西川和久の不定期コラム

5G/ミリ波対応新フラグシップ!「Xperia 1 III SO-51B」

Xperia 1 III SO-51B

 ソニーは4月14日、Xperiaの5G対応新フラグシップ「Xperia 1 III」を発表した。今回はドコモ版「Xperia 1 III SO-51B」が編集部から送られてきたので試用レポートをお届けしたい。筆者は前モデル「Xperia 1 II SO-51A」をメインで使っているだけに、興味津々のレビューとなった。

SoCなど主要部分のパワーアップ、ミリ波対応、望遠レンズ強化など盛りだくさん!

 今回ご紹介するXperia 1 III SO-51Bは、Xperia 1 II SO-51Aの後継機だ。違いは、SoCがSnapdragon 865 5GからSnapdragon 888 5G、メモリが8GBから12GB、ストレージが128GBから256GB、ディスプレイのリフレッシュレートが90Hz相当の残像低減技術から120Hz(240Hzの残像低減技術)への強化のほか、望遠カメラが70mmから70mm/105mm、サウンドが最大音圧約40%向上、そして5Gのミリ波対応……と、ざっくりこんなところだろうか。

 つまり処理速度/容量アップに加え、パネル表示が滑らか、カメラはより望遠を、サウンドパワーアップ、そしてミリ波対応と言ったところが強化ポイントとなる。主な仕様は以下の通り。

NTTドコモ「Xperia 1 III SO-51B」の仕様
SoCSnapdragon 888 5G(オクタコアCPU)2.84GHz、Adreno 660を内包
メモリ12GB
ストレージ256GB
OSAndroid 11
ディスプレイ6.5型有機EL 4K(1,640×3,840ドット)、アスペクト比21:9、HDR、リフレッシュレート最大120Hz、HDR/BT.2020/10bitカラー対応クリエイターモード搭載
ネットワークIEEE 802.11ax対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)
SIMNano SIMカードスロット×1
対応バンド国内 5G:n78/n79/n257
4G(LTE):FD-LTEバンド1/3/19/21/28
TD-LTEバンド42
海外 4G(LTE):FD-LTEバンド1/3/4/5/7/12/13/17/28
TD-LTEバンド38/39/40/41/42
3G(W-CDMA)バンド1/5
GSM/GPRSバンド850MHz/900MHz/1.8GHz/1.9GHz
インターフェイスUSB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、デュアルフロントスピーカー、microSDカードスロット、3.5mmジャック、FMラジオ(ワイドFM)、指紋センサー
カメラ前面:有効画素数約800万画素/F値2.0
背面:16mm(超広角):有効画素数約1,220万画素/F値2.2、24mm(広角):有効画素数約1,220万画素/F値1.7、70mm・105mm(望遠):有効画素数約1,220万画素/F値2.3・2.8、3D iToFセンサー
サイズ/重量約71×165×8.2mm(幅×奥行き×高さ)/188g
バッテリ4,500mAh(3年間劣化しにくい長寿命)
カラーバリエーションフロストブラック、フロストグレー、フロストパープル
その他防水(IPX5/IPX8)、防塵(IP6X)
価格14万9,800円

 SoCはSnapdragon 888 5G。オクタコア[email protected]でGPUとしてAdreno 660を内包している。2021年現在出荷されてるスマホ用としては最上位となる。メモリは12GB、ストレージは256GB。これらは全てXperia 1 IIからパワーアップした部分となる。OSはAndroid 11。

 ディスプレイは、6.5型有機EL 4K(1,640×3,840ドット)、アスペクト比21:9、HDR、HDR/BT.2020/10bitカラー対応クリエイターモード搭載……ここまでは同じだが、リフレッシュレート最大120Hzと引き上げられた。

 ネットワークは、IEEE 802.11ax対応、Bluetooth 5.2、NFC(FeliCa対応)、Nano SIMカードスロット×1。ここは同じだが(正確には1 IIのBluetoothは5.1)対応バンドから分かるようにミリ波対応となった。ただ現時点で5Gですら体感できるケースは少なく、加えてミリ波となるとまだまだ先と言った感じだろうか。

 インターフェイスはUSB 3.1 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)、デュアルフロントスピーカー、microSDカードスロット、3.5mmジャック、FMラジオ(ワイドFM)、指紋センサー。この辺りは変わらず。ただしサウンドに関しては40%出力アップしている。音質重視派としては3.5mmジャックありもポイントが高い。

 カメラは前面が有効画素数約800万画素/F値2.0。背面が16mm(超広角):有効画素数約1,220万画素/F値2.2、24mm(広角):有効画素数約1,220万画素/F値1.7、70mm・105mm(望遠):有効画素数約1,220万画素/F値2.3・2.8、3D iToFセンサー。

 前面/背面広角、超広角、3D iToFセンサーは同じだが、望遠が屈曲光学系を使った70mmと105mmの切り替え式となった(つまり105mmが加わった)。個人的に望遠はほとんど使わないが、使う人には嬉しい強化ポイントだろう。別途カメラだけまとめてあるのでご覧いただきたい。

 サイズは約71×165×8.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量188g。フットプリントは気持ちコンパクトになったが重量も含めてほぼ同じだ(1 IIは約72mm×約166mm×約7.9mm/181g)。

 バッテリは4,500mAhと500mAh増えている。30分で50%の急速充電にも対応。ただSnapdragon 888はバッテリを食う(印象がある)ので実際のバッテリ駆動時間は後半で検証してみたい。また3年間劣化しにくい長寿命バッテリを採用。ここは羨ましい点だ。手持ちのXperia 1 IIはそろそろ1年経つが、既に少しヘタってきた感じだ。

 カラーバリエーションはフロストブラック、フロストグレー、フロストパープルの3色。防水(IPX5/IPX8)/防塵(IP6X)に対応し、価格は14万9,800円。さすがにハイエンドだけあってそれなりに高価となる。

前面。パネル中央上に前面カメラ。アスペクト比が21:9なので一般的なスマホより長細い。フチは薄い
背面は左上にレンズ群。刻印が薄くて分からないが、その横本体中央辺りにFeliCaマーク
左/下。左側面にSIM/microSDカードスロット、下側面にType-C
右/上。上側面に3.5mmジャック、右側面に音量±ボタン、指紋認証センサー兼の電源ボタン、Googleボタン、シャッターボタン
Nano SIMスロット付近。奥がSIM、手前がmicroSDカードスロット。イジェクトピンを使わないタイプだ。指(爪)で簡単に外れる(1 IIも同様)
重量は実測で189g(SIMあり)
Xperia 1 II@docomoとの比較。Xperia 1 IIが厚み約7.9mmに対して1 IIIは約8.2mmと0.3mm厚みがある。数字だと少しだが、実際持つと厚く感じる。また写真からは分かりにくいが、カメラ群の出っ張りも1 IIIの方が広い

 手元に届いたのはフロストグレー。光沢がなく指紋や汚れなどが目立たない(Xperia 1 IIのブラックはつやありで目立つ)。重量は実測で189g(SIMあり)。このクラスとしては一般的で特に重くはない。ただ届いてすぐ思ったのは、持った時に1 IIと随分感覚的に違うことだ。具体的には厚く感じる。数字上は1 IIの約7.9mmに対して1 IIIは約8.2mm。たった0.3mm差なのに人の感覚とは不思議なものだ。

 前面はパネル中央上に前面カメラ。アスペクト比が21:9なので一般的なスマホより長細い。フチは薄い。背面は左上にレンズ群。刻印が薄くて分からないが、その横本体中央辺りにFeliCaマークがある。左側面にSIM/microSDカードスロット、下側面にUSB Type-C。スロットは一般的なイジェクトピンタイプではなく、指(爪)で簡単に外せるタイプだ。上側面に3.5mmジャック、右側面に音量±ボタン、指紋認証センサー兼の電源ボタン、Googleボタン、シャッターボタンを配置。

 なお、ACアダプタやUSBケーブルなど付属品はなく、ユーザーが別途用意しなければならない。本誌の読者であれば大丈夫だが、ドコモショップへ出向くようなエントリーユーザーは要注意だ。

 6.5型有機EL 4K(1,640×3,840ドット)のディスプレイは、明るさ、コントラスト、発色、視野角全て良好。さすがのクオリティだ。設定でリフレッシュレート120Hzやクリエイターモードと呼ばれるHDR規格 BT.2020の色域/10bit入力への切り替え、ホワイトバランスなどの調整もできる。

 このアスペクト比21:9、初めて触った時はやけに長細いなと思うが、使い出すとFacebook、Instagram、Twitterなどタイムライン系は縦長の方が情報量が多く、一覧性が良い。たまにiPhone 12 Pro Maxを見ると、やけに狭いなと思うほどの違いが、そしてメリットがある。

 発熱はベンチマークテストなど負荷をかけたり連続撮影時結構出る。Xperia 1 IIも同様なのだが、ピークはそれよりもう少し熱い気がする。

 サウンドは横位置時ステレオとなる。最大音圧約40%向上ということもあり、1 IIと比較すると明らかにパワーが違う。音質的には1 IIと同じ傾向だが歪みもなく、無理なくスッと音量が上がる。4段階に設定できるダイナミックバイブレーションも加わりさらに迫力が増す。3.5mmジャックからの出力をMDR-EX800STで視聴したところ、同様の音圧向上、そして1 IIのようにこもった感じもなく非常に良い。サウンドについては正直1 IIユーザーとしては羨ましい部分だ。

70/105mm可変式望遠とPhoto Proでカメラアプリを統一

 搭載しているカメラは、前面:有効画素数約800万画素/F値2.0。背面:16mm(超広角)/有効画素数約1,220万画素/F値2.2、24mm(広角)/有効画素数約1,220万画素/F値1.7、70mm・105mm(望遠)/有効画素数約1,220万画素/F値2.3・2.8、3D iToF。

 Xperia 1 IIと比較して、望遠以外は同じだ。ほかのスマホではレンズごとにセンサー画素数が異なることもままあるが、全て約1,220万画素に統一しているのも同社のこだわりを感じる。出力画素数は4,032×3,024ピクセル。全レンズZEISSレンズで、T*コーティングが施されている点はXperia 1 IIと同様。

 望遠はXperia 1 IIが約1,220万画素/焦点距離:70mm/F値2.4だったのに対して、屈曲光学系レンズの70mm・105mm/F値2.3・2.8での切り替え式となっている。またこれによりズームは光学3倍/デジタル3倍だったのに対し、ハイブリッド12.5倍(AI超解像)ズームとなった。つまり、Xperia 1 IIと大きな違いは望遠系となる。

 またXperia 1 IIでは、標準はカメラアプリ(背景ぼかしはこちらのみ対応)、別途Photo Proを用意していたが、Xperia 1 IIIでは、カメラアプリを廃止、Photo ProにBASICモードを追加。これが標準となっている。なお、Xperia 1 IIでの背景ぼかしは標準のみだったが、Xperia 1 IIIでは、広角以外、標準、望遠70mm/105mmで使用可能だ。表示/編集に関してはGoogleフォトを使用する。

カメラ。左から順に超広角、広角、望遠

 背面カメラのモードは、BASIC、AUTO、P、S、M、MR(登録呼び出し)。動画はBASICモードのみ切り替え可能。本格的な撮影はCinema Proを使う。BASICは従来カメラアプリの延長線上だが、AUTO以降はまるで同社のαシリーズ並みのパネルとなる。右側面のシャッターボタンを押してアプリ起動、もちろん撮影時はシャッターボタンになるので、スマホで撮るというよりコンデジを使ってる的な感覚だ。なお、前面カメラ使用時はBASICモードのみとなる。

 加えてBASICモードでは、スローモーション、ポートレートセルフィー、パノラマ、クリエイティブエフェクトにも対応する。

 設定は、縦横比(4:3 12MP/16:9 9MP/1:1 9MP/3:2 10MP。BASICモード以外はRAW対応)、ドライブモード、ズーム設定、フラッシュモード、美肌効果、フォーカスモード、フォーカスエリア枠色、顔/瞳AF、QRコード読み取り、タッチで合わせる、グリッドライン、音量キー設定、カメラ操作音、保存先、位置情報を保存、カメラキー長押し起動、起動時の撮影モード、モードダイアルガイド、Transfer & Tagging add-onモード。動画の設定ではビデオサイズ(4K/フルHD/フルHD 60fps/1080×1080 1:1/HD)。

 設定でちょっと面白いのは「タッチで合わせる」だ。一般的なスマホでは、タッチするとフォーカスと露出を合わすのだが(AF/AEロック)、本機では、タッチ追尾フォーカス/オートフォーカス/フォーカスと明るさの3選が設定可能だ。オートフォーカスにするとAEでの明るさはそのままピンの位置だけを変えることができる。

Photo Pro / BASICモード
Photo Pro / Pモード
Photo Pro / Pモード(焦点距離を35mm/標準+デジタルズームへ)
Photo Pro / BASICモード / 前面カメラ
設定(1/2)
設定(2/2)

 以下作例を日中10枚、夜景10枚、人物(自撮り@前面カメラ/背面カメラ)各1枚の計22枚を掲載する。全てBASICモードで撮影。露出補正はほとんど触っていない。人物とバイクは背景ぼかしを使用。店内の照明、ショーウィンドのオブジェが70mm、中央の木に赤い花が105mm。広角も結構混じっている。

 起動やAFも速く、撮影後の確認も即出る。超広角から望遠105mmまで、完全オートでこれだけ撮れれば何の文句もない。また手振れ補正は動画も含め電子式/光学式対応。特に望遠で威力を発揮する。

 ただ続けて撮ると発熱が気になるものの(撮影中に「本体の温度が上昇したため……」という通知が何度も出て、本体裏がかなり熱を持っていた)、これは猛暑に作例を撮っている関係も少しはあるだろうか。今回は使っていないが、リアルタイムトラッキング、リアルタイム瞳AFにも対応しており、動く被写体を追い続けることもできる。

作例
モデル:茜音愛さん

山盛りのアプリと3つの選べるホーム画面

 初期セットアップはSIMなし、Wi-Fi接続、Googleアカウントなどはスキップで行なったところ計10画面。ほとんどAndroid標準のままだ。

 認証は指紋認証のみ。顔認証は使えない。組み合わせとしては、指紋+パターン、指紋+ロックNo.(PIN)、指紋+パスワードとなる。電源ボタンが指紋センサーを兼ねてるので指示通り登録すればOK。認証も一瞬だ。マスクがあると顔認証しないケースが多く、今なら指紋認証の方が便利だろう(冬は寒いかも知れないが)。

 SIMはdocomoのSIMを使う限り特に何も設定しなくてもよい。筆者のXperia 1 IIではdocomoからahamoへ変更したが、特に何も設定せずそのまま使えている。おそらく1 IIIでも同様だろう。また1枚ということもありDual系のどっちを何に割り振るかなど難しい部分もない。

画面ロックを選択
指紋の登録
モバイルネットワーク / NTT DOCOMO
APN

 ホーム画面は、設定 > アプリと通知 > 標準のアプリ > ホームアプリで、簡単ホーム、docomo LIVE UX、Xperiaホームを選択できるが(もしくはホーム3画面目のアプリで選択)、今回はXperiaホームで試用した。

 ホーム画面は計3画面。中央付近に同社お馴染み「my daiz」がある。ドックに「電話」、「ドコモメール」、「Chrome」、「Google」、「Photo Pro」を配置。先に書いたようにカメラアプリがなくなり、Photo Pro(BASICモード)が標準となった。これは是非Xperia 1 IIでもお願いしたいところか。2画面目にソニー系、3画面目にdocomo系をまとめた感じだ。

 Androidのバージョンは11、IMEはGboard。ストレージは256GB中24.73Bが使用中だ(若干の画面キャプチャを含む)。内システムは21GB。標準でシステムナビゲーションはボタン式だが、システム > ジェスチャー > システムナビゲーションでジャスチャーも設定できる。また画面が縦に長い分、分割表示してそれなりの情報量を表示可能だ。

Home(1/3)。Xperiaホーム
Googleフォルダ
Home(2/3)
Home(3/3)
ホームの設定 / ウィジェット / 壁紙
アプリ一覧
設定 / デバイス情報
設定 / ストレージ
通知パネル(1/2)
通知パネル(2/2)
docomo LIVE UX
簡単ホーム

 アプリは、「電話」、「ドコモ電話帳」、「ドコモメール」、「+メッセージ」、「カレンダー」、「ミュージック」、「Cinema Pro」、「Photo Pro」、「Imaging Edge Mobile」、「FMラジオ」、「Game enhancer」、「設定」、「Chrome」、「YouTube」、「マップ」、「フォト」、「Playストア」、「dポイント」、「dメニュー」、「dマーケット」、「My docomo」、「d払い」、「dcard」、「災害用キット」、「Amazonショッピング」、「Facebook」、「Disney DX」。

 ドコモフォルダに「取扱説明書」、「データコピー」、「あんしんセキュリティ」、「遠隔サポート」、「スケジュール」、「メモ」、「dフォト」、「データ保管BOX」、「my daiz」、「マイマガジン」、「おすすめアプリ」、「はなして翻訳」、「地図アプリ」、「iDアプリ」、「マクドナルド」、「Kindle」。

 Googleフォルダに「Google」、「Gmail」、「ドライブ」、「YT Music」、「Google Play&ムービー」、「Duo」、「ドキュメント」、「スプレッドシート」、「スライド」、「Google Pay」、「アシスタント」、「Podcasts」、「Google One」。

 ソニーフォルダに「Xperia Lounge Japan」、「Xperiaガイド」、「Xperiaカバー」、「Reader by Sony」、「ニュース」、「Video&TV SideView」、「Headphone」、「Xperia Transfer 2」。ツールフォルダに「時計」、「電卓」、「Files」、「おサイフケータイ」、「Linkedin」。ゲームフォルダに「Call of Duty」、「アスファルト9」、「PS App」。

 と、いつもながら山盛りのアプリだ。またmy daizを表示しているとアプリ一覧でアプリ名の上に被って読めないケースもある。筆者のような慣れたユーザーでも多いな……と思うので、さすがにもう少し調整してはいかがだろうか。

設定 > 画面設定 > 画質設定でクリエーター/スタンダードモードが選べる
設定 > 画面設定 > 低残像設定で120Hzのオン/オフ
Headphone > 機器登録
Headphone > ワイヤレスでないヘッドホンを一覧から登録
Game enhancer
FMラジオ
Cinema Pro

 画面設定では、クリエイターモードと呼ばれるHDR規格 BT.2020の色域/10bit入力に対応したモードがある。筆者はXperia 1 IIでこのモードを常用しているが、初めは少し地味目に見えるが、慣れるとこちらの方が落ち着いた感じとなる。逆にスタンダードモードは、はっきりくっきりの鮮明な発色だ。120Hzもこのメニューでオン/オフできる。オンにすると確かに滑らかだが、バッテリの消費は多くなる。

 Headphoneは、360 Reality Audio対応のヘッドフォンを登録する。Bluetooth/NFC/ワイヤレスでないヘッドホン……を一覧から登録できる。手持ちの「MDR-CD900ST」、「MDR-EX800ST」はともに非対応なので一覧にはない。

 Game enhancerは、ゲームアプリを登録し、ゲーム中の通知やパフォーマンスの設定などができるツール。FMラジオはもちろん日本の周波数対応だ。Cinema Proは名前の通りプロ仕様の動画録画/編集/再生アプリとなる。

ハイエンドに相応しいパフォーマンスだがバッテリ駆動時間は気持ち短め

 ベンチマークテストは簡易式だが「Geekbench 5.1.1」と「Google Octane 2.0」を使用した。GeekbenchはSingle-Core 1,130、Multi-Core 3,635、OpenCL 4,659。Google Octane 2.0は45,800。先日ご紹介したROG Phone 5 Ultimateも同じSoCでほぼ同じスコアになっている(Google Octaneのスコアだけ本機が速いがChromeのバージョンだろうか)。

 参考までにXperia 1 IIのGeekbenchはSingle-Core 866、Multi-Core 3,017、OpenCL 3,159。Google Octane 2.0は33,837。明らかに世代の差が出ている。

 バッテリ駆動時間は、輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生したところ約11時間で電源が落ちた。最近は12時間を超えるスマホも多く、4,500mAhのバッテリを搭載しているわりには気持ち短めだ。前回のROG Phone 5 UltimateもそうだったがSnapdragon 888は、ほかのSoCと比較して、少しバッテリを食うような気がしないでもない。

Geekbench 5.4.1(1/2)。Single-Core 1,130、Multi-Core 3,635
Geekbench 5.4.1(2/2)。OpenCL 4,659
Google Octane 2.0は45,800
輝度/音量50%、Wi-Fi経由でフルHD動画を全画面連続再生。10時間経過で残9%

 さてXperia 1 IIユーザーとしてXperia 1 IIIを使った感想だが、筐体はXperia 1 II(特に薄さ)、画面はイーブン(120Hzはバッテリを消費するので通常オフ)、サウンドは圧倒的にXperia 1 III、カメラは(筆者の使い方の場合)イーブン。ただし標準カメラがPhoto Pro、そして(あまり使わないとは言え)望遠でも背景ほけが使えるのは羨ましい……と言ったところだろうか。パワーはソーシャル中心であればSnapdragon 865 5Gでも十分速い。

 パワー、70mm/105mmの望遠やサウンド、120Hzのリフレッシュレートなど(ミリ波対応も)、よほど魅力的に思わない限り1 IIから1 IIIへの乗り換えは少ないのではないだろうか。もちろんそれ以外のスマホからであればどれを取っても十分魅力的だ。


 以上のようにdocomo「Xperia 1 III SO-51B」は、Snapdragon 888 5G/12GB/256GB、アスペクト比21:9の6.5型有機EL 4K(120Hz対応)を搭載、広角/標準/2段階の望遠レンズを採用したカメラなど、ハイエンドに相応しい内容のAndroidスマホだ。加えて、写真も動画もサウンドも同社の技術を結集し、非常に完成度の高い1台に仕上がっている。

 少し熱を持ったり、 バッテリ容量4,500mAhのわりに駆動時間11時間と気持ち短めなど、気になるところもあるにはあるが、とにかく全てに満足したいユーザーにお勧めしたい逸品と言えよう。