淡路島には「三つの利」がある
ー パソナグループが2020年9月から、本社機能の一部を淡路島(兵庫県)に移転して4年余が経ったわけですが、南部さんは現状をどのように受け止めていますか。
南部 一言で言えば、淡路島へ来て本当に良かったなと。
当社がグループ全体のBCP(事業継続計画)対策の一環として本社機能の分散を始めたのが2020年9月でした。当初は2024年5月末までにグループ全体の本部機能社員約1800人のうち、約1200人を移転する予定と言っていたのですが、すでに約2000人が淡路島で働いています。
ー すでに当初の想定を超える2000人が働いていると。
南部 ええ。ここは神戸からも、徳島からも通えるので、交通の便もいいんです。
ー 改めて、南部さんが淡路島という場所に目を付けた理由は何だったのですか。
南部 『天の時、地の利、人の和』という言葉がありますが、淡路島には『三つの利』があるんです。一つは地の利です。
淡路島は東経135度、日本の標準子午線と重なっている。つまり、日本の中心時間にいると。そして、1時間圏内に四つの空港がある。関西国際空港、神戸空港、伊丹空港、徳島空港があって、徳島空港からなら40~50分くらいで着きます。他にも、姫路城、京都、奈良、それから吉野古道、そして新しく指定された仁徳天皇陵と、五つの世界遺産があるのです。
二つ目は天の利。ここは温暖で、いろいろな食べ物が実っている。ここは食の宝庫で、玉ねぎだけでなく、牛や鯛、タコ、そして、ウニやアワビ、伊勢エビ、鱧など、何でも獲れます。明石鯛・明石だこと言いますが、明石と名付けた方が高く売れるから明石と言っているだけで、海は同じですから(笑)。
ー なるほど。どれも食事が美味しいですよね。
南部 ええ。ウニなんて、どれだけ美味しいか。食べた瞬間、頬がとろけますよ(笑)。
最後は時の利。来年、2025年には大阪・関西万博が開催されますけど、世界中から人がやってきますよね。こうした人たちのパワーはものすごいと思いますよ。ですから、淡路島には天の利、地の利、時の利。その全てが揃っているのです。
ー もともと南部さんが、淡路移転を決めるきっかけは何だったのですか。
南部 直接的なきっかけは2020年のコロナ禍ですが、遡って考えたら、初めは2011年の東日本大震災でした。