解説

問うことの享楽へ向けて

東浩紀の登場は、九〇年代の日本の言論界においては、間違いなく一つの事件だった。私は彼の文章に初めて接したときの驚きを、いまでも生々しく思い出すことができる。それは一九九四年のことだった。当時の私もまた、ささやかながら文章を書きはじめたばか…