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使って分かった最新折りたたみスマホ「Google Pixel 10 Pro Fold」の進化点
2025年10月9日 02:00
8月21日に発表された、Googleの最新スマートフォン「Google Pixel 10」(以下Pixel 10)シリーズ。そのうち、「Pixel 10」「Pixel 10 Pro」「Pixel 10 Pro XL」はすでに発売済みだが、最後の1モデル「Pixel 10 Pro Fold」がついに発売となった。
今回、Pixel 10 Pro Foldを発売前にいち早く試用できたので、ハード面を中心に紹介する。なお、今回試用したのは発売前の評価機のため、製品版と異なる部分が残されている可能性がある点はご了承いただきたい。直販価格は256GBモデルが26万7,500円、512GBモデルが28万7,500円。
Pixel 9 Pro Foldと比べ外観に大きな違いはない
Pixel 10 Pro Foldの外観は、従来モデルである「Google Pixel 9 Pro Fold」(以下Pixel 9 Pro Fold)と比較して、それほど大きな違いは見られない。
折りたたみ式ということもあって、外側ディスプレイ側から見て左側上下の角は角ばっているが、右側上下の角はなだらかにカーブしている。ヒンジ部以外の側面はほぼ直線的に切り落とされている。この基本的なデザインはPixel 9 Pro Foldからほぼ変わっておらず、全体的なデザインコンセプトもほかのPixel 10シリーズとほぼ同等と考えていい。
本体サイズは、折りたたんだ状態で76.3×155.2×10.8mm、開いた状態で150.4×155.2×5.2mm。Pixel 9 Pro Foldと比べると、高さは155.2mmと同じなのに対し、幅はたたんだ状態で0.8mm、開いた状態で0.2mmそれぞれ短く、厚さはたたんだ状態で0.3mm、開いた状態で0.1mmそれぞれ増えている。とはいえ、横に並べてもほとんど違いが分からないほどだ。
Pixel 9 Pro Foldは登場当時、日本国内で購入できる折りたたみ式スマートフォンで最薄と、その薄さが強調されていたが、現在ではSamsungのGalaxy Z Fold7のような非常に薄型の折りたたみ式スマートフォンが登場しており、最薄の座は奪われている。もちろんPixel 10 Pro FoldはPixel 9 Pro Foldより厚さが増えているので、そもそもPixel Foldシリーズの中でも最薄ではないが、折りたたみ式スマートフォンとして厚さに大きな不満は感じない。
重量は、公称で258g、試用機の実測では259.5g(物理SIM非装着)だった。Pixel 9 Pro Foldから1g重くなっているが、こちらも実際に手に持ってもち比べても違いを感じることはなかった。そのため、サイズ、重量ともに従来とほぼ同等と考えて差し支えないだろう。
本体色は、MoonstoneとJadeの2種類を用意。今回の試用機はMoonstoneだった。側面フレームと背面カメラユニットのフレーム部はマット調のシルバーで、ヒンジ部のみ光沢シルバー仕上げとなっている。背面ガラスもマット調の仕上げで、シルクのようななめらかな手触りを実現している。
なお、従来同様本体はすべすべしており、滑って落としやすいので、可能ならケースを装着して利用したい。純正アクセサリのPixelsnapケースは、外側ディスプレイ周囲と背面をしっかり保護できるので安心だ。後ほど紹介するPixelsnap充電器をマグネットで保持する機構も備えているのも嬉しい。
ヒンジ部の耐久性は従来の2倍となり、IP68準拠の防水防塵性能も実現
Pixel 10 Pro Foldでは、折りたたみ式スマートフォンでも安心して長期間利用できるように、さまざまな部分で耐久性が高められているという。
本体側面フレームの素材として、航空機や宇宙船などで使われている高剛性アルミニウム合金を採用。外側ディスプレイ面と背面のガラスには、Corning製強化ガラスGorilla Glass Victus 2を採用することで、強度を高めている。
折りたたみディスプレイには、極薄ガラスに加えて2層の耐衝撃フィルムを装着しており、強度を高めているという。特に、落下の衝撃に対する耐久性が高められているとのこと。
ヒンジ部には新設計のギアレスヒンジを採用しているそうだが、こちらも耐久性が従来の2倍に高められているという。また、ヒンジ部を覆うカバーにも高剛性アルミニウム合金を採用。この新設計のギアレスヒンジの採用によって、Pixel 10 Pro FoldではほかのPixel 10シリーズ同様のIP68準拠の防水防塵性能を実現。Pixel 9 Pro Foldにはなかった防塵性能も実現されており、この点でも耐久性が高められていることを実感できる。
こういった各所の耐久性強化によって、GoogleによるとPixel 10 Pro Foldは10年以上の折りたたみ動作に耐える耐久性を実現したとしている。
このあたりは、実際に長期間使い込んでみないと分からないが、少なくとも耐久性が高められていることで、より安心して利用できることは間違いないだろう。
外側ディスプレイは大型化しベゼル幅が減少、内外とも輝度が高められた
ディスプレイは従来同様、折りたたんだ状態で利用できる外側ディスプレイと、開いた状態で利用する内部折りたたみディスプレイを搭載する。
外側ディスプレイは、表示解像度が1,080×2,364ドット、リフレッシュレート60~120Hzのスムーズディスプレイに対応する6.4型有機EL「Actuaディスプレイ」を採用。表示解像度はPixel 9 Pro Fold同様だが、サイズは6.3型から6.4型へと大型化。これにより、ベゼル幅が4辺ともに狭められている。
Pixel 9 Pro Foldでは、特にヒンジ側のベゼル幅がかかなり太かったが、Pixel 10 Pro Foldではヒンジ側もベゼル幅がかなり狭められたことで、見た目にかなり洗練された印象だ。この違いはひと目見て分かるほどで、外側ディスプレイの大型化はかなりうれしい。
また、輝度がピーク時最大3,000cd/平方mへと高められたことで、直射日光下での視認性が向上。Pixel 9 Pro Foldもピーク時輝度が2,700cd/平方mと十分明るいが、実際に直射日光下で比べてみると、Pixel 10 Pro Foldのほうがより明るく表示され、画面の表示内容をしっかり確認できる。
上部中央に前面カメラのパンチホールがある点は、従来から変わっていない。
折りたたみディスプレイは、表示解像度が2,076×2,152ドット、リフレッシュレート1~120Hzのスムーズディスプレイに対応する8型有機EL「Super Actuaディスプレイ」を採用。表示解像度、可変リフレッシュレート、サイズなどはPixel 9 Pro Foldと同じで、側面付近のベゼル幅も含めて、見た目には特に大きな変化はない。右上角付近にインナーカメラのパンチホールがある点も同様だ。
開いた状態でのディスプレイのヒンジ付近は、完全にはフラットになっていない。指で触ると凹みをしっかり確認できる。また、外光の反射具合で目視でも凹みが分かる。この凹みはPixel 9 Pro Foldと同程度で、この点も大きな変化はないと言える。
本体の開閉は、閉じている状態ではマグネットで固定されていることもあって、開き始めこそ軽く力を入れる必要があるが、それ以降はほぼ一定のトルクで開いていき、完全に開く直前にスッとトルクが抜けるような感触が手に伝わり、開き終わりが判断できる。この感触はPixel 9 Pro Foldと比べても、よりスムーズになったという印象で、とても気持ちよく開閉できると感じる。
また、折りたたみディスプレイも輝度が従来のピーク時最大2,700cd/平方mからピーク時最大3,000cd/平方mとより明るくなっている。外側ディスプレイ同様に、直射日光下でもよりはっきりと表示内容を確認できる。
画面ごとのアプリの挙動も最新のPixel 9 Pro Foldと同等
外側ディスプレイと内側ディスプレイによってアプリの挙動が変わるのはPixel 9 Pro Foldと同様。Pixel 9 Pro Foldでは、ファームウェアやアプリのバージョンアップによって登場当初から多少挙動が変化してきているが、最新のPixel 9 Pro FoldとPixel 10 Pro Foldではアプリの挙動はほぼ同等となっているようだ。
Gmailアプリでは外側ディスプレイ表示時には通常のスマートフォン同様の表示となるが、内側ディスプレイに表示すると左右分割表示へと切り替わり、左にメール一覧、右に選択したメールの内容が表示される。本体を90度回転して縦横を入れ替えても同様の表示のままとなる。
WebブラウザのChromeでは、外側ディスプレイ表示時にはスマートフォン向けページを、内側ディスプレイ表示時にはPC向けページを標準で表示する。外側ディスプレイで表示している状態で本体を開いて内側ディスプレイに表示を切り替えた場合には、外側ディスプレイで表示していたスマートフォン向けページをそのまま表示するが、リロードするとPC向けページが表示される。
電子書籍アプリのKindleでは、外側ディスプレイで表示しているときは通常のスマートフォンと同様。内側ディスプレイで表示するときは、本体を開いた状態では単ページ表示、本体を90度回転させると見開き表示へ、また90度回転して元に戻すと単ページ表示へと切り替わる。
使い勝手としては、内側ディスプレイを開くと見開きで表示された方が書籍らしいという気もするが、内側ディスプレイは横より縦のほうが長いため、こういう挙動になるのだろう。ちなみにこの挙動はPixel 9 Pro Foldも同様で、使い慣れている人にとっては特に気にならないはずだ。
折りたたみスマートフォンに最適化していないアプリの表示も変わっていない。設定メニューの「アプリ」項目にある「アスペクト比」の設定内容に従った表示となる。アスペクト比は、引き続き「アプリのデフォルト」「全画面表示」「3:2」「画面の半分のみ表示」の4種類から選択できる。
内側ディスプレイで左右に2つのアプリを開いて同時利用するマルチタスクも、従来と同等だ。たとえば、Gmailとフォトを同時起動してそれぞれを利用できるのはもちろん、メールに添付したい写真をフォトから指でドラッグ&ドロップしてメールに貼り付けることも可能。同時表示したアプリの組み合わせを保存し、ワンタップで2つのアプリを開ける、アプリのペア設定保存機能も引き続き利用可能だ。
本体を開閉した場合の、表示しているアプリの継続利用についても従来と同じ。閉じた状態で外側ディスプレイに表示しているアプリは、本体を開いて内側ディスプレイに切り替わっても引き続き表示される。逆に、内側ディスプレイに表示しているアプリが本体を閉じた場合に外側ディスプレイにどう表示されるかは、設定メニューの「ディスプレイ」項目にある「折りたたみ時もアプリ使用を継続」での設定内容に応じて変わる。設定内容が「常時」の場合には引き続きアプリが表示され、「上にスワイプして継続」ではいったんロック画面に切り替わるが画面を上にスワイプすると使っていたアプリが改めて表示される。「継続しない」の場合は、そのままスリープへと移行する。
カメラの仕様は従来と同じも、Pixel 10シリーズの新機能も一部利用可能
背面カメラのハードウェア仕様は、Pixel 9 Pro Foldから変わっていない。広角カメラは、1/2型4,800万画素Quad PDセンサーに、F値1.7、画角82度のレンズの組み合わせ。超広角カメラは、1/3.4型1,050万画素Dual PDセンサーに、F値2.2、画角127度のレンズの組み合わせ。望遠カメラは、1/3.2型1,080万画素Dual PDセンサーに、F値3.1、画角23度の屈曲光学系5倍望遠レンズの組み合わせ。デジタルズームは最大20倍。
前面カメラも従来同様に、外側ディスプレイと内側ディスプレイ双方に搭載。仕様はいずれも、1,000万画素Dual PDセンサーに、F値2.2、画角87度のレンズの組み合わせで、こちらもPixel 9 Pro Foldと同じ。どちらも顔認証が利用でき、アプリログインや決済認証にも対応している。
これら仕様は、すべてPixel 9 Pro Foldのカメラと全く同じ。背面カメラのカメラバーが上下2列の構造となっている点も同じだ。従来モデルでもそうだったが、Pixel 10 Proシリーズに位置付けられているにも関わらず、ほかのPixel 10 Proシリーズのカメラと仕様が異なり、やや劣っている点はやはり残念だ。
以下に、背面カメラの各レンズおよびデジタルズームを使って撮影した写真を掲載する。同じ場所でPixel 9 Pro Foldで撮影した写真も比較として掲載するが、カメラの仕様が同じということもあって、同等のクオリティの写真が撮影できている。
各レンズとデジタルズームの作例
撮影機能としては、撮影者も一緒に写った写真を合成する「一緒に写る」や、外側ディスプレイを利用して背面カメラでセルフィーを撮影できる「背面カメラセルフィー」、外部カメラで子どもの注意を引く「こっちを見て」、本体を折った状態で撮影できる「テーブルトップカメラ」なども引き続き搭載している。
また、Pixel 10 Pro Foldで初めて搭載された機能が「インスタントビュー」だ。折りたたみディスプレイを活用して、右にカメラの撮影UI、左に直前に撮影した写真のプレビューを表示するというもの。即座に写真を確認しながら撮影できるため、撮影の失敗を減らせる機能と言えそうだ。
そして、Pixel 10シリーズの一員ということで、Pixel 10シリーズで追加された新しいカメラ機能も一部が利用可能となっている。それは、撮影しようとしているシーンをGoogleの生成AI「Gemini」が解析して最適な構図を提案する「カメラコーチ」や、集合写真撮影時に全員がベストの表情になるよう最大150フレームの写真から最適な表情を抽出して合成する「オートベストテイク」などだ。このあたりは便利に活用できるため、搭載されている点はありがたい。
そして、カメラアプリで撮影した写真すべてに「C2PA」情報を付加する機能も搭載。フォトアプリのAI編集機能を利用して編集を行なった場合には、「AIツールで編集」という項目が追加されるなど、AI編集を行なったことを簡単にチェックできる。写真データの信頼性を高める有用な機能で、こちらが搭載されている点も嬉しい。
SoCにTensor G5を採用、AI機能を強化
Pixel 10 Pro Foldでは、ほかのPixel 10シリーズ同様、Googleの独自プロセッサ「Tensor G5」を採用。TSMCの3nmプロセスで製造され、従来のTensor G4と比較してCPU性能が34%、TPUによるAI処理性能が60%向上。残念ながら試用機ではベンチマークテストは行なえなかったが、性能的にはほかのPixel 10シリーズと同等と考えていい。
このほか、Pixel 10 Pro Foldの基本スペックは以下にまとめた通りだ。なお試用機は内蔵ストレージ256GBモデルだった。
【表1】Pixel 10 Pro Foldの主な仕様 | |
---|---|
SoC | Google Tensor G5 |
メモリ | 16GB |
内蔵ストレージ | 256GB/512GB |
セキュリティチップ | Titan M2 |
OS | Android 16 |
更新 | 7年間のOS/セキュリティアップデート |
ディスプレイ | 外側ディスプレイ: 6.4型有機EL「Actua ディスプレイ」、1,080×2,424ドット、アスペクト比20:9、HDR、コントラスト比200万:1、輝度最大2,000cd/平方m、ピーク輝度3,000cd/平方m、リフレッシュレート60~120Hz 内側(折りたたみ)ディスプレイ: 8型有機EL「Super Actua ディスプレイ」、2,076×2,152ドット、アスペクト比1:1.04、HDR、コントラスト比200万:1、輝度最大1,800cd/平方m、ピーク輝度3,000cd/平方m、リフレッシュレート1~120Hz |
背面カメラ | 超広角: F値2.2、画角127度、1/3.4型1,050万画素センサー、マクロフォーカス 広角: F値1.7、画角82度、4,800万画素 1/2型Quad PDセンサー 5倍望遠: F値3.1、画角23度、1/3.2型1,080万画素 Dual PDセンサー、超解像ズーム最大20倍 |
前面カメラ1 | F値2.2、画角87度、1,000万画素Dual PDセンサー、顔認証対応 |
前面カメラ2 | F値2.2、画角87度、1,000万画素Dual PDセンサー、顔認証対応 |
モバイル通信 | 5G ミリ波: n257/258/260/261 5G Sub-6: n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/26/28/29/ 30/38/40/41/48/66/70/71/75/76/77/78/79 4G LTE: B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/ 20/21/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/48/66/71/75 3G: 1/2/4/5/6/8/19 GSM: 850/900/1,800/1,900MHz |
対応SIM | nanoSIM+eSIMまたはeSIM×2 |
無線LAN | Wi-Fi 7(IEEE 802.11be、2×2+2×2 MIMO) |
Bluetooth | Bluetooth 6.0 |
センサー | 近接センサー、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサー、磁力センサー、気圧センサー、ホールセンサー |
おサイフケータイ | 対応 |
防水防塵 | IP68 |
生体認証性能 | 電源ボタン一体型指紋センサー、顔認証 |
外部ポート | USB 3.2 Gen 2 USB Type-C |
バッテリ容量 | 標準5,015mAh(最小4,919mAh) |
ワイヤレス充電 | Qi2準拠 |
サイズ | たたんだ状態: 76.3×155.2×10.8mm 開いた状態: 150.4×155.2×5.2mm |
重量 | 258g |
カラー | Moonstone、Jade |
RAMは16GB、内蔵ストレージは256GBまたは512GB。microSDは引き続き非対応。
モバイル通信は5Gミリ波および5G Sub6に対応。Pixel 10シリーズでは唯一の5Gミリ波対応となる。対応SIMはnanoSIMとeSIMで、nanoSIM+eSIMまたはeSIM×2の利用が可能。
無線LANはWi-Fi 7対応、Bluetoothは6.0対応となる。
生体認証は、右側面の電源ボタン一体型指紋認証センサーと、外側ディスプレイ・内側ディスプレイ双方の前面カメラを利用した顔認証に対応。顔認証はアプリ認証や決済認証にも利用できる。このほか、おサイフケータイも、もちろん対応している。
システムUIに、最新の「Material 3 Expressive」を採用している点も、ほかのPixel 10シリーズ同様だ。
外部ポートは、下部側面にUSB 3.2 Gen 2 Type-Cを用意。nanoSIM対応のSIMカードトレイは上部側面に配置し、右側面には上から電源ボタン、ボリュームボタンを配置。
パッケージには本体以外に、USB 2.0 Type-Cケーブルとインストラクションカード、SIMピンが付属する。
Tensor G5採用により、AI機能が強化されており、ほかのPixel 10シリーズで新たに搭載されたAI機能も、もちろん利用できる。
先ほどカメラのところで紹介したカメラコーチやオートベストテイクはその一部。カメラ関連以外では、ユーザーが行なっている作業に合わせて関連情報などをAIが提案する「マジックサジェスト」、通話中に自分の声を外国語に、相手の声を自分の母国語にリアルタイム翻訳する「マイボイス通訳」、気になることを書き留める日記アプリ「Pixelジャーナル」などは、Pixel 10 Pro Foldでも利用可能だ。
できることはほかのPixel 10シリーズと同様なので、詳しくは以下の記事を見てもらいたい。
バッテリ容量を増量し駆動時間を延長、Qi2もサポート
先ほどの仕様をまとめた表にも書いているが、Pixel 10 Pro Foldでは内蔵バッテリ容量が5,015mAhへと増量された。これにより、公称で30時間以上の駆動を実現しているという。
この30時間の駆動は、どういう条件での数字なのかは分からない。そこで、バッテリにとって厳しい内側ディスプレイを利用して、簡単に駆動時間をチェックしてみた。
チェックは、YouTubeのフルHD動画をストリーミング再生することで行なった。折りたたみディスプレイの輝度を100%に設定、動画を拡大して全画面表示にし、SIM非装着、WI-Fi接続で検証したところ、約12時間5分の再生が可能だった。
さすがに折りたたみディスプレイ側で輝度100%と、かなり条件が厳しいこともあって30時間には遠く及ばなかったものの、それでも折りたたみディスプレイの最大輝度で動画を12時間以上連続再生できたのは、かなり優秀だ。おそらく、ディスプレイ輝度を下げ、大きな負荷が長時間かからない通常利用の範囲内であれば、24時間は全く問題なく利用できると考えてよく、かなり心強いと言える。
また、バッテリ容量が増えたことで充電時間も気になるが、Pixel 10 Pro Foldでは出力30W以上のUSB PD PPS電源を利用することで、約30分で最大50%の急速充電が可能。そして、ほかのPixel 10シリーズ同様に、Qi2準拠のワイヤレス充電もサポート。もちろんマグネットで充電器を装着する「マグネチック・パワー・プロファイル(MPP)」もサポートしており、Pixel 10シリーズ向け周辺機器の「Pixelsnap充電器」や、MagSafe対応充電器を利用した充電が可能。Qi2での最大出力は15Wとなるため、有線ほどの高速な充電は行なえないが、寝ている間の充電などには便利に活用できるだろう。
同時に、MPP対応の各種アクセサリも利用できる。Pixelsnapリングスタンドや、MagSafe対応の各種スタンドなども問題なく活用できるので、このあたりはありがたい。
ただし、MagSafe対応アクセサリの中には、Pixel 10 Pro Foldを開いた状態では、重量配分の関係で正しい位置で保持できないものもあるようだ。Pixelsnap充電器では開いた状態でも本体が傾くことなく保持できたが、筆者手持ちのMagSafe対応スタンドでは開いた状態で設置すると本体が徐々に傾いてしまう。このあたりは、ある程度しかたのない部分なので、MagSafe対応スタンドなどを利用する場合には、あらかじめ本体をしっかり保持できるか確認したほうが良さそうだ。
従来モデルからの進化点は少ないが、着実に機能強化されている
ここまで見てきたようにPixel 10 Pro Foldは、SoCが強化されたことで基本的な性能が高められていたり、最新AI機能の搭載、外側ディスプレイの大型化などの進化点はあるものの、全体的に見ると目を見張るような進化は少なく、どちらかというとマイナーバージョンアップに近いという印象を受ける。
また、カメラ機能がほとんど進化していないのはかなり残念。AIを駆使した新しい撮影機能は搭載されているが、背面カメラユニットが従来モデルと全く同じというのは、やはりいただけない。やはり、Pixel 10 Proシリーズの一員なのだから、背面カメラもほかのPixel 10 Proシリーズと同じ仕様にしてもらいたかった。
とはいえ、着実な機能強化を実現しているのも事実。最新AI機能が利用できるのはもちろん、本体の耐久性を高めたり、バッテリ駆動時間を伸ばすためにバッテリ容量を増やすといった点は、ユーザーにとってもありがたい強化点だ。特に、壊れやすいというイメージが付きまとう折りたたみスマートフォンを、安心して長期間利用できるよう、耐久性を高めた点は、大いに評価していいだろう。
販売価格が26万7,500円からということもあり、なかなか万人にお勧めしづらいというのは、従来モデルと同様だ。また、競合の折りたたみスマートフォンと比べても飛び抜けた魅力がないのも事実で、そこも不利と言えるだろう。
それでも、Pixelシリーズの折りたたみモデルということで、Androidベースの折りたたみスマートフォンのリファレンス的な位置付けの製品であり、Pixel 10 Pro Foldだからこそできる特徴的なアプリの使い方などを体験すれば、イメージも変わるかもしれない。そのため、まずは量販店で実機を手に取ってじっくり体験したうえで、購入するかどうかを決めることをお勧めする。