ノベルの読書ブログ

読んだ作品は忘れないようにその時どう感じたかを備忘録として記録に残していきます!また読書をする時間がない方にかいつまんだ内容を読んで作品を少しでも楽しんでいただけたらと思います!

朝井リョウ「正欲」(新潮文庫)を読んでみて。〈8〉

 

 

《あらすじ》

自分が想像できる“多様性”だけ礼賛して、秩序整えた気になって、そりゃ気持ちいいよなーーー。

息子が不登校になった検事・啓喜。

初めての恋に気づく女子大生・八重子。

ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。

ある事故死をきっかけにそれぞれの人生が重なり始める。だがその繋がりは、“多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった。

 

読む前の自分には戻れない、気迫の長編小説。

 

【要約・感想】P94-P108

神戸八重子

2019年5月1日まで、395日(平成から和へと元号が変わるまで)

年度が新しくなり、紗矢を筆頭に早速八景祭に向けて準備に取り掛かる。八重子とよしの案が通って、「スペード」の参加協力の交渉が始まった。「スペード」側の渉外担当がスペード代表の高見優芽とまさかの諸橋大也だったのである。

つい先ほどまで練習していたのか薄着ながらも体温はずっと高そうに見える。

八重子たちの案であるダイバーシティフェスについてはスペード側も大賛成であった。

代表の高見優芽は紗矢と同じような雰囲気が漂い、また内面の自信が外見の美しさにでているのか、もしくは外見の美しさが内面の自信にでているのかわからないが、同性や異性にも好かれ信頼されるタイプだと思った。

自分とは違う星の人だと卑屈になりかけたがなんとか自分を律した。

「スペード」の交渉と並行して、「おじ恋」の平野プロデューサーの交渉もしないといけないのでテレビ局に企画書を早速送った。一方的に送ったため、迷惑かけるのではないかと思った八重子だが紗矢は今回の八景祭に対する思いを伝えたらきっと伝わってくれるはずだと心から思ったのである。

紗矢と話していると自分がいかに世界に対して遠慮がちかということを思い知る。

そんな打ち合わせをしている最中も好意を寄せている諸橋大也を何回も目で追ってしまう。やっぱり、怖くない。自分が最も怖く感じる種類の人間のはずなのにどうしてだろう。

高見優芽がダンスのジャンルに「ワック」という元々ゲイカルチャーから生まれたダンスがあり、「おじ恋」にも多様性である観点からすると、つながりができるかもと提案した。話が盛り上がってきたさなかに諸橋大也が無理にコンセプトに沿って別のジャンルを踊ることは意味がなく、踊りたいダンスをやるからいいんじゃないのか、と指摘して打ち合わせの空気が変わった。

「おじ恋」のプロデューサーから返信来てる」話題が変わった。まだOKともNGとも言えないが企画書に感動した旨のメールだった。

八重子があこがれの諸橋大也が急に遠い存在から目と鼻の先にいる存在になった。

また八景祭の準備も「スペード」の参加してくれることと、「おじ恋」プロデューサーから早速メールの返信がきたのでとんとん拍子にいいことが続いている。

「ワック」というダンスに対しては反対はあったが、当日はどのようなパフォーマンスになるのだろうか。また諸橋大也がどのように八重子に影響を与えていくのだろうか。

 

ワックというダンスがあるのを初めて知った。

少し調べてみた。

ワックダンス(Waacking)は1970年代初期のアメリカ、ロサンゼルスのゲイ専門の地下クラブで誕生したダンススタイル

ワックダンスの歴史と文化的背景

①誕生と発展

1970年代、ロサンゼルスのゲイコミュニティで発展
マリリンモンローやグレタガルボなどのスター女屋のポージングを真似る遊びから発祥
ジャズやバレエを踊るゲイダンサーたちがソウルダンスを取り入れ、より女性らしさを追求
②名称の由来

・“Waacking”という名前は、腕を巻きつけるような動きを表す”Whack”というスラングに由来

・“Punking”という別名も存在し、同性者ではないダンサーが差別を恐れて使用
③衰退と復興

1980年代後半、エイズ問題とゲイへのバッシングにより衰退
2003年、ブライアン・グリーンによる復興活動が始まる現代での位置づけ
ゲイ文化の一環として、差別に反対する意味合いを持つ
特に女性に人気の高いジャンルへと変化
ワックダンスはゲイコミユニティの文化から生まれ、差別と抑圧を乗り越えて発展してきたダンススタイル。現在ではその歴史的背景を踏まえつつ、幅広い層に受け入れられるストリートダンスのジャンルとして確立している。

 

 

 

 

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