶対化して「逃げちゃいけない」と思ってしまうと人は追い詰められる。しんどいときは逃げればいい。逃げても大体の場合なんとかなるし、今いる場所以外にも居場所は世界にたくさんあるはずだ。
仕事やお金や家族は基本的には人を助けてくれる便利なものだからそれを全否定するわけじゃないけれど、あまりにそれに縛られ過ぎると不幸になるから、適度な距離を持って付き合っていくことができたらよいなと思う。この本はそのための本です。

ということで、現在発売中の『持たない幸福論』をどうぞよろしくお願い致します。