2人目の挑戦者:神田
本はよく読むんですが、本屋には最近行ってません。でもRPGゲームは得意なので、大丈夫だと思います。
それより汗がすごい。
駅から全力ダッシュしてきたらビショビショになってしまった。
なぜ全力ダッシュを…
それでは全身ビショビショのまま…
事前にみたマップでは、1Fの「リトルプレス」というコーナーが気になってます。
(宝箱のあるコーナーだ…!)
でもとりあえずエレベーターに乗ります。
なんで??
中島らものエッセイで、「飛び込み営業は高層階から降りていけ」と書いてあったんですよね。1Fからのぼると、気が滅入るから。
飛び込み営業に来てる?
一人目に続き、神田も1Fをスルー。せっかく置いた宝箱が発見されず、ダンジョンマスターたちは落胆の色を隠せません。
よし、9Fを回るぞ。
また9Fに来てしまった…
ああ、なるほどねえ。めちゃくちゃ広いな。これは広い。
早歩きがめっちゃ早い。
汗が止まらない。
はいはい、よくわかりました。降ります。
え、もう?
この9F、一見してジャンルが広すぎますね。奥に洋書も見えたし。ここで時間を使っちゃうと持たないな、という判断です。飛び込み営業の人でも、同じ判断をするでしょう。
飛び込み営業は勘が鋭い。
9Fの「奥深さ」を敏感に感じ取り、あえてスルーした神田。かなりのハイペースで8Fへと進みます。
急いだのには理由があります。この8階の児童書コーナーに興味があったんですよ。特に絵本。
絵本が好きなんですか?
子どもはいないけど、可愛いから好きなんです。
あ!!!「しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット」だ!!!
『しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット』
[わかやまけん著・こぐま社] 上製本のミニえほんと、エプロン姿のしろくまちゃんのぬいぐるみがセットに。
しろくまちゃん、作者のわかやまけんさんの展覧会に行ったことがあるくらい好きなんです。
人形もついてるじゃん。でも3700円か…足りない。
宝箱を見つけて、予算を増やせば買えるかもしれません。
それだ。最初のキープはこの本にします。
絵本コーナーって、本当にワクワクするな。子どもの頃、好き放題買ってもらえるわけじゃなかったから。今ではいくらでも買えるんですよ。こんなことがあっていいのか。
『スライムぴぴぴ』
[スクウェア・エニックス] 『ドラゴンクエスト』シリーズでおなじみのスライムがさまざまな形に姿を変えて登場する絵本
これは買います。
即決。
スクエニ公式の絵本です。スマホアプリ版もあって、すごい面白いんです。触ると音が鳴ったりするだけなんですが、なんかずっと遊べる。
夏休みの研究セットもいいな。もう何が置いてあってもワクワクしてしまう。
どんどん高まってますね。
最初に可愛い絵本をたくさんみたから、一気に高まりました。いま、めちゃくちゃな購買意欲があります。
赤本にもワクワクしてきた。
赤本にも?
ネットで本を探していても、赤本にワクワクすることはないですからね。こういう「場の高まり」を大事にしていきたい。
8Fの可愛さを堪能した神田は、引き続きハイペースで下の階へ向かいます。ちなみにこの進路は、最初に挑戦した恐山の8F進路と全く同じでした。
7Fの科学コーナーにも興味あったんですよね…あ!
宝箱だ…!
やったー!
やっと見つけてもらえた…。
開けてみます。
「ワープ」って書いてある。
我々の指定した違う階に、強制ワープになる宝箱です。
予算は増えないの?
増えません。代わりに4Fに行ってください。7Fはここで終了です。
来たばっかりなのに…。
なんか階を飛ばすのは申し訳ないな。飛び込み営業の人なら全部回るはずだから。
初めての宝箱がようやく発見されるも、ハズレアイテムでした。不本意そうな神田は、4Fの人文コーナーへ向かいます。
いつもどうやって本を探すんですか?
一冊気になる本があったら、周りにも好きな本がありそうなので、その棚は上から下まで全部見ます。自分は背が高い方だから、屈んで下の方も意識的に見るようにしてます。下の方に、意外と面白い本があったりするんですよね。
それでさっきから立ったり屈んだりしてるんですね。
今だと、「文化史」っていうワードが目についたので、いろんな文化史の背表紙を眺めています。
この棚はすごいぞ。悪魔の文化史に、処刑の文化史、そして拷問の文化史。正直かなり惹かれます。
絵本の後に来る棚じゃない。
ギロチンの歴史に特化した本もある。すごい本がいっぱいある!これはやばい。
今回の高まり方はちょっと怖い。
文化史ってあらゆるモノを扱えるから、面白いですね。1つのことをすごく掘り下げる本がいっぱい集まってるから、この棚だけで沼が無限にあるように思えてきます。
『万引きの文化史』
[レイチェル・シュタイア著・太田出版] なぜ人は万引きをするのか?その歴史は16世紀のロンドンで始まった…。
中でもこれが一番気になりました。「世界2位の万引き大国日本の必読書」って書いてあるし。
そんな煽り方ある?
万引きって、ある種もっともありふれた犯罪じゃないですか。ただモノが欲しいから盗るだけじゃなくて、スリルを求めて依存症になっちゃう人もいる。動機の多様性からも、学術的に研究すると、かなり面白いテーマだと思います。
万引きの説明がうまいですね。
やばい、文化史の沼にハマりすぎた。もう3Fは飛ばして、2Fに行きます!
ここまでハイペースを保っていたものの、文化史の棚をひたすら往復していた神田。一気に時間がなくなり、2Fへと急ぎます。
2Fのミリタリーの棚も見たかったんですよね…ほら、こういう本があるから。
『アメリカ海軍SEALのサバイバル・マニュアル』
[クリント エマーソン 著・三笠書房] アメリカ海軍の特殊部隊である「SEAL」が学んでいる、世界最強のサバイバル・スキルを全公開
軍隊のサバイバルガイドが好きなんですよ。
どういうところが面白いんですか?
敵の倒し方とか、逃げ方とか…知らないことばっかりなので、知っておきたいじゃないですか。
防弾チョッキのつくりかたが載ってますよ。めちゃくちゃ有用じゃん。
そうかな。
いつでも襲われても大丈夫なようにしておきたいんです。そのための知識をたくさんつけたい。
誰かに狙われてる?
手錠の外し方や、トランクに閉じ込められた時の脱出方法も書いてある…さすがSEALの人が書いただけあって、このマニュアルはかなりいいです。これもキープで。
やばい、予算が増えてない。これじゃ「しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット」が買えない!
まだ諦めてなかったんだ。
あ〜、でも乗り物コーナーとかに目がいってしまう〜。
僕、交通標識もかなり好きなんですよ。交通標識の本はないかな、交通標識の本。
いまだに神田さんの関心分野が掴めません。
交通標識も可愛いから。
交通標識の本があれば、もうここで終わってもいい。交通標識の本がない!
ひょっとしたら、デザインの棚とかにあるのかも…?
それだ!デザインの棚は…9Fにあるな。9Fに行くぞ!!!
また?
エレベーターへ急げ!!
深呼吸してる。
交通標識、交通標識…
背中の汗がすごいことに…
あった!
『世界ピクト図鑑 サインデザイナーが集めた世界のピクトグラム』
[児山啓一 著・ビー・エヌ・エヌ] 世界26 か国80 都市のピクトグラム約1000点の写真を収録した図鑑。
可愛いな〜。
交通標識の本を読みたすぎて、2Fから9Fに戻った神田。1Fにたどり着くことはできませんでした。
本を買う
ジャンルがバラバラすぎる。
どれを買おうかな…
組み合わせによっては2冊いけますね。残念ながら「しろくまちゃんのほっとけーき 夢のふくふくセット」は予算が足りません。
「スライムぴぴぴ」と「サバイバル・マニュアル」にします。
交通標識の本は買わないんだ。
感想戦
棚づくりにおいては「関心の連続性」が重要なんですが、こういう組み合わせで買う人もいるんだな、と勉強になりました。
絵本とサバイバルガイドを組み合わせる人は稀だと思います。
個人的には、時間を意識しすぎて、自分の興味に引きずられすぎたかな..という反省はあります。守りに入っちゃったかもしれない。
あれ以上攻めなくてよかった。
あとなぜか汗が止まりません。
病院に行ってください。
プロの書店員をも驚かせる本棚巡りを見せた神田。次が最後の挑戦者です。