インターネットショッピングやWebサービスを利用する際、消費者が気づかないうちに事業者に有利な選択へ誘導するWebデザインを「ダークパターン」と呼びます。意外と日常的に目にするものも多く、「これもダークパターンだったの!?」と驚くかもしれません。
そこで今回は一般の消費者3名に集まっていただき、「ダークパターンクイズ」を出題! Webサイトの事例を見ながら、どれがダークパターンに当てはまるのかを当ててもらいました。はたして結果は!?
ダークパターンから消費者を守る!
一般社団法人ダークパターン対策協会について詳しくはコチラ
5つの「よく見る画面」の中にダークパターンが潜んでいる!
ーークイズの前に簡単にダークパターンについて説明します。
ダークパターンとは「消費者が気づかないうちに事業者に有利な判断に誘導するWebデザイン。消費者を焦らせたり、騙したりして、その手口に出会わなければ行わなかったことをさせる手法」です。では、次の5つの事例のうち、ダークパターンに当てはまるものはどれでしょうか?
【問題】下記から「ダークパターン」に該当するもの
(または該当する可能性があるもの)を
選択してください


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僕は②④⑤がダークパターンだと思います! |
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私は③④⑤かな |
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うーん……僕は③④がダークパターンだと思いました |
ーー皆さん回答がばらけましたね! ただ、①は誰もダークパターンだと思わなかったのですね。
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そうですね。①は特にユーザーにとって不利益になることもなさそうですし |
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いろいろなサイトでよく見る画面って感じですよね |
ーー反対に④は皆さん全員がダークパターンだと回答していますね。
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これもよく見る画面ではあるんですよね。特に旅行サイトなんかで。ただ、この「ご契約時のみにしか加入できないサービス」ってところが引っかかりました。本当なの?って |
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そうそう! 実はあるサイトで似たようなバナーが出てきて、実際にサービスに加入したんですが、別のタイミングでも同じサービスに加入できることが後からわかりました。しかも、無料期間の終了に合わせて解約しようとしたらアンケート回答や長い文章を読む必要があってすごく面倒で、結局1回解約をあきらめたんです。そうやって困らされた実体験があるので④はダークパターンかなと |
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なんか、圧が強いですよね。必要以上にこっちの不安を煽ってきている感じがします。そういう意味で、消費者を誘導するダークパターンだと思いました |
怪しい価格設定、小さい注意書き……これはダークパターン?
ーーでは、意見が割れた②についてはいかがですか?
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僕はダークパターンだと思いました。だって、1万1,000円が1,980円になってるのって、ちょっとやりすぎじゃないですか? 裏があるんじゃないかと思ってしまいます |
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でも、本当に安くなっているだけじゃないですか? その理由も「特別キャンペーン」だってちゃんと書いてあるし…… |
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そうですね。割引の計算も合っているし、騙そうって感じはしないからダークパターンじゃなさそうですけど…… |
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うーん、そう言われるとそんな気も…… |
ーー③は反対にAさんだけが「ダークパターンではない」と回答しました。
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はい。ちゃんと「※個人の感想です」とか「※画像はイメージです」って注釈も入っているし、この画面ってテレビの通販番組なんかでもよく見るので、ダークパターンではないと思いますね |
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僕はダークパターンだと思います。「白い肌をキープ」ってところが過剰表現にあたるんじゃないですか? しかも、写真はイメージだから効果を示すのに適切じゃない気がします |
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私もそう思います。この写真の人が実際に製品を使って、この白い肌をキープできているとは限らないのに、この人だと思わせるような見せ方をしていますよね。注釈はあるけど、すごく小さいし |
ーー最後に⑤です。これはSさんだけダークパターンではないと回答しています。
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これも実体験があって、これと似た画面で大手飲料メーカーの栄養ドリンクを申し込んだことがあるんです。大手メーカーですし、栄養ドリンクって成分表示とか厳しい印象がありますよね。そういう信頼のおけるメーカーの画面と似た画面だから、大丈夫だろうと思いました |
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僕はこの「定期お届けコース」の詳細がよくわからないところが不安だと思いましたね。解約条件とか、いつ送ってくるのかとか、もうちょっと情報がほしいなと |
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私もダークパターンだと思います。理由はAさんとは少し違って、最初から「定期お届けコース」の方が選択された状態になっているのが気になりました。何も考えずに買い物カゴに入れたら、定期お届けコースの方を申し込むことになるじゃないですか。それってダークパターンに当てはまるんじゃないかなって |
正解発表! ダークパターンだったのは……
ーークイズ形式だったこともあり、皆さん普段よりも疑いの目で見ていたようですね。では、正解を発表します! 答えは「全部ダークパターン」でした!
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ええっ!? 本当ですか? |
ーーなぜダークパターンなのか、解説していきます。
まず①は「強制登録」のダークパターンです。商品を購入するのに必ずしも会員登録をする必要はないのですが、「(会員登録せずに)ご注文手続き」のボタンがスクロールしないと出てきません。つまり、一見すると買い物をするのに会員登録が必要であるかのように思えるのです。しかも、「ご注文手続き」のボタンが「登録はこちらから」や「ログイン」ボタンよりも目立ちにくいデザインになっています。
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そう言われてみればたしかに! |
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気づかないうちに誘導されているんですね |
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言われてみれば……でも、こういう画面ってけっこう見ますよね |
ーー続いて②です。これは「不当参照価格」です。大幅な割引をしているように見えますが、これまで通常料金(11,000円)で本当に販売していたかどうかの実績が不明です。売値を安く見せるために虚偽の参照価格にしているならダークパターンです。また、たとえ本当の情報だとしても、その他に消費者を煽るような文言や、「あと〇〇分でセール終了です」といった嘘のカウントダウンなどその他のダークパターンと組み合わせて、過度に消費者を焦らせて誘導している場合は、やはりダークパターンであるといえます。
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違和感を覚えたのは正しかったんですね |
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最初から1,980円が定価だったとしたら買っているか、ですね。「1万円以上するものがこの値段なら、お得だから買おう」という人もいると思いますし |
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でも、こういうのってECサイトでよく見かけますよね。中にはダークパターンもあるってことなのかな…… |
ーー③は「お客様の声」のダークパターンです。口コミに関する表示が誤解を招くものや虚偽の可能性がある場合、ダークパターンとなります。写真の人物は実際のユーザーではないですし、そのことを示す注意書きも小さすぎます。
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騙そうという意図が見えますよね。でも、これも世の中だとよく見かける表示なんだよなー |
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そうですね。一応「書いてあるからいいでしょ」みたいな |
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小さすぎる注意書きは問題になることも多いですよね |
ーー④は「感情の揺さぶり」のダークパターンです。感情を利用して特定の選択肢へ誘導するというもの。皆さん正解されましたね。
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これはダークパターンっぽい感じがしましたね |
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不安を煽ってきていますよね |
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ただ、今回はクイズだったからダークパターンだと思ったけど、実際に出会ったら引っ張られるかも…… |
ーー最後の⑤はMさんの回答がまさに正解でした! 「事前選択」のダークパターンです。価格が高い方があらかじめ選択された状態になっていて、そのまま購入すると高い方を買うことになります。
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これ、けっこうありますよね。実際に体験したのを思い出しました |
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「安い」と思って買ったら、実は定期お届けコースだったことに後から気づいたりね |
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それで慌てて解約しようとすると、すごく解約しにくくなっていたり…… |
ダークパターンを防いで消費者を守る「NDD認定マーク」
ーー今回、ダークパターンクイズに答えていただきましたが、いかがでしたか。
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どれもよく見かけるものばかりで、全部ダークパターンだったことに驚きました。ダークパターンの説明を受けた後だと疑いの気持ちを持てるんですが、そうでないと無意識に引っ張られるかも……。企業にはダークパターンを使わないでほしいですね |
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ダークパターンじゃないと思っていたものがダークパターンで本当に驚きました。言葉だけじゃなくて、今日のように事例を知っておくことで、より気をつけられるようになると思います。私自身も仕事でWebサイトを制作しているので、知らない間にダークパターンを作ってしまわないように意識しないといけないと感じました。 |
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そもそもダークパターンがどういうものかも知らなかったので、すごく勉強になりました。まずは知ることが大切ですね。周りにも伝えていきたいです |
ーーこうしたダークパターンの対策として、「NDD認定マーク」の運用が始まっています。企業が審査を受けて、ダークパターンが含まれないと認定されたらサイトに表示できるマークです。毎年の更新を行い、初年度はブロンズ、2年連続でクリアすればシルバー、3年連続で審査にクリアすればゴールドのマークが付与されます。
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それ、いいですね! 企業としての信頼の証明になりますね。ロゴもシンプルで覚えやすいです |
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今回のクイズで何を信用していいかよくわからなくなってしまったので(笑)、そういった制度があるとすごく安心ですね。認定の年数でカラーが変わっていくのも、より信頼できる企業を見極めやすくなってありがたいです |
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そのNDD認定マークがもっと認知されるようになるといいですね |
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消費者を誘導して不利益を被らせる「ダークパターン」。今回はクイズでいくつか紹介しましたが、ダークパターンの手口はまだまだたくさんあります。日本にはまだダークパターンを正面から包括的に規制する明確な法律はありませんが、ダークパターンを使用していないサイトを中立的な機関が審査・認定して「NDD認定マーク」を付与する制度(NDD認定制度)が開始されるなど、消費者を守るための動きが出てきています。消費者としても、まずはどんな手口があるかを知ることで、騙されないように自分を守っていきましょう!
ダークパターンから消費者を守る!
一般社団法人ダークパターン対策協会について詳しくはコチラ
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