まだ旅は続く

2024年ってどんな年だったって聞かれたら、やっぱり地震から始まったから良い年だったね、とは言いにくい。
個人的には「ようやった」と自分に言ってやりたい一年だったなーと思う。
環境の変化がなかなかに目紛しくて、あんまり自由がなかったけど、その中でやれることはやったと思う。

北海道にも八重山にも能登にも…いろんなところ行った。
能登はあまりの被害にびっくりした。とにかく道路がバキバキに割れてて移動に時間が掛かるし、被害の少ない地域から作業員が移動してるので時間のロスが激しい印象。一年たってまだまだ復興に遠いという話ばかりなので、なんとかなってほしい。

念願叶って佐世保に何回か行けたのも嬉しかった。
好きな写真家さんが佐世保をベースに活動されている方で、写真集の中の空気感を感じたいと思っていたから、行けたときはかなり嬉しくて、防空壕の跡のバーとか米軍街のバーとかで飲みまくった。もちろん写真もたくさん撮ったけど、本当に楽しかった。良い旅したなーと思った。

今年は写真展にあまり行く機会がなかったけど、KYOTOGRAPHIEはパスを買って色々巡った。
それ以外はなかなかタイミング的なものもあって展示に参加も減ってしまったけど、その代わりにたくさん写真集を買った。
今年買った写真集のベスト3くらいは紹介する記事を書きたいなと思っている。

2025年ももっといろんなところに行っていろんな人にあって、いろんな景色を見たい。
アグレッシブに行こう。まだ旅は続く。
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 壊れ続けた一年

2024年ももうすぐおしまい。
今年はなんかいろんなところに出張したり旅したりしていたけど、その割にポートレートの撮影頻度もそこまで落ちなくて、忙しい感じの1年だったはずなのに、何かを得たって感覚に全くならない不思議な一年だった。
明日また記事を書く気になったら、そっちでもう少しなんかこんなことやったなーって振り返りをしようかな。
今日は機材とかそっちの方向の話だけ。
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何もできなかったなって思ってしまう要因は色々あるけど、一番でかいのは写真日和の5月真っ只中で長年愛用しているGR1がぶっ壊れたことが悪かったと思う。
ずっと使っていたものがなくなるとキツイ。幸い修理してもらえたけど、色々あって戻ってきたのは10月半ばだった。
GR1は近所のなんでもない写真もヌードもポートレートもなんでも小難しいことを考えずに平等に撮れるのが良いんだ。
全部自分の距離感で撮れるし、ピントなんてどうでもいいって思わせてくれる最高のカメラだった。
GR1の変わりにGR10をポケットに入れてて、それはそれなりに活躍したし良かったけど、やっぱ慣れてる方がいいなって思った。
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壊れる連鎖で10年つかった初代GRも壊れてしまって、GR3とGR3xを買った。
概ね満足しているけど、フィルムでもデジタルでも長年使っているものが壊れてしまったのはかなりショックだった。
ライカはとてもいいカメラなんだけど、撮影するかどうかわからない時まで持ち歩くには重い。
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そんなことを言いながらも、GRが壊れている間は、M6やバルナックにGR Lensをつけて撮影は続けていた。
このGR Lensがまた笑っちゃうくらいにGRな写りで(当たり前だが)、とても気に入っている。
MFなのでむしろ速射性はこっちの方がいい気すらする。写りは特にモノクロで撮るととても良い感じだと思う。
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今年は特にレンズやボディを入れ替えたりしなかったけど、ライカはやっぱりM typ240シリーズが気に入っていて、当分使い続けたい。最新レンズをつけた時はちょっと微妙なところもあったけど、PureRawでRaw現像しはじめて、あまりにシャープなのでこれで良いやってなった。
ハードの進歩よりソフトの進歩が凄すぎる。
もうハードは慣れとか使い心地とかそっちの方向へどんどん進んで行くんじゃないかと思う。

 宇宙的迷子

何を目指してるのか何がしたいのかちょっと分からない日常を過ごしている。
そんな中でちょっとながめの出張があって、知らない町をクルマで通りすぎて行った先に海が見えて、すごい良い気持ちだった。

でもそんな一瞬では何も解決していなくて、むしろつらさが勝ってしまっていた。
誰にも理解してもらえないことに失望感と怒りが込み上がる日々だった。
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たまたま浅井健一のライブに行ったら「宇宙的迷子」を演ってくれた。
心の埃がサッと掃かれたような気持ちで心地よかった。
いろんなことがあって行けていなかった暗室に行った。意外と写真は撮っていたことに安心した。
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”歪んだ世界で純粋に生きる それってすこぶるダメってことじゃん”
って、ベンジー歌ってたよな。
写真ともっと強く生きたい。

 すみわけ

7月は絶望的に忙しかったんだけど、毎年恒例になっている展示「B.L.T.」の準備もあって、フリーな休みが全然無かった。
写真展「B.L.T.」 | BE= Lab&Gallery

反動で8月は疲れたなーって思う事が多くて、かなりゆったりした日程で生きた。
たまたま函館に行く事があって、行ってみたい街だったから少ない滞在時間で本当にわずかな時間だったけどカメラ片手に街をうろつけたのは良かった。
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今年のB.L.T.では撮り貯めていた五条以南の高瀬川沿いの写真をプリントした。もうほとんどない風景だ。
来場された方から「見る人によっては懐かしいんですかね」って言われたけど、誰にとっても懐かしくないかもしれない。たぶんもうそこにあった営みはないし、みんないなくなっているから。
AKAAKAから出ている露口啓二『移住』を見ていたら、自分のやりたい写真ってこういう感じのことなんだろうなって思ったりした。
ファインダーの外を見せる写真というか、難しいけどそういう写真が撮れたら良いんだろうな。


SNSは饒舌過ぎて何も言いたい事がなくなってきている。
本質的な事は何も誰も書いていない気がする。
10年以上つながっているフォロワーさんが余命宣告されたと知っても、SNSで彼の吐露する不安を受け止めることもできない。


自分の生き方を考える夏だった。

 静かな海の影を眺めながら

大雨の予報で、今朝まで行こうか行かまいか悩んでいた。
朝起きたらなんて事ない天気だったし、雨が似合う海だと思った。
最後にきてから丸3年がたっていた。知らない道が出来ていたり知らない建物がたっていた。
知っている建物が消えていた。世の中そんなもんだ。
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何も変わらないフリをして毎日生活しているけど、老いて置いていかれる怖さがある。
だからって何かにしがみつきたいわけでもない。ただ寄りかかれる何かがあればいいと思う。
静かに波打つ瀬戸内の海を見ながら、穏やかな日を過ごした。
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一度止めてしまったらまた始めるなんて出来ない気がするから、いろんなことがあっても銀塩写真は続けたいと思っている。
幸い応援してくれる人がいて、続けていけている。
一度止めてしまったのにまた始めたPENTAXという会社に驚いて、PENTAX 17を予約した。
カラーネガを詰めてこれひとつ持って旅に出るのも楽しくて良いかもしれない。
ネガティヴな声も読んだが、もう今はあの頃じゃない。
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去り行く過去を慈しみながら、今日を強く生きたい。

 撮りたいものが分からないけど新しくなったカメラ

新しいカメラを買った。
10年間使ったGRが起動しなくなったりして騙し騙し使っていたんだけど、どうにも許せないタイミングで使えなかったりして、さすがに買うか…とGR3 Diary Editionを買った。黒を買わなかった理由は、元々GR3は自分の中で見送り対象のカメラだったっていうのが大きくて、真っ当に買いたくなかったから。
あとはなんとなく後継機か派生機が出そうだなってタイミングで発注を掛けたから、限定モデルにするのは決めていた。
まさか途中で発注停止になるとも思わなかったし、わけのわからん派生機がでるとも思ってなかったから色々ギリギリのタイミングだった。
10年くらい使いたいな…新品でカメラを買うのは2016年にライカを買って以来だ。新品は良い。
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キョウトグラフィーが始まっている。
このイベント、以前はちょっと苦手だったけど、最近ちょっと趣向が変わって来た気がする。お高く止まってる鼻もちならない感じが薄まった。
いや、時代の空気感がこのイベントに追い付いたのかもしれない。ブックフェアーがキラーコンテンツすぎる。
ボードカルチャーばかり扱っている出版社が出ていたときは買いまくってヤバかったし、去年もめっちゃ買った気がする。
今年もとっても楽しみだ。
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京都は良い街だったけど、今はどうかなって思う事が多い。でも、久しぶりに会う友達とかと会うと一瞬で昔に戻れるのは変わっていく中でも変わらない街の空気がある気もしている。
最近は京阪電車京津線に乗って写真を撮りにいく機会が増えた。インバウンドとは無縁で良いが、散歩がメインになってしまうというか撮りたいものがあんまりないことにも気付かされる。
撮りたいものってなんなんだろうって考える日々だ。
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 アートを楽しめ

去年、初めてギャラリーでオリジナルプリントを買った。
著名な写真家のプリントをインターネットで買ったことはあったけど、リアルに買うのは初めてだった。
毎日というわけではないけどたまに広げて楽しんでいる。
今年、去年のKG+ フォトブックフェアで気に入った写真集の作家さんが大阪で個展をしているというので見に行った。
小さいサイズだけど毎日飾れそうなプリントを買った。オリジナルプリントを買う敷居は実際には全然ないと思う。
当たり前だけど写真集よりもクオリティは高いので、満足感は高い。
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いつの間にか欲しい機材がなくなっている自分がいた。
手元には10年連れ添ったカメラたちが居続ける。ピカピカだったGRは凹んだり塗装が剥げたしている。ライカだってそうだ。
でも、別にそれで十分なんだよな。
それで困ったことがない。あるかもしれないけどなんとかしてきた。
カメラの機能に左右される部分は写真っていうアートの枝葉の部分でしかないと思う。
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カメラメーカーが多い日本にあっては、メーカーの仕掛けたムーヴメントとアートの領域が曖昧で、実際はマーケティングじゃないのって思うことが多い。
実際にこれは海外から来たフォトグラファーの人が言っていた。日本はカメラ大国だから写真表現にももっと期待していたけど、マーケティングが支配していた…と。
別にそれはそれで文化だと思うし良し悪しじゃないと思うけど、どこかで線引きしておいてほしいなと思うことがあるのも事実だ。
まぁ、なんだかんだ言って、好きな写真を飾りたいし好きなものを撮りたいし好きな人を撮りたい。ただそれだけ。