【匠のデジタル工房・玄人専科】

何度か書いている事だが、なかかか理解ができない課題なので、今回も簡単に書く。

カメラの露出補正とは、その場の「明るさ」に応じて行うべき操作では無い。

×明るいから、マイナス補正する。　この操作をやってしまう人がどれだけ多い事か。
またデジタルカメラの「白飛び」が怖くて、中級者以上になっても平気でマイナス補正する。
これは、基本的には間違った操作である。




カメラの露出計は、暗いところから明るいところまで、正しく現在の明るさを計ってくれる。
だから、カメラの露出計を基本的に信じて、明るい場所でも何も露出補正の操作をしなくても、
正しい明るさに写る。

しかし、カメラの露出計は、明るさには敏感だが、色までは通常わからない。

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（余談）本来なら、ここで、ニコンF5以降の 3D-RGB測光では被写体の色を判別して・・
うんぬん・・という補足表記が続く。
でも、それは今回はしたくない、ややこしくなる一方だからである。

そもそも、何で、そんな但し書きばかりの記事や情報を書かざるを得ないのか・・・
理由は簡単、知ったかぶりをして重箱の隅をつっついてくる連中がいるからである。
自分で何一つ創造的な記事を書いたり付加価値の高い情報を生み出す事もできないのに、
誰かが書いた情報のわずかな弱点を、ああだこうだという・・・つまり評論家タイプ。
この手の人達が後をたたないから、初心者向けの記事でもどんどん複雑な書き方を
せざるを得ず、結果として何が言いたいのか初心者はわからなくなってくるのである。
別にこのブログに限らず、すべての雑誌や書籍やネットの記事はそんなもの、
つまり「評論家対策」をせざるを得ない。まったく情け無い話である・・・
そこの「評論家」の貴方、くだらない意地や知ったかぶりで余計なおせっかいをする前に、
真の写真教育の為には何が必要なのかを良く考えて行動しないさい！　

このブログは日本で最も詳しいカメラとデジタルの専門ブログである、
書いている方も誇りと責任を持って記事を書いている。まず読者も誇りを持って読み、
あるいはコメントを書き込む方もその責任と誇りを持って対峙したまえ。
読者は皆真剣に写真の勉強がしたいのである、遊びでは無い。

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さて、寄り道が長くなった、カメラの露出計は色を理解できない話である。

「色が異なると何が違うんだ？」
・・・うん、いい質問だ。　それは光を反射する度合いが異なるのである。

「目でみている分には、わからないぞ・・」
そう、だから、露出計の仕組み、いや「露出計の勘違い」も人間が理解するのが難しい。
人間の目は、サイボーグやロボットではあるまいし、目で見た被写体の光の反射率は
数値で計測する事ができない。

簡単に言ってしまうと、白い色や淡い色の被写体というのは、花でも建物でも人間の服でも
多くの光を反射している、だから、実際の明るさよりも、露出計はもっと明るいと勘違い
してしまうのである。

「だから、マイナス補正するのだろう？」
いや、ちがう。ここが重要である！　
勘違いした露出計は『非常に明るいからちょっと暗くしてやるか・・』と思い込むのである。

ここが何度書いても簡単に理解できないところである、これをちゃんと説明しようとすると、
18％ニュートラルグレーが・・となって、チンプンカンプンになるのである。
それも前述の「評論家」達の仕業、そんな輩（ヤカラ）はほっておけ。

つまり、露出計は、人間が何もしなくても、勝手に適切な明るさに調整しようと努力するの
である。それなのに、人間がカメラを信用せずにマイナス補正するからおかしくなる。
露出計の勘違いを補正してやるのは、プラス補正である。

“カメラ君、今は明るいから暗くしようと思ってるだろう？　でもちがうぞ、これは白いから
明るく見えるだけで、実際にはそんなに明るくない、だから、プラスしてやるぞ！”

という事である。簡単な事である。「白ければプラス、黒ければマイナスすれば良い。」

「明るくても、暗くても補正する必要は無いのか？」
その通り、補正の必要は無い。明るくても暗くてもカメラの言うとおりに撮りなさい。

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「明るいと白飛びするって聞いたぞ？」
・・だからぁ、そこが聞きかじり知識のいちばんの問題点。
白飛びしたからどうした？　写真の出来がなんかおかしいのか？
白いものが白く写っててどこが悪い？
そもそも露出計が正確に動作していれば、明るいからといって白飛びするわけがない。

「デジタルカメラの白とび警告が・・・」
・・くどいなあ、いいか、デジタルは有限だと以前にも述べた。
白飛びってのは、白のデータが限界値を超えた時に発生する事だろう？
たとえば8bitなら256までしかデータが存在しないデジタルで、どうやって257のデータを
判断できるんだい？
だったら、白飛びは、いっぱいの256のデータになった時点で出さざるを得ないだろう？
つまり、限界ギリギリ真っ白で、本来それで良い筈の256のデータでも白飛びと言うしかない。
だから表示の方も「白飛びしました」ではなく、あくまで「白飛び警告」となっている。

よって、そんな事は気にする必要は無い、普通に撮っていて白飛びするようだったら、
カメラの設定のどこかが間違っているか、カメラが壊れているかしかない。
だいたい自分のカメラの設定の全部も把握できていないのに、白飛びがどうしたとか
露出補正がどうした、とか、そんな事を考える事がすでに間違っている。
まず、カメラの機能を全て理解できていないうちに、頭でっかちや聞きかじりで余計な
事を考えるべきでは無い。

「そもそもカメラの設定がわからない・・・」
まあ、しかたがない、わかりにくい取扱説明書をいくら読んでも理解できる筈もないし、
1800円も2000円もする「△△カメラ徹底攻略」なんてムック本を買ってきても
やはり要領を得ない記事しか書いておらず、結果的にいつまでたっても理解できない。

でもそればかりは、こうしなさい、と簡単に言う事はできない。
ただたんに、ある数字をどう設定すると言っても、理解できていないと意味が無い。
勉強しなさい、と言うと日本人はすぐに試験勉強でもあるまいし
「雪景色を撮る時はプラス◎段露出補正をして・・・」などと、実践的にまったく応用力
の無い、あたかも歴史年号や数学の公式を覚えるような勉強の仕方をする。

そうでは無い、たとえば歴史の年号を覚えるならば、その時代に何が起こって、だから
ある事件や事象が起こるべくして起こった事を覚えるのが真の勉強である。
また物理の公式は、単位系を同時に理解すれば、それも物理学的になるべくしてなる
公式である事が簡単に理解できるであろう。　
物理の「力」の公式が kg・m^2 / s^2 であることから、重さと速度と速度を掛ければ
力になるという事を覚えられる、よく間違えるkg・ｍや加速度(m/s^2)という混乱しやすい
概念も分母分子の単位の量をちゃんと数えれば間違いにくい。

すなわち勉強する、という事は、「原理を理解する」ことである。
原理が理解できないから、勉強しても勉強してもわからない、という事になる。

今回は、露出補正の原理を伝えた。
「露出計は明るさではなくて色を誤解する、だからそれを露出補正で正す・・・」
簡単な事である、そして、これが理解できれば、
「雪がいくつプラスで、桜の花びらがいくつプラスで・・・」といった、不毛な詰め込み型の
勉強をする必要はなくなる事であろう。

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写真解説：奈良の高畑地区にあるオープン型のカフェにて、友人のＩさんを撮影。
（Ｉさんは、前出のCG作品TWINSで、格子窓の前を歩いているあの彼女である）
奈良で活躍した写真家「入江泰吉」氏の作品を展示する「写真美術館」にほど近い
このカフェは文壇の巨豪も通ったと言われる文化的な香りと歴史を持つ名店。
陽光に照らされる中、清涼な風の中に漂うハーブティーの香りを楽しみ、しばしの休息を
得るＩさんの表情を NIKON D2H と AF28mm/f2.8（銀塩換算 42mm)で捉える。
絞りf2.8開放、ISO200でシャッター速度は 1/250秒。　露出補正は行っていない。
デジタルの28mmは、とても標準的な画角。　やはり自然の中で自然な表情を捉えるには
自然な画角のレンズが良い。こんな時の連写は野暮というもの、１枚でズバリと決める。

実はすでに日も落ちかけていた夕方であったが、どうしても陽光の中のアフタヌーンティー
のイメージが欲しかった。
目の前に座るＩさんのこの状況の一瞬を記憶に留めたいから・・
だから写真を写すのである。無理して作品にしようとするからしんどいのであって、
あくまで自分が撮りたいから撮る。記憶を永遠に留めたいから写真を撮るのである。

イメージを最大に膨らませるため、創造性をもって、パソコンのマウスという筆を取る。
デジタルレタッチで「逆光線」を追加し、露出オーバーのハイキー調にしあげる。
また、シャープなニッコールレンズによるクリアすぎる風景は、逆にその場の清涼感を
かもしだす事はできないので、あえて「濃霧」の特殊加工を僅かに施す。
絵画風加工をして、さらに、ハーブティーをイメージさせるフレームを追加してできあがり。

この写真は別に売り物では無いから、私が、あるいは、この写真を差し上げるＩさんが
気に入ってくれれば良い。真のニーズはそこにしかない。商業写真としてのプロ写真家は
クライアントのニーズやパブリシティとしての効果を常に考えければならないが、逆に言えば
アマチュア写真家の醍醐味はあくまで自分の好みに自由に走れる事が最大のメリットである。
最近、ブログで様々なプレッシャーを感じてか、休止あるいは閉鎖に追い込まれる非常に
上手な方々のサイトを良く見かける、とても残念な話である。
見に来ていい加減なコメントを投げかける人の事など無視して、あくまでも自分の好きに
やれば良いだけの話ではないのか？　そんな意味ではブログに真のプロなんか誰もいないん
だから、全員がアマチュア。ギャラリーは気にせず自分の信じる道を貫けば良い。
それはすべてブロガー自身、あくまで自分の為である。

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5/18　13：00追記　早速写真のモデル御本人の　Ｉさんよりメールが入りました。
写真とても気に入ってくれたそうです、よかった！　事前にお見せしてなかったのです（汗）
いつ撮られたかわからないとも言ってました、きっと目を閉じていらっしゃったからでしょう（笑）