「女性天皇」と「女系天皇」の違い

 「なんで『女系天皇』に反対している人がいるの?」と質問される事が時々あります。しかし大抵は、本論に入る前に、言葉の定義から説明しなくてはなりません。
 「女性天皇と女系天皇は全く別物だよ。愛子様が天皇になったら『男系天皇』だよ。でももし将来、愛子様と民間人のお婿さんとの間に男の子が生まれて、仮に天皇になったとしたら、その男の子は『女系天皇』なんだよ。母方が皇族だから」と説明すると、大抵「知らなかった」という反応が返ってくるものです。
 どうやら、「女性天皇」の否定と「女系天皇」の否定とを混同して、女系天皇否定について「聖徳太子の時代は推古天皇みたいな女性天皇がいたのに、今は男性しか天皇になる資格がないなんて」とか「あの可愛い愛子様が天皇になれないなんて可哀想」とか、そういう反応を返してくる人が多いように思えます。
 現状の制度では皇室典範の規定により、男性しか天皇になれませんが、過去に女帝が存在した事から考えると、女性天皇は日本の伝統に反したものでは全くありませんし、女性天皇の復活を歓迎ないし容認している人も多いでしょう。しかし女系天皇は話が別です。この変化は皇室始まって以来初めての変化です。日本の伝統が失われてしまうという事を危惧している人もいるし、それを認めると皇室の家系がどんどんふくらんでしまう事を危惧している人もいます。単純に「男が良くて女はダメなのはなぜ」というだけで簡単に片付けられる問題ではなさそうです。
(2006/09/22訂正:女性天皇は現在の皇室典範では容認されていません。)