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文学フリマで買った本の感想②6~10/18冊

今回も文フリでお迎えした18冊の感想をつづっていこうと思います。前回はこちら▼

文学フリマにはじめて出店してきました。けれどもやっぱり、文フリの楽しさと言ったら気になる御本をたくさんお迎えすることではありませんか。ほかの場所では簡単に手に入らない本こそ、たくさん手に入れるチャンス。今回は18冊も購入していました。

今日も5冊分の感想を書いてみます。いやはや、読めてよかった、出会えてよかった本ばかりです。



『夢で会えなくてほんとうによかった』無限さん

Xで見かけた書影が気になって真っ先に買った本。おつかいを頼んだ同居人が、「二人目のお客さんだったらしくて喜んでもらえた」と申しており、自ブースの手伝いよりも優先しておつかいをお願いしたかいがあった!と勝手に喜んだのでした。

さて、恋愛にまつわる3作を読んで、どうやら私はしっかり無限さんのファンになりました。女性が内包する、あるいは複雑な環境で直面してしまう痛みや汚さのようなものの描写があまりにも鮮明で息が詰まります。でも、自分の中にもこういう感情があると見つけてしまうことがあり、救いと救われなさのバランスがちょうどコップに表面張力な物語でした。


『対岸へ渡ってしまう前に』うすいはるかさん

エジプト旅行のおとも

文フリの前日にするりと情報が舞い込んできて、なぜかそこで欲しい、買おうと即決した一冊です。うすいさんのことを前から存じていたわけではない認識で迎えた本でしたが、読み進めると、「なんて素敵なんだ」と前に思ったXの投稿をされていた人だったと知り、大きく納得。

世界を誠実に捉え、ていねいに切り取る繊細さのある人は、どこかで身近な世界、職場だったり家族だったり、との距離をしっかり守り、自己を閉じようとするという印象がありました。でもうすいさんの、文章の世界だけではなく、しっかりと人の世界にも生きている感じがとてもすきでした。心に留めておきたい言葉がたくさんあり、また読み返すと思います。ほかにもうすいさんの文章をたくさん読みたくなりました。


『カモを見てぶらさがる』田中青紗さん

こちらもエジプトについてきてもらいました

前回の文フリのあとからたくさん書影をお見かけし、ぜひとも今回はお迎えしたいと思っていたこちらのエッセイ。独特のイラストが目を引きます。そして、カモを見てぶらさがるというタイトル。ユニークだな~と思っていたのですが、まさか、本当に「カモをみてぶら下がる」とは!

田中さんのエッセイは、素直な温度の言葉と感覚が、すんなり体に響いてくる感じがしました。楽しいこと、嫌なこと、恥ずかしいこと、好きなこと。そういう着飾らない感性を、勝手ながら身近に感じてしまいます。心が少し軽くなる、ふわりとした読後感でした。


『良い子でいたら幸せになれるんじゃなかったのかよ』白瀬世奈さん

タイトルでぐっとひかれたこちら。文フリ前にXでお見掛けしタイトルに惹かれてから、これはいったん買うしかないでしょう、と即お取り置きを依頼しました。

白瀬さんの人生がそれはそれは赤裸々につづられた本書。けれども私が驚いたのは、きれいごとじゃないドロドロなのに、白瀬さんの言葉が読者を刺してこないことでした。刺さるのに、刺してこない。こんな言葉を紡げるようになりたいと思ってしまいました。だれか、白瀬少女に「がんばったね」と言ってあげてほしい。別の良い子だった私が、祈る時間になりました。


『ショートショート「ヨシダは死にました。」ほか』野やぎさん

noteではぜんぶシリーズなどで活躍されている、おなじみの野やぎさん。文フリは複数人でのサークルで出店されているのですが、そういえばまだピュアな野やぎさんのショートショート本をいただいていない!と今回はこちらをお迎えしました。ブースにもお越しいただき、嬉しかったです。

さて、noteで読んだ時にもほろりとした短編に、またほろほろとさせられます。長い休みをとって旅行に行った後、翌日の出勤が憂鬱な状態で読んだのですが、仕事をてきとうに流して、いい感じで折り合いをつける、って生きようとしている5年目の社員の背筋を優しく伸ばしてくれるストーリーでした。強いやさしさ。グッときます。


今日はここまで。出会って良かった本ばかりで、あのときこの投稿を目にとめた自分、あのnoteを読んだ自分、買うって決めた自分、ぜんぶナイス!!と思わずにはいられません。こういう出会いがあるから、文フリのお客さんになるのもやめられません。

文フリの読書感想文は、まだまだ続きます。ではまた。

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