Hothotレビュー

速さに限界はない。本日発売のCore i9-14900Kの性能を確かめた

 10月17日より、Intelの新世代デスクトップ向けCPU「第14世代インテル Core プロセッサー(以下、第14世代Core)」が発売される。

 発売に先立って、第14世代Coreの最上位モデルである「Core i9-14900K」とミドルレンジの「Core i5-14600K」をテストする機会が得られたので、ベンチマークテストで新世代CPUのパフォーマンスを確認してみた。

第14世代CoreのKモデル2製品をテスト

 10月17日に発売される第14世代Coreは、オーバークロック機能をアンロックしたKモデルと、その内蔵GPUを省略したFモデルの全6製品。いずれも第13世代Coreと同じ「Raptor Lake」をベースとしたCPUで、Intel 7プロセスで製造されている。対応CPUソケットは第13世代Coreと同じLGA 1700で、対応BIOSを適用することで既存のLGA1700対応マザーボードで利用できる。

 Core i9-14900Kは第14世代Coreの最上位に位置する製品で、8基のPコアと16基のEコアを備えた24コア/32スレッドCPU。内蔵GPUはUHD Graphics 770で、電力指標はPBPが125W、MTPは253W。

 Core i5-14600Kは第14世代Coreのミドルレンジ製品で、6基のPコアと8基のEコアを備えた14コア/20スレッドCPU。内蔵GPUはUHD Graphics 770で、電力指標はPBPが125W、MTPは181W。

【表1】Core i9-14900K/Core i5-14600Kの主な仕様
モデルナンバーCore i9-14900KCore i5-14600KCore i9-13900K
CPUアーキテクチャRaptor Cove + GracemontRaptor Cove + GracemontRaptor Cove + Gracemont
製造プロセスIntel 7Intel 7Intel 7
Pコア数868
Eコア数16816
CPUスレッド数322032
L2キャッシュ32MB20MB32MB
L3キャッシュ36MB24MB36MB
ベースクロックP=3.2GHz、E=2.4GHzP=3.5GHz、E=2.6GHzP=3.0GHz、E=2.2GHz
Turbo Boost 2.0P=5.6GHz、E=4.4GHzP=5.3GHz、E=4.0GHzP=5.4GHz、E=4.3GHz
Turbo Boost Max 3.0P=5.8GHzP=5.7GHz
Thermal Velocity BoostP=6.0GHzP=5.8GHz
CPU内蔵GPU (iGPU)UHD Graphics 770UHD Graphics 770UHD Graphics 770
GPU実行ユニット32基32基32基
GPU最大クロック1.65GHz1.55GHz1.65GHz
対応メモリDDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch)DDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch)DDR5-5600(2ch)、DDR4-3200(2ch)
PCI ExpressPCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4PCIe 5.0 x16、PCIe 4.0 x4
PBP125W125W125W
MTP253W181W253W
TjMax100℃100℃100℃
対応ソケットLGA1700LGA1700LGA1700
24コア/32スレッドCPU「Core i9-14900K」
Core i9-14900KのCPU-Z実行画面
14コア/20スレッドCPU「Core i5-14600K」
Core i5-14600KのCPU-Z実行画面

テスト機材と比較製品

 第14世代Coreと比較するために用意したCPUは、第13世代Coreの24コア/32スレッドCPU「Core i9-13900K」と、AMDの16コア/32スレッドCPU「Ryzen 9 7950X3D」。

 Intel製CPUの電力/電流リミットについては、Extreme Power Delivery Profileに対応しているCore i9-14900KとCore i9-13900KについてはPL1=PL2=253W/IccMax=400A、Core i5-14600Kはレビュアーズガイドの設定に基づいてPL1=PL2=181W/IccMax=200Aに設定している。また、メモリについてはJEDEC準拠のスタンダードメモリを各CPUの最大対応クロックに調整している。

 そのほかの機材や設定については以下の表のとおり。

【表2】テスト機材
CPUCore i9-14900KCore i5-14600KCore i9-13900KRyzen 9 7950X3D
コア数/スレッド数8P+16E/32T6P+8E/20T8P+16E/32T16C/32T
L2キャッシュ32MB20MB32MB16MB
L3キャッシュ36MB24MB36MB128MB (96+32MB)
CPU電力リミットPL1=PL2=253WPL1=PL2=181WPL1=PL2=253WPPT=162W
CPU電流リミットIccMAX=400AIccMAX=200AIccMAX=400ATDC=120A、EDC=180A
CPU温度リミット100℃100℃100℃89℃
マザーボードGIGABYTE Z790 AORUS ELITE AXASUS TUF GAMING X670E-PLUS
BIOSF91654
メモリDDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-89、1.1V)DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-83、1.1V)
CPUクーラーADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
ビデオカードGeForce RTX 4090 Founders Edition (24GB)
GPUドライバGRD 531.41 (31.0.15.3141)、Resizable BAR=有効
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro 22H2 (build 22621.2428、VBS有効)
電源プランバランス
計測HWiNFO64 Pro v7.42、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温約26℃
第13世代Coreの24コア/32スレッドCPU「Core i9-13900K」
Zen 4に3D V-Cacheを搭載した16コア/32スレッドCPU「Ryzen 9 7950X3D」

ベンチマーク結果

 今回実施したベンチマークテストは、「Cinebench 2024」、「Cinebench R23」、「3DMark」、「Blender Benchmark」、「やねうら王」、「Adobe Photoshop Camera Raw」、「DaVinci Resolve 18.6」、「HandBrake」、「TMPGEnc Video Mastering Works 7」、「PCMark 10」、「SiSoftware Sandra」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「Forza Horizon 5」、「オーバーウォッチ 2」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「サイバーパンク2077」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「Microsoft Flight Simulator」。

Cinebench 2024

 Cinebench 2024では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multi Core」と、シングルスレッド性能を計測する「Single Core」を実行した。

 Multi Coreでは、Core i9-14900Kが「2,088pts」で全体ベストのスコアを記録。Core i5-14600Kを約60%、Core i9-13900Kを約1%、Ryzen 9 7950X3Dを約5%上回った。

 Single Coreでも全体ベストは「133pts」を記録したCore i9-14900Kで、Core i5-14600Kを約12%、Core i9-13900Kを約2%、Ryzen 9 7950X3Dを約11%上回った。

【グラフ01】Cinebench 2024 (v2024.0.1)「Multi Core」
【グラフ02】Cinebench 2024 (v2024.0.1)「Single Core」

Cinebench R23

 Cinebench R23では、CPUのマルチスレッド性能を計測する「Multi Core」と、シングルスレッド性能を計測する「Single Core」を実行した。

 Multi CoreではCore i9-14900Kが記録した「37,701pts」が全体ベストで、Core i5-14600Kを約61%、Core i9-13900Kを約2%、Ryzen 9 7950X3Dを約5%上回った。

 Single CoreではCore i9-14900Kが記録した「2,296pts」が全体ベストで、Core i5-14600Kを約13%、Core i9-13900Kを約4%、Ryzen 9 7950X3Dを約12%上回った。

【グラフ03】Cinebench R23 (R23.200)「Multi Core」
【グラフ04】Cinebench R23 (R23.200)「Single Core」

3DMark「CPU Profile」

 3DMarkのCPUベンチマーク「CPU Profile」は、CPU性能をスレッド数毎に計測するベンチマークテスト。

 Intel CPUのPコアに相当する高性能CPUコアを16基備えるRyzen 9 7950X3Dが16スレッドテストで最高スコアを記録しているが、そのほかの条件ではCore i9-14900Kが最高スコアを記録しており、Core i5-14600Kを3~55%、Core i9-13900Kを2~3%、Ryzen 9 7950X3Dを9~13%上回った。

【グラフ05】3DMark v2.27.8177「CPU Profile」(1/2)
【グラフ06】3DMark v2.27.8177「CPU Profile」(2/2)

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、Blender v3.6.0でCPUベンチマークテストを実行した。

 全体ベストを記録したのはRyzen 9 7950X3Dで、Core i9-14900KはRyzen 9 7950X3Dを3~6%下回った。Core i9-14900KのスコアをCore i9-13900Kと比較するとmonsterとJunkshopほぼ同等で、classroomで約2%、Core i9-14900Kが上回っている。

【グラフ07】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.6.0)

やねうら王

 将棋ソフトの「やねうら王」では、ベンチマーク機能を利用してマルチスレッドテストとシングルスレッドテストを実行した。

 マルチスレッドテストではRyzen 9 7950X3Dが全体ベストを記録しており、Core i9-14900KはRyzen 9 7950X3Dを約4%下回る2番手だった。Core i9-14900KはCore i5-14600Kを約61%、Core i9-13900Kを約1%上回った。

 シングルスレッドテストでも全体ベストはRyzen 9 7950X3Dで、Core i9-14900KをはじめとするIntel製CPU3製品は1,793~1,797kNode/sで横並びとなっており、Ryzen 9 7950X3Dを約6%下回った。

【グラフ08】やねうら王 v7.61「マルチスレッド (bench 128 nT 19)」
【グラフ09】やねうら王 v7.61「シングルスレッド (bench 128 1 19)」

Adobe Photoshop Camera Raw

 Adobe Photoshop Camera Rawでは、デジタルカメラで撮影した2,400万画素のRAWファイル100枚をJPEGファイルに変換するのに掛かった時間を測定し、その変換速度を比較した。

 最速はCore i9-13900Kの7.08fpsで、Core i9-14900Kはわずかに遅い6.98fpsで2番手だった。以下、Ryzen 9 7950X3Dの6.48fps、Core i5-14600Kの5.87fpsと続いている。

【グラフ10】Adobe Photoshop Camera Raw (v16.0.0.1677)「RAW→JPEG変換」

DaVinci Resolve 18.6

 DaVinci Resolve 18では、カメラで撮影した2160p60(4K60p)動画に字幕を追加したものを、YouTube向けプリセットでレンダリングした際の処理速度を比較した。

 1080pへのレンダリングではCore i9-14900KとCore i9-13900Kが横並びとなっているが、2160pへのレンダリングではCore i9-14900KがCore i9-13900Kを約5%上回った。また、Core i9-14900KはCore i5-14600Kを19~26%、Ryzen 9 7950X3Dを11~17%上回った。

【グラフ11】DaVinci Resolve 18.6 (v18.6.2 Build 2)

HandBrake

 オープンソースの動画エンコードソフト「HandBrake」では、フルHD(1080p)と4K(2160p)の動画ソースをCreatorプリセットでエンコードして、その処理速度を比較した。

 2つの条件ともCore i9-14900Kが全体ベストを記録しており、Core i5-14600Kを49~50%、Core i9-13900Kを1~3%、Ryzen 9 7950X3Dを1~9%上回った。

【グラフ12】HandBrake v1.6.1

TMPGEnc Video Mastering Works 7

 動画エンコードソフトのTMPGEnc Video Mastering Works 7では、フルHD(1080p)と4K(2160p)のソース動画をH.264形式とH.265形式に変換した際のエンコード速度を計測した。

 H.264形式へのエンコードでは、1080p設定でCore i9-14900KがCore i9-13900Kと横並びで最速を記録したが、2160p設定ではRyzen 9 7950X3Dを約2%下回って全体2番手となっている。

 H.265形式へのエンコードでは、AVX-512をサポートするRyzen 9 7950X3Dが全体ベストとなっており、Core i9-14900Kはそれを6~9%下回る全体2番手だった。ほかのCPUとの比較では、Core i9-14900KはCore i5-14600Kを17~47%、Core i9-13900Kを1~2%上回った。

【グラフ13】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.28.31)「H.264形式へのエンコード」
【グラフ14】TMPGEnc Video Mastering Works 7 (v7.0.28.31)「H.265形式へのエンコード」

PCMark 10

 PCMark 10では、もっともテスト項目の多い「PCMark 10 Extended」でスコアを取得した。

 総合スコアでベストを記録したのはRyzen 9 7950X3Dで、Core i9-14900Kはそれを約1%下回る2番手だった。ほかのCPUとの比較では、Core i9-14900KはCore i5-14600Kを約3%、Core i9-13900Kを約2%上回った。

【グラフ15】PCMark 10 Extended (v2.1.2636)

SiSoftware Sandra 「CPUベンチマーク」

 SiSoftware SandraのCPUテストから、「Arithmetic」、「Multi-Media」、「Image Processing」の結果を紹介する。

 CPUの演算性能を測定するArithmeticにおいて、Core i9-14900KはDhrystoneのLongで約4%、WhetstoneのSingle-Floatで約2%、それぞれCore i9-13900Kを上回ったが、残りの2項目では逆にやや低いスコアとなっている。また、Ryzen 9 7950X3D相手にはWhetstoneのDouble-Floatで約23%下回っているものの、ほかの項目では12~14%上回った。

 マルチメディア性能を測定するMulti-Mediaでは、AVX-512をサポートするRyzen 9 7950X3Dが頭一つ抜けたスコアでトップに立っており、Core i9-14900Kはそれを20~50%下回った。Core i9-14900KはCore i9-13900Kとほぼ同等のスコアとなっており、Core i5-14600Kを54~65%上回った。

 画像処理性能を計測するImage Processingでは、Core i9-14900KはCore i9-13900Kと同程度のスコアとなっている。Ryzne 9 7950X3Dとの比較ではテスト項目によって優劣が分かれており、Noise Reductionでは2倍以上のスコアをつけられている一方、Oil PaintingやDiffusionでは逆に20~30%高いスコアを記録している。

【グラフ16】SiSoftware Sandra v31.133 「Processor Arithmetic (プロセッサの性能)」
【グラフ17】SiSoftware Sandra v31.133 「Processor Multi-Media (マルチメディア処理)」(1/2)
【グラフ18】SiSoftware Sandra v31.133 「Processor Multi-Media (マルチメディア処理)」(2/2)
【グラフ19】SiSoftware Sandra v31.133 「Processor Image Processing (画像処理)」(1/2)
【グラフ20】SiSoftware Sandra v31.133 「Processor Image Processing (画像処理)」(2/2)

SiSoftware Sandra「メモリベンチマーク」

 SiSoftware Sandraで、メインメモリの帯域幅とレイテンシを計測した結果が以下のグラフだ。

 Core i9-14900Kのメモリ帯域幅は68.75GB/sで、これはCore i9-13900Kをわずかに上回る全体ベストな結果で、DDR5-5200メモリを使用するRyzen 9 7950X3Dを約40%上回った。同じDDR5-5600メモリを使用するCore i5-14600Kは65.70GB/sでCore i9-14900Kを4%ほど下回っているが、これはメモリにアクセスするCPUコアの数が少ないことも影響してのものだろう。

 メモリレイテンシに関しては、Ryzen 9 7950X3Dの68.5nsが最速で、Intel製CPU3製品は90ns前後で横並びとなっている。

【グラフ21】SiSoftware Sandra v31.133 「Memory Bandwidth (メモリ帯域幅)」
【グラフ22】SiSoftware Sandra v31.133 「Cache & Memory Latency (メモリレイテンシ)」

SiSoftware Sandra「キャッシュベンチマーク」

 CPUが内蔵するキャッシュのレイテンシや帯域幅を測定した結果が以下のグラフだ。

 Core i9-14900KとCore i9-13900Kの結果はレイテンシも帯域幅もグラフ上で重なる部分が多く、大差のない結果となっている。第14世代Coreと第13世代CoreのKモデルは同じアーキテクチャを採用しており、コア当たりのキャッシュ容量も変更されていないので、動作クロックや測定誤差以上の差がつかないのが当然ではある。

【グラフ23】SiSoftware Sandra v31.133 「Cache & Memory Latency (レイテンシ)」
【グラフ24】SiSoftware Sandra v31.133 「Cache & Memory Latency (クロック)」
【グラフ25】SiSoftware Sandra v31.133 「Cache Bandwidth」

3DMark

 3DMarkでは、「Speed Way」、「Port Royal」、「Solar Bay」、「Time Spy」、「Fire Strike」、「Wild Life」を実行した。

 GPU負荷が高くテスト自体も新しいSpeed WayやPort Royalでは各CPUのスコアが横並びとなっている。Solar Bayは最新のテストだがGPU負荷が軽いためCPU性能の差がスコアに反映されており、Core i9-14900KがCore i5-14600Kを約2%、Core i9-13900Kを約1%、Ryzen 9 7950X3Dを約6%上回って全体ベストを記録している。

 Time SpyやFire Strikeは、テスト自体が古くメニーコアCPUでスコアが低下することがある。Time SpyでCore i9-14900Kは全体ベストを記録しており、Core i5-14600Kを約2%、Core i9-13900Kを約1%、Ryzen 9 7950X3Dを約15%上回った。一方、Fire StrikeではRyzen 9 7950X3Dが全体ベストを記録し、Core i5-14600Kが2番手となっており、Core i9-14900Kは3番手となっている。

 Wild LifeではCore i9-14900Kが全体ベストを記録しており、Core i5-14600Kを2~8%、Core i9-13900Kを0.2~5%、Ryzen 9 7950X3Dを5~16%上回った。

【グラフ26】3DMark v2.27.8177「Speed Way」
【グラフ27】3DMark v2.27.8177「Port Royal」
【グラフ28】3DMark v2.27.8177「Solar Bay」
【グラフ29】3DMark v2.27.8177「Time Spy」
【グラフ30】3DMark v2.27.8177「Fire Strike」
【グラフ31】3DMark v2.27.8177「Wild Life/Wild Life Extreme」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でテストを実行した。

 ここではRyzen 9 7950X3Dが真価を発揮して全体ベストを記録。Core i9-14900KはRyzen 9 7950X3Dを7~12%下回り、Core i5-14600Kを11~21%、Core i9-13900Kを1~2%上回った。

【グラフ32】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ33】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、描画品質を「高品質」に設定して、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でテストを実行した。

 Core i9-14900KはCore i9-13900Kとほぼ同等のスコアを記録。Ryzen 9 7950X3DをWQHDでわずかに下回ったが、フルHDで約1%、4Kでは約2%上回っている。また、下位モデルのCore i5-14600Kを1~5%上回った。

【グラフ34】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

BLUE PROTOCOL ベンチマーク

 BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、描画品質を「最高画質」に設定して、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でテストを実行した。

 4KではGPUのボトルネックによって各CPUのスコアが横並びとなっているが、WQHD以下ではRyzen 9 7950X3Dが全体ベストを記録しており、それを5~10%下回ったCore i9-14900Kが全体2番手となっている。

 WQHD以下でのスコアについては、Core i9-14900KがCore i5-14600Kを12~21%、Core i9-13900Kを約2%上回った。

【グラフ35】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「スコア」
【グラフ36】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「平均フレームレート」

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、描画品質を「エクストリーム」に設定したフルHD/WQHD/4Kの3画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「中」に引き下げた高fps設定で、ゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 Core i9-14900KはCore i9-13900Kに近い結果を記録しており、描画品質「エクストリーム」設定のWQHD以下ではRyzen 9 7950X3Dを2~4%下回り、Core i5-14600Kを2~4%上回った。

 高fps設定でのCore i9-14900KはCore i9-13900Kと同じフレームレートを記録。Ryzen 9 7950X3Dを約11%下回り、Core i5-14600Kを約13%上回った。

【グラフ37】Forza Horizon 5 (v1.619.349.0.HV)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、描画品質を「エピック」に設定したフルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 4K解像度になるとGPUのボトルネックでフレームレートがほぼ横並びとなっているが、WQHDでは多少CPUの性能が反映されており、フルHDではそれなりの差がついている。

 フルHDの結果に注目してみると、Core i9-14900Kは全体ベストのRyzen 9 7950X3Dを約4%下回る一方、Core i5-14600Kを約21%、Core i9-13900Kを約2%上回った。

【グラフ38】オーバーウォッチ 2 (v2.7.0.0.117535)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックプリセット「最高」をベースにNaniteやLumenを無効化した設定で、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度と、アンチエイリアスを「TAA」と「TSR最高」に設定した場合のフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIはDirectX 12。

 アンチエイリアス「TAA」設定では、Core i9-14900Kが全ての解像度で最高の平均フレームレートを記録しているが、Core i9-13900KやRyzen 9 7950X3Dとの差は1%前後という僅差となっており、Core i5-14600Kに対しても2~5%上回った程度となっている。

 アンチエイリアス「TSR最高」において、Core i9-14900KはWQHD以下でCore i5-14600Kに4~6%上回ったが、そのほかのCPUとの差はやはり僅差となっている。これは、上位CPUがGeForce RTX 4090のGPU性能をしっかり引き出せた結果であるとも言える。

【グラフ39】フォートナイト (v26.30)「アンチエイリアス=TAA」
【グラフ40】フォートナイト (v26.30)「アンチエイリアス=TSR最高」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画品質を可能な限り高く設定して、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 GPU性能的に余力のあるフルHDとWQHD解像度の結果が、フレームレート上限に張り付くという結果になっていることもあり、このテストにおいては各CPUの性能差が結果にほとんど反映されなかった。

【グラフ41】エーペックスレジェンズ (v3.0.47.47)

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックプリセットを「レイトレーシング:ウルトラ」に設定して、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でベンチマークモードを実行した。

 CPU性能がフレームレートに反映されているWQHD以下の解像度において、Core i9-14900KはRyzen 9 7950X3Dを11~12%下回り、Core i5-14600Kを7~8%、Core i9-13900Kを1~2%上回った。

【グラフ42】サイバーパンク2077 (v2.01)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、描画品質を「高」にして、フルHD/WQHD/4Kの3画面解像度でフレームレートを計測した。

 Core i9-13900Kと同程度のフレームレートを記録したCore i9-14900Kは、全体ベストを記録したRyzen 9 7950X3Dを19~23%下回り、Core i5-14600Kを10~16%上回った。

【グラフ43】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v16.0.1.1)

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、描画設定を「ウルトラ」にしたフルHD/WQHD/4Kの3画面解像度と、フルHD解像度で描画品質を「ミドル」に引き下げた高fps設定でフレームレートを測定した。グラフィックスAPIは「DirectX 12」で、羽田空港から関西国際空港へのルートをエアバスA320neoでAIに飛行させ、離陸から3分間の平均フレームレートを計測している。

 Core i9-14900Kは、全体ベストを記録したRyzen 9 7950X3Dを19~23%下回り、Core i5-14600Kを10~16%、Core i9-13900Kを1~3%上回った。

【グラフ44】Microsoft Flight Simulator (v1.31.22.0)

CPUベンチマーク実行中のシステム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、CPUベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 アイドル時消費電力がもっとも低かったのはCore i5-14600Kの64.2Wで、以下64.4WのCore i9-13900K、65.3WのCore i9-14900K、84.3WのRyzen 9 7950X3Dと続いている。

 ベンチマーク実行中の平均消費電力は、395.4~471.0Wを記録したCore i9-14900KがCore i9-13900Kをやや上回って比較製品中最大だった。Core i5-14600Kは233.9~293.1Wを記録しており、比較製品中もっとも消費電力が低いRyzen 9 7950X3Dよりわずかに高い程度となっている。

【グラフ45】CPUベンチマーク実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)

 CPUベンチマークのスコアを平均消費電力で割ったワットパフォーマンスを比較したグラフと、Core i9-13900Kを基準に指数化したグラフを用意した。なお、PhotoshopとTMPGEnc Video Mastering Works 7のワットパフォーマンスについては数値が小さくなりすぎるため1,000倍にしてグラフ化している。

 ワットパフォーマンスに関しては、Core i9-13900Kを39~90%も上回るRyzen 9 7950X3Dが傑出しており、Core i5-14600Kがそれに続いているが大きな差がついている。

 Core i9-14900KのワットパフォーマンスはCore i9-13900Kと同等と言える結果であり、第13世代Coreと第14世代Coreの間で電力効率が大きく向上するような改善がないことが確認できる。

【グラフ46】CPUベンチマークのワットパフォーマンス (スコア/平均消費電力)
【グラフ47】CPUベンチマークのワットパフォーマンス (Ryzen 7 7700X比)

ゲームベンチマーク実行中のシステム消費電力と電力効率

 ワットチェッカーを使って計測した、ゲームベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 Core i9-14900Kの平均消費電力は345.6~605.4Wで、全てのテストで2番手のCore i9-13900Kを上回る比較製品中最大の消費電力を記録した。Core i5-14600Kの平均消費電力は265.0~557.5Wで、FINAL FANTASY XV以外ではRyzen 9 7950X3Dを下回る比較製品中最小の消費電力だった。

【グラフ48】ゲームベンチマーク実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 ゲームベンチマーク実行中のワットパフォーマンスは、CPUベンチマークほど大きな差はついておらず、Intel CPUに関しては横並びに近い結果となっている。

 Ryzen 9 7950X3Dについても、スコアで圧倒したファイナルファンタジーXIVなどではCore i9-13900Kを13~21%程度上回っているが、システム電力全体に占めるGPU消費電力の割合が大きいゲームベンチマークではCPU自体の電力効率の差はあまり結果に反映されないことが分かる。

【グラフ49】ゲームベンチマークのワットパフォーマンス (スコア/平均消費電力)
【グラフ50】ゲームベンチマークのワットパフォーマンス (Core i9-13900K比)

CPU温度とモニタリングデータ(Cinebench 2024)

  モニタリングソフトのHWiNFO64 Proを使って取得した、Cinebench R23のMulti Coreテスト実行中のモニタリングデータをまとめてみた。

 ベンチマーク実行中のCore i9-14900Kは、CPU温度がTjMax未満となる最大92℃(平均83.8℃)である一方、消費電力はリミットの253Wに対して平均252.7W(最大290.0W)であることから、テスト中は電力リミットが作動していることが伺える。結果、CPUの平均クロックはPコア=5,334MHz、Eコア=4,296MHzとなっている。

 Core i5-14600Kは、CPU温度が最大71℃(平均65.2℃)、消費電力も平均137.4W(最大162.6W)といずれもリミットを下回っているものの、推移グラフを見ると動作クロックの変動がみられる。どうやら電流リミット(IccMax)の制限を受けているようで、CPUの平均クロックはPコア=5,155MHz、Eコア=4,000MHzとなっていた。

【グラフ51】CPU温度 (平均/最大)│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ52】消費電力 (平均/最大)│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ53】動作クロック (平均/最大)│Cinebench 2024「Multi Core」
【グラフ54】Core i9-14900K のモニタリングデータ
【グラフ55】Core i5-14600K のモニタリングデータ
【グラフ56】Core i9-13900K のモニタリングデータ
【グラフ57】Ryzen 9 7950X3D のモニタリングデータ

CPU温度とモニタリングデータ(ファイナルファンタジーXIVベンチマーク)

 Cinebench 2024と同じように、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークを「フルHD/最高品質」設定で実行した際のモニタリングデータをまとめてみた。

 このテストを実行中の各CPUは、ほぼほぼ温度/電力リミットの影響を受けないため最大限の動作クロックで稼働しており、Core i9-14900Kの平均クロックはPコア=5,685MHz、Eコア=4,400MHzで、Core i5-14600KはPコア=5,298MHz、Eコア=4,000MHzだった。

 Core i9-14900Kの平均CPUクロックは、Core i9-13900KよりPコアで約200MHz、Eコアも約100MHzほど高いクロックとなっている。電力リミット開放状態で、しっかり冷やしきればこのクロック差分の性能差をCPUベンチマークでも得ることができるだろう。

【グラフ58】CPU温度 (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ59】消費電力 (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ60】動作クロック (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ61】GPU使用率 (平均/最大)│FF14ベンチマーク「フルHD/1080p、最高品質」
【グラフ62】Core i9-14900K のモニタリングデータ
【グラフ63】Core i5-14600K のモニタリングデータ
【グラフ64】Core i9-13900K のモニタリングデータ
【グラフ65】Ryzen 9 7950X3D のモニタリングデータ

内蔵GPUテスト

 最後にCPUに内蔵されているGPUコアのパフォーマンスを確認する。テスト環境は以下の通り。

【表3】内蔵GPUテスト機材
CPUCore i9-14900KCore i5-14600KCore i9-13900KRyzen 9 7950X3D
コア数/スレッド数8P+16E/32T6P+8E/20T8P+16E/32T16C/32T
L2キャッシュ32MB20MB32MB16MB
L3キャッシュ36MB24MB36MB128MB (96+32MB)
CPU電力リミットPL1=PL2=253WPL1=PL2=181WPL1=PL2=253WPPT=162W
CPU電流リミットIccMAX=400AIccMAX=200AIccMAX=400ATDC=120A、EDC=180A
CPU温度リミット100℃100℃100℃89℃
内蔵GPUUHD Graphics 770UHD Graphics 770UHD Graphics 770Radeon Graphics
GPUクロック1,650MHz1,550MHz1,650MHz2,200MHz
GPUドライバ31.0.101.4887Adrenaline 23.10.1 (31.0.22017.1011)
マザーボードGIGABYTE Z790 AORUS ELITE AXASUS TUF GAMING X670E-PLUS
BIOSF91654
メモリDDR5-5600 16GB×2 (2ch、46-45-45-89、1.1V)DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-83、1.1V)
CPUクーラーADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
システム用SSDCORSAIR MP600 1TB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSDCFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OSWindows 11 Pro 22H2 (build 22621.2428、VBS有効)
電源プランバランス
室温約26℃

【お詫びと訂正】初出時、表3の一部に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

 CPUコア同様、第14世代Coreの内蔵GPUも第13世代と同じアーキテクチャを採用しており、Core i9-14900KとCore i9-13900Kの内蔵GPUである「UHD Graphics 770」は動作クロックまで同じなので、パフォーマンスに特筆すべき差はついていない。

 GPU自体は同じUHD Graphics 770を備えるCore i5-14600Kのスコアが低めなのは、GPUクロックがほかの2製品より100MHz低いことが影響しているものと考えられる。

【グラフ66】3DMark v2.27.8177「Time Spy」
【グラフ67】3DMark v2.27.8177「Fire Strike」
【グラフ68】3DMark v2.27.8177「Wild Life/Wild Life Extreme」
【グラフ69】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」
【グラフ70】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」
【グラフ71】フォートナイト (v26.30)
【グラフ72】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v16.0.1.1)

アーキテクチャの流用から受ける印象通りのデスクトップ向け第14世代Core

 Core i9-14900KとCore i5-14600Kは、第13世代Coreと同じアーキテクチャを採用していることに加え、PコアやEコアの構成も第13世代から変更されていない。そうなると期待できるのはCPUクロックが上昇した分の性能向上であり、今回のCore i9-14900KとCore i9-13900Kの比較では概ねその通りの結果が得られた。

 第14世代Coreと第13世代Coreはしばらく併売されることになると思われるが、KモデルやKFモデルに関しては、世代の違いで考慮すべきなのはマザーボードに対応BIOSが提供されているか否かくらいで、あとはCPUクロックやCPUコアの構成、そして販売価格からどれを選ぶのか検討すれば良いだろう。

第14世代Coreプロセッサーをライブでレビュー!Core i9-14900Kの6GHz動作をいち早く目撃せよ【10月17日(火)22時配信開始】

第14世代Coreプロセッサーをライブでレビューします。特長、スペック、ラインナップの解説、ベンチマーク検証、実動デモを交えて詳しくお届け。解説はKTUこと加藤勝明氏、MCは改造バカこと高橋敏也氏です。(配信終了後は即アーカイブを視聴可能になります)