こないだから前回 まで
続けて今年のニューヨーク・コミコン(New York Comic Con、略してNYCC)の会場で「今年、地味にじわじわとその影響力の大きさを感じたのが、日本のサムライや武士の存在感」と指摘しましたが、一応、その理由についての考察も書いておきます。
まず、考慮すべきは、時代の流れ。
ここ数年、トレンド・ワードになってる「フェイク・ニュース」や、トランプ政権に関する様々な出来事に代表されるとおり、近年、アメリカでは、嘘やデタラメ、そして『信頼の欠如』が、一種の社会問題になっていると言えるでしょう。
アメリカだけじゃありませんね。
むしろ、アメリカなんてまだ随分まともな方で、この広い世界には、嘘やデタラメが当たり前になってる国の方が多いのかも?
だからこそ、『信頼』を大切にする日本のサムライや武士道の考え方、価値観、文化が、改めて重要視されるようになってきたのでは?
新渡戸稲造が、初めて海外向けに武士道を紹介した著書、『Bushido: The Soul of Japan』が出版されたのは1900年。今では、インターネットで調べると、多種多様の武士道関連の情報をいくらでも入手できます。ややブリティッシュ・イングリッシュ発音ですが、その
全文の朗読もYouTubeで聴けちゃうのです。
そんなワケで、この新渡戸稲造さんの『Bushido: The Soul of Japan』の内容をもとにしてまとめたれた、冒頭の画像みたいな「武士道の7つの美徳」(The 7 Virtues of Bushido)とかも、お手軽に確認できます。
一応、その内容を見ておくと:
- 義(Integrity)
- 礼(Respect)
- 勇(Heroic Courage)
- 名誉(Honor)
- 仁(Compassion)
- 誠(Honesty and Sincerity)
- 忠義(Duty and Loyalty)
・・・とのこと。
で、武士道に興味をもった外国の方々が、武士道についてなんやかんや論じてまして、インターネット上で調べてみると山ほどそんな情報を確認できるのですが、やはり、外国の方々は、基本的な日本文化をよく理解してなかったり、根本的な情報が足りなかったりするせいか、あまり正確に理解できてない方が多い感じ。
やっぱり、日本人としましては、そういう外国の方々の勘違いや誤解を正せるだけの知識や情報を、ちゃんと備えておくべきでしょう。グローバル時代なわけですし、ね。
新渡戸稲造さんの本のほかにも、日本の武士道を理解するために知っておくべき基礎知識はいっぱい。
パッと思いついたものだけですけど、以下、その一部を備忘録的に書き残しておきます。
まず、『名君家訓』(めいくんかくん)の教え
これは、江戸幕府8代将軍吉宗、9代将軍家重に仕えた室鳩巣(むろきゅうそう)が武士はどのようにあるべきかを説明するために記したもの南北朝時代に後醍醐天皇に仕えた楠木正成が、家臣たちに示した教えという体裁で書かれているため、別名、楠諸士教(くすのきしょしきょう)とも呼ばれてます観阿弥・世阿弥作ともいわれる能の一曲、『鉢木』(はちのき)「大雪のふる夕暮れ、貧しい武士の家に旅の僧が一夜の宿を求める。武士は、貧しさゆえ接待も致されぬといったん断るが、雪道に悩む僧を見かねて招きいれ、なけなしの粟飯を出す継ぎ足す薪も無かったので、松・梅・桜のみごとな三鉢の盆栽を出し、これを薪にして、お持てなしに致しましょうと折って火にくべた・・・」という内容で、武士道というか、日本人らしい相手の立場に立った考え方や、親切心が描かれています江戸時代の3大藩校の1つ、会津藩日新館の什の掟日本中の藩にこうした掟や教えがいくつも存在してました。それを外国人は、1つの武士道の教えがあったわけではないなどと捉えてとんちんかんな説明をしがちですが、日本人なら、嘘をつかない、卑怯なことをしない、信頼を尊ぶなど明らかに1つの同じ方向性の武士道精神を日本中で共有したうえで、さらに藩ごとに細かい様々な掟や教えがあったと認識してる気がしますが、皆さん、いかがでしょう?信頼を尊ぶ日本人ならではの美徳を感じます【2022年11月追記】古典落語『井戸の茶碗』に見る正直者が馬鹿を見ない理想社会
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