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海外在住アングラな日本人の壮絶かつブラックな生き様を特集した雑誌の話



ぶっ飛んだサブカル雑誌シックスサマナ

 突然僕の近況ですが、現在僕は彩図社さんという、良い意味で怪しいサブカル本を出版している出版社で本を出すため、色々頑張っています。本屋などで怪しい真っ黒な背表紙な本を見つけた場合、大抵彩図社から出ています。無事出版される際はブログなりで告知しますね。

 

 こんな普段何やって暮らしているかすら怪しい僕に、執筆の話を持ち掛けてくれたのが、この草下さん。出版の話と関係なく、月一くらいで飯に連れて行ってくれる大変良い人です。出した本のアングラ具合も大変なモノですが。

 

裏のハローワーク
 

  最近では草下さんにくっついて雀荘(めちゃくちゃ強い)やらで遊んでいるうちに、同じ沖縄出身の元暴走族のライターなりと仲良くなってきました。大半の人がヤク中です。刑務所入り経験者も居ます。どうしようもない底辺無職の僕との相性もよく、正に類は友を呼ぶ状態。

 そんな草下さんと同系統の裏モノライターが集まるKindleのみの電子雑誌「シックスサマナ」。

 シックスサマナ→http://amzn.to/2mT6R1A

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 どの号もタイトルから危うさ満点で非常に素晴らしい。どれも良い感じに胡散臭くて最高なのですが、草下さんから読んだ方が良いとお勧めされたのが27号。この記事の本題であり雑誌の解説後に後述します。

  個人的に目を引かれたのは22号の「そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!」の強烈な字面。シックスサマナでしか出せない味があります。

シックスサマナ 第22号 そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!

シックスサマナ 第22号 そうだ、刑務所へ行こう 人生丸ごと断捨離せよ!

 

 

  因みにこのシックスサマナの編集長は、あの「クーロン黒沢」さん。

  アジアの裏モノライターで、オタク業界にも造詣が深く、アレなオタクたちには「香港97」の関係者と紹介するのが、一番分かりやすいでしょうか。

 因みに僕がクーロン黒沢さんの本で一番好きなのが「香港電脳オタクマーケット」でして、返還前の違法なアイテムや事件だらけで混沌とした香港の様子を、等身大のオタク目線で熱く語ってくれる名著です。

 

シックスサマナ 第27号 漢の逝き様 野良犬のように死ね!

  これまた強烈なタイトル。「野良犬のように死ね!」なんて言われた事あります?

 この号が生まれた経緯ですが、シックスサマナでも過去に何度か記事を書いていた海外在住のライターが亡くなった事から始まります。

  この号は表題作「野良犬のように死ね!」以外にも、殺人売春というバンコクでの屍姦パーティの話や、生活保護の受給の仕方、フランス外人部隊への入隊時の記録など、その辺の人間では到底体験できない、エキセントリックな記事が盛りだくさん。

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  こういった謎の写真なども大量に掲載されています。凄い。

  閑話休題。さて、今回お亡くなりになられたのは井上さんという方。シックスサマナでは「元は援交好きな平凡なサラリーマン」と評されていますが、この時点でもうついていけない方も少なく無いでしょう。

 その後、日本から離れプノンペンの「スワイパー村」という、泥棒だらけで治安最悪の村に住み始めた井上さん。いつの間にか「村の案内人」ポジションに収まり、ヤク中や変態からも一目置かれる存在になりますが、当然ながら各機関からマークされてしまったそう。

 それから紆余曲折あり、カンボジアの「売春村」で暮らし、売春とヤクに溺れる真っ黒な生活を送り、最後は病気で盲目になり、脚も腐ってしまったそうですが、そのあたりの経緯はシックスサマナの過去号を参照下さい。

 今号では井上さん追悼として、本人が書いたスワイパー村の美人な売春婦の話や、警察にマークされていた頃の話なども特別寄稿されています。

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 これまた、どこを切り取っても強烈な内容。冒頭三行で井上さんの壮絶な人生が伝わってきます。海外でのブラックな処女売春婦の相場なども網羅されています。凄い。

 その後も、井上さんの遺産を他の海外在住で超がつく困窮生活中の日本人(ヒマワリの花を種一つ一つトレースする仕事で一日700円のギャラを得ている)に相続させ、遺灰を海に投げ捨てるまでの話や、井上さんの弟ともに海外で葬儀を終えるまでの泣けるエピソードまで掲載されています。

 

 こうやって海外在住のイカれたライターたちの人生を垣間見ると、如何に自分たちが幸せな人生を歩んでいるか分かるでしょう。

 草下さんは僕に印税が発生した後は、似たような事を取材させるため僕を海外へ飛ばす気満々ですが、自分も社会の爪弾きモノでまともな仕事をする事はないと確信している身、彼らに共感する部分もあり、海外のアンダーグラウンドな舞台を味わってみたい気持ちもあります。

 さて、井上さんは前科者であり正真正銘の犯罪者ですし、売春とドラッグを好んだ裏社会の人間ですが、その壮絶な生き様に、何よりライターの先輩として敬意を表したいです。

 善と悪だけで語るなら、間違いなく悪側の人間ですが、彼の弟は葬儀に集まるシックスサマナなどの面々を見て、「兄にこんなに友達が居たとは……」と感動する一幕もありました。そこには金銭の関係しない真の友情は確かにあったのでしょう。

 人生には色々な生き方があります。誰もが正しく大学を卒業して就職できる訳ではありません。善悪の判断はともかく、世の中には平和な日本人では想像すらつかない生活をしている人間たちが居ることを、まず知ってみるために読んでみて欲しいです。

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 ただ、こういった本を読み過ぎるとKindleのライブラリが大分アレな感じになります。

シックスサマナ 第27号 漢の逝き様 野良犬のように死ね!

シックスサマナ 第27号 漢の逝き様 野良犬のように死ね!

 

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