esim.me(物理eSIMカード)を試してみた&中身を覗いてみた
はじめに
本記事は、巷で話題のeSIM.meを購入して遊んでみたレポートとなります。eSIMの技術的な仕組みについては、本記事では触れませんので、IIJさんの素晴らしい解説記事を御覧ください。
eSIM.meって何だ
SNSを徘徊していると、下記記事に遭遇しました。
eSIMといえば、昨今のiPhoneやPixelといった対応端末に限定した機能で、
物理SIMが無くとも、QRコードを読み取ると即回線開通できちゃう優れた代物という理解でしたが、上記製品を使えば、eSIM非対応端末でも、このSIMカードにeSIMプロファイルを好きにDLして、あたかもeSIM対応端末かのように利用できるようになるようです。
使うかどうかは別として、どういうカラクリなんだ...という好奇心のもと、買ってみることにしました。
早速買ってみた
ちょうどクリスマスセールをしていたので、一番安いプラン(プロファイル保存数2)を購入してみました。
#2023/1/20現在は、一番安いプランでもプロファイル保存数が5になったようです。
普通郵便にしたので、到着まで一ヶ月ぐらいかかるかも?と思ってましたが、案外早く2週間程度で届きました。クリスマスセールなので、頑張ってくれたのかもしれません。
2022/12/10:発注
2022/12/12:発送連絡
2022/12/18:ドイツ出発
2022/12/24:日本到着
2022/12/26:手元に到着
開封
Manufacturerとして、Telcovillageという記載があります。
ドイツの電気通信事業者のようで、eSIM.meの他にもIOTソリューションや電話のクラウド管理ソリューションを提供しているようです。
また、GSMAのTest Certificates – Company listにも記載がありますね。
GSMA | GSMA Certificate Issuer (CI) - eSIM
# Issuerではなく、Test Certificatesの方で記載されてる意味がイマイチ理解できてませんが…
端末にいれてみる
SIMを挿入しつつ、Playストアからアプリをインストールしました。
ユーザー登録的なのを済ませると、管理画面が現れます。
SIM1/SIM2のタブが表示されてるのはこの端末がDualSIM端末のためと思われます。
SIM1がeSIM.meの物理SIMカードを挿入したスロットになります。
右下の+マークを押下すると、eSIMのQRコード読み取り画面に遷移するので、今回はKDDIのpovoのeSIMを適用してみました。
プロファイルのDLが終わると、有効化可能になります。
日本_-Other-Other-Povoは、単に自分で設定する表示名なので、自動で設定されたとかではありません。
左下にICCIDが表示されてますが、こちらは今回適用するpovoのICCIDとなります。
有効化するとすぐにつながりました。表示名もKDDI-povoとなっており、
どこからどうみてもpovoです。ありがとうございました。
また、SIMを取り出して、アプリの入っていないiPhoneや他の端末に挿入しても
povoの物理SIMカードと同じように認識しました。
#一部事業者はうまくつながらないなど、全てのeSIMですぐに繋がるというわけではないようです。
eSIM.me は商用かつ汎用の Removable eUICC カード - クマは森で用を足しますか?
中身はどうなっているのか
いわゆるSIMエディタと呼ばれるソフトウェアを用いて、中身を見てみました。
https://www.comprion.com/products-solutions/products-solutions-a-z/file-tree-express/
上記ソフトを使わなくても、EFの値はATコマンドでも確認できます。
Android端末なら、
adb shell atcli AT+CRSM=176,28539
でEF(FPLMN)が出力されます。 但し、出力はエンコードされてるので、読み替えが必要です。気になる方は下記を参照ください
ちなみに、現在広く使われているSIM(UICC)のファイル構造はETSI TS 102 221 及び 3GPP TS31.101 UICC-terminal interface; Physical and logical characteristics にて下記のように記載されています。
各略称は下記のとおりです。
MF: Master File
DF: Dedicated File
ADF: Application Dedicated File
EF: Elementary File
SIMの沼は深いので、MFという大きな構造体の中に、DF,ADF,EFといったいろんな属性が含まれていると理解すればOKです。
具体的にどのような種類があり、それぞれ何を意味しているか、は
TS 31.102 Characteristics of the Universal Subscriber Identity Module (USIM) applicationに定義されています。
例えば、よく聞くIMSIであれば、EF(IMSI)として下記のように定義され、書き込まれています。
物理eSIMカードにプロファイルを適用する前に、EF(IMSI)を確認したところ、下記のようになっていました。
- 26224XXXXXXXXXX
先頭の262-24はMCC/MNCを表しており、これを検索すると、先程も登場した
Telcovillageが保有する番号であることがわかりました。
Updated MCC and MNC list and Roaming Simulator | MCC MNC
その他、不要なRegistrationを実施しないためのEF(FPLMN)はデータが書き込まれていないなど、必須かつデフォルト値が設定されているもの以外はほぼ何も書き込まれていませんでした。
つぎに、eSIMプロファイルを有効化後、再度確認したところ、下記のように書き換わっていました。
- EF(IMSI)=44051XXXXXXXXXX (44051=KDDI)
- EF(FPLMN)=44000(SoftBank),44010(Docomo),44020(SoftBank),44100(WCP)
ちなみにその他の属性も、povoの物理SIMカード版と同様の値であることが確認でき、端末からも完全にpovoの物理SIMカードとして見えるのも納得な結果でした。
EFに関しては、各EFによりREADやUPDATE権限が定められており、IMSIのようにユーザで勝手に書き換えられるとオペレータの運用に支障がでるようなものについては、ADMキーという鍵がないと変更出来ません。これは試験用SIMを除き、SIM発行ベンダ以外は基本的に入手不可と思われます。
ただし、FPLMNのように一部のEFはPINコードでの変更が可能となっています。
したがって、SIMエディタで物理SIMを見た限り、eSIM.meは、アプリを用いて、DLしたeSIMプロファイルの値をもとに、あたかもADMキーを用いて全てのEFを書き換えたように見てとることができます(実際にどのように書き換えているかは不明ですが…)
似たようなのがあった
eSIM.meが革命を起こす唯一無二のソリューションかと思いきや、似たような製品として、SoftBankのeSIMカードというものもありました。
こちらは、eSIMプロファイルを有効化するための端末が限定されるようですが、有効化したあとは同じように物理SIM化するので、他端末に挿しても使えるようです。
eSIM.meで利用したアプリが、端末に組み込まれているイメージでしょうか。
まとめ
物理eSIMカードは便利そうな反面、書き換える部分で何らか悪用されたりしないのか、セキュリティ的な部分が気になりました。認証を受けた事業者以外が模倣品を製造したときの対策なんかを今後は調査したり、考えてみたいと思います。
おまけ:必須のEF
大量のEFが存在していますが、必須はそこまで多くありません。