ご心配おかけしました

otomojamjam2010-12-22

twitter等でもうご存知の方も多いと思いますが、先週から患っていた急性難聴の症状、この数日の治療と完全静養の甲斐あってほぼ回復、24日から無理をしない程度に少しづつ仕事に復帰します。
コンサートをキャンセルしてしまった関係者各位のみなさま、楽しみにしていたみなさま、本当にご心配おかけしました。



以下、多少の経緯を。

少々思い上がった言い方になるかもですが、今年は与えられたいくつもの仕事をかなりのパワーでやりきってるぞ・・・という強い実感があった。

いくつかの映画やテレビのサントラ、カヒミさんのサポート等々、何回かの海外ツアー。そして何よりも大きかったのは、自身のリーダー作品としては久々になるONJT+の2枚と、1ヶ月水戸に滞在して作り上げた今現在もやってる水戸芸術館のアンサンブルズ展、そして先日の武満徹のトリビュート公演。これらの仕事は、自分でもこれまでやってきた自分の代表作と言ってもいいというくらい力も入れてきたし、それだけの結果も残してる・・・そう強い自信を持ってた。


50を超えて気力も自分のスキルも充実してきてる、なんて思いながら、睡眠不足も、多少の疲れもほとんど感じることもなく、とにかく今やれることをやるぞ・・・そんな風に思った背景には年齢や体力を考えれば、この状態が続くのはあと10年もないかもしれない・・・とにかく今やれることは全部やるぞ、そうどこかで思っていたのかもしれません。
そう思っていたら、いきなり、ある朝、目がさめたら片耳の聴力が落ちていた。検査したら片耳の低音域のみ-40db。
この数年、たしかに健康状態はいいとはいえなかった。頚椎を悪くして右手が痺れるようになり、腰痛を繰り返し、胆石の手術をし、さらには頻発する偏頭痛に苦しみ、そのたびに体のことを考えねばと思っていたけど・・・でもまあ、胆石は手術で治ったし、頚椎もカイロでなおし、偏頭痛も鍼で治り・・・そんな感じでどっかで油断してたんだと思う。睡眠時間も考えずに、とにかく体力の続く限り仕事し続けていた。自分でもどうかしてると思うくらいの勢いで。おまけにコンサート毎に打ち上げもしまくった。これがたぶんこの数年、もしかしたら、この十数年の自分自身だったと思う。


でも、耳がおかしくなってはじめて、事態の深刻さに気づいた。耳がおかしくなる・・・というのがここまで怖いこととは思わなかった。今までやってきた音楽を判断する基準が一気に崩れることの恐怖とでも言ったらいいだろうか。-40dbは、病としては、さほど酷いものではなく軽度と言える症状かもしれないけど、やはり音楽をやる身にとっては深刻だ。


最初にかかった医者の診断が突発性難聴、すぐにコンサートをキャンセルしなさいと言われた。その後近くの病院であらためて診てもらうと、どうやら急性低音障害型感音難聴の症状に近いらしい。いずれにしろ早期の治療の甲斐あって、3日目には正常時の聴力にかなり近いところまで戻っている。今回はtwitterで呟いたら、多くの方から「すぐに病院に行かないと大変なことになりますよ、発症から2〜3日以内に治療するかしないかで、症状がぜんぜん違う・・・」といった反応がすぐに来て、これがなければ、様子を見ながらコンサートを続けたりして、こんなに早期の治療はしなかったかもしれません。つぶやいてくれた皆さん、本当に感謝してます。おかげで聴力を落としてしまう最悪の結果にならずにすみそうです。
ただもしこれが急性低音障害型感音難聴であれば、繰り返すこともあるようで、安心は出来ないそうです。やはりこの先仕事のペースをもう少し考えてやりなさいという、ギリギリの神様からの忠告なのかもしれません。


今回は18、19日の水戸芸術館でのイベント、20日のせんだいメディアテークでのイベントをキャンセルさせてもらいました。楽しみにしていたみなさん、行けなくて本当にごめんなさい。来年なんらかの形で埋め合わせします。ほかにもいくつかの打ち合わせもキャンセルさせてもらいました。これも来年埋め合わせしますのでご勘弁ください。


お医者さんとも相談し、12月24日の新宿PITINN ONJT+のレコ発ライブから、ゆっくり復帰します。それ以降のライブやイベントも様子をみつつ現時点では予定どおりやる予定です。
どうかよろしくお願いします。



そして何よりみなさんに見てほしい、聴いてほしいのは、最初にも書きましたが、水戸芸術館で現在展示されている「アンサンブルズ2010共振」展です。
多様な人たちと協働で何かをつくっていくとは・・・というわたしにとって最も重要なテーマを元に作り上げた現時点での集大成ともいえる作品です。
おそらくはこれだけの規模で、あれだけのメンバー達とこんな大きな作品を作る機会は、わたしが生きている間には本当にもうないかもしれません。展示期間は1月16日までですが12月27日から1月3日それと月曜は休館日だったりするんで、実質はあと半月くらいしか展示期間ありません。ぜひぜひ現場に行って体験してみてください。


出来ることなら、ゆったりとした時間の中でたっぷり半日、あなたの耳と体で体験してほしい音楽作品です。例によって展示期間中、一時としておなじ瞬間はありません。それどころか全体を把握することすら不可能ですが、逆に言えば、見る人、聴く人によって、相当な幅でさまざまな解釈が可能ということです。外光も取り入れてますので時間帯や天気によっても印象はかなり変わるはずで、とりわけ日没にかけての3室は劇的な変化をします。
なるべく人の少ない時間を選んでゆっくり静かな環境で見ていただければと思ってます。
http://www.artmetoo.jp/ensembles/index.html
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd0/index.php?id=14
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd1/index.php?id=13






(写真はすべて水戸芸術館の「アンサンブルズ2010共振」から)